海
せっかく、手軽に海で泳げる環境にあるのだからということで、最近は暇さえあれば海に行き、飽きるまで泳いだりもぐったりしています(むろん、学校のない日ですよ)。
太陽の光が歪められて弱まった薄暗い水中は、地上とはまるきり違う世界です。水上からはとうめいに澄んで見えた水も、潜ると薄暮のようだったり。
渓谷のような珊瑚の合間からは、とつぜん魚たちがひらっと泳ぎ出てきたりします。
そんなわけで、海に潜るのがとても楽しい日々なのですが、正直の話、ちょっと怖いです。絶え間なく押し寄せる波とか、足がつかない場所とかに、恐怖を感じて呼吸が荒くなったり鼓動が速まったりします。他の人たちのように、遠くまでスイスイ泳いでいけたら気持ちいいんだろうなあと思うのですが、どうしても、足がつくかこわごわ確認しながらのぎこちない泳ぎになってしまうのです。
まあ、恐怖心ってのは身を守るためにはある程度必要なんでしょうけども。じっさい、気づかないうちに離岸流に流されてしまってて、陸に泳ぎ着けず溺死というのが、一番多い観光客の死因だとか。
海は優しく美しい反面、恐ろしい存在なんだなあ、と、泳ぐようになってつくづく感じています。当たり前ですが、まったく底が知れません。だからこそ惹かれるんですが。古代ギリシアでオデュッセウスを苦しめた海の魔物たちも、古のハワイで火山の神ペレを殺した海の女神も、美しく優しげな一面を持っていたのではないでしょうか。
これからも安全に気をつけつつ、海がどういうものであるのか少しずつ感じていきたいです。