キャリアの達人に聞く48
 
キャリアカウンセラー対談 第48回
留学を有利な材料にする就職・転職活動のコツ
キャリアコンサルタントとして数多くのカウンセリングをこなしてきた、株式会社キープレイヤーズ代表取締役の高野秀敏さん。自身もごく普通に就職活動を行い、自分に合った仕事を見つける極意を得たという。プロとして、そして就活の先輩として、よりよい会社を選ぶためのコツなどを語っていただいた。

SNSのサービスを
人脈作りや情報収集に活用


佐藤 何年も留学される方の中には、やはり日本を留守にしていたことによる情報のギャップに不安を感じている人が多いんです。一種の浦島太郎状態になってしまっているのではないか、と。実際には海外でもインターネットを利用して日本のさまざまな情報を手に入れることができるのですが、その情報があまりにも多いので、適切なものを選択し、自分で判断するのが難しいんですね。

高野

「リクナビ」「マイナビ」といった就職サイトは、学生の方は皆さん利用していることと思いますが、さらにmixiGREEのようなSNS(Social Networking Service=インターネット上で他人と情報交換できるネットワーク)を、人脈作りや情報収集に活用するといいと思います。そうしたネットワークでは、単に他の人の就職活動の状況がわかるというだけでなく、就活についてネット上の日記に書くことで、考えを整理することができ、また第三者の意見を聞くこともできます。

佐藤

海外のSNSだと、Facebookなども有名ですね。ネット上の情報は使い方のコツをつかみ、上手く活用できれば、非常に便利ですね。留学先からでも、企業の情報を得て、担当者にコンタクトを取ったりすることが可能ですから。

高野

以前、経済評論家の大前研一さんの本に、一流のビジネスパーソンであるには、古典文学などの教養を深めることが大切だ、と書かれているのを読んだことがありますが、現代のビジネスパーソンにとってはそれが、インターネットを活用してうまく情報を集めることができるかどうか、だと思うのです。情報に敏感になることによって、環境問題やボランティアなどグローバルなトピックについて語ることができるようになります。

佐藤

おっしゃるとおりですね。ただし、集めた情報に流されたり、マニュアルの中から安易に答えを探したりするのではなく、情報を元に自分の考えをきちんと持って自分の言葉で伝えることが大切ですね。

高野

そうですね。特に就職・転職に関しては、自分自身と向き合うわけですから、“誰かが考えてくれた答え”ではなく、自分の言葉を大切にして欲しいですね。

佐藤

前職も含めて多くの方から相談を受けてきましたが『考え抜く力』、『掘り下げる力』を大切にして欲しいと思います。自分で決める、考える、といったところでラクをしてしまうと、後々辻つまが合わなくなることがあります。それらは留学生に限ったことではありませんけれど。その前提で、グローバルなトピックスについて語るという点を考えた場合には、留学経験者のほうが意識が高いと思うのですが、高野さんのこれまでのご経験の中で、留学経験者と会ってみていかがでしたか?同じ留学経験者の中で、就職・転職活動で差がつくとしたらどのような点でしょうか。

高野

大学や大学院留学であれば、有名校のほうが有利だというのは当たり前の話かもしれませんが、それは、有名校であれば、必然的にそこに集まる学生のレベルが高く、留学後に海外の企業の重要なポストに就いている人も多いのでOBとのネットワークが作れるかもしれないという点が大きいのです。また、たとえば、TOEICテストなど、数字で測れるものは、「もうこれくらいでいい」ということはなく、高ければ高いほどいいと思います。

佐藤

留学の目的としてはいかがでしょうか。帰国後の就職について、出発前に明確な目的があるといいのですが、やはり留学してから進路を決めたい、という人も多いようです。

高野

社会人が仕事を辞めて留学するとき、「仕事が嫌だから留学する」といったような選択肢は、できれば避けてほしいですね。帰国後の就職に有利になるよう、「留学」という武器を手に入れるくらいのつもりで行ってみてはどうでしょうか。そのほうが、いい成果が得られるはずです。

佐藤

留学前の仕事と、留学の目的、そして帰国後の希望就職先と、目標に一貫性があることは大事ですね。自分ではまったく違う仕事に応募しているようなつもりでいても、振り返ってよく考えてみると、前職の中に、新しい仕事を目指すようになったヒントが隠れていたりします。

高野

少なくとも面接の際に、留学の目的についてきちんと答えられるようにしておいたほうがいいと思います。自分の中で明確にしておけば、ほかの人に説明するときもうまくいくはずですからね。
ネットの活用はとても有益ですが『考え抜く力』、『掘り下げる力』を大切にして欲しいと思います。自分で決める、考える、といったところでラクをしてしまうと、後々、辻つまが合わなくなることがあります。 佐藤江利奈/留学ジャーナル キャリアカウンセラー 知名度やイメージよりも
「なりたい人がいる会社」を探す


佐藤 高野さん自身のことについておうかがいしたいのですが、人材サービス会社から、キャリアコンサルタントとして独立したんですよね。

高野

私の所属していたインテリジェンスという会社は、今のUSENの宇野康秀社長らが興した会社で、楽天球団の島田亨社長、サイバーエージェントの藤田晋社長など、多数の起業家を輩出してきました。私自身、人材にまつわる仕事を目指すようになったのは、保護監察官だった祖父の影響を受け、何か人の役に立つ仕事をしたい、という思いがあったからです。地方の大学を出て、普通に就職活動をしたところ、インテリジェンスに入社して、目標となり、お手本となる先輩との出会いがたくさんありました。同期や後輩には、独立起業を公言してはばからない人もいて、私も自然と起業を意識するようになりました。

佐藤

高野さんの場合、何千人という人のキャリアカウンセリングを経験し、自分にできることがしっかりわかっていたからこそ、チャンスをつかむことができたんですね。

高野

起業でも就職・転職でも、他の人にはない強みを持つことは大切ですね。何か一つの分野について、「それは私に聞いてもらえればわかる」というようなことを作っておくといいですよ。そのスキルを他の会社でも生かすことができれば、キャリアアップにも役立ちます。

佐藤

若い人、特に社会経験が少ない学生の場合は、会社の知名度やイメージで選んでしまうことが多いかと思うのですが、会社選びのコツのようなものは、何かありますでしょうか。

高野

経営者の人柄や経営哲学に魅かれて、という話はありますが、会社に入ってすぐ社長と一緒に仕事をするわけではないですからね。自分と近い世代の人を目標とするのがいいと思います。私の場合、企業訪問・説明会・面接などを含め、一つの会社につき必ず3人以上の社員に会うことにしていました。そして、自分から見て優秀だと思える人が多い会社を選んだのです。「やりたいことができる会社」というより、「なりたい人がいる会社」を選ぶということですね。

佐藤

そうやって「なりたい人」を見極めるには、普段からいろいろな場に出て行って、人を見る目を養っておくことが大事ですね。留学中にはさまざまなアクティビティに参加する機会がありますし、海外に限らず、日本でも交流会や勉強会などに顔を出してみるといいかもしれませんね。

高野

できるだけ多くの人に会うことは大切です。でも、ただ会えばいいだけではない。後でお礼のメールをきちんと出せるかどうかといったことを、相手の人は見ているはずです。

佐藤

これから就職活動や転職活動を始める人にとっては、とても参考になるお話ですね。今日はありがとうございました。
「私の場合、企業訪問、説明会、面接などを含め、一つの会社につき必ず3人以上の社員に会うことにしていました」 高野秀敏/キャリアコンサルタント
--photo--
プロフィール
たかの ひでとし/東北大学経済学部卒業。人材総合サービス企業「インテリジェンス」にて転職サポートに関する実績を積んだ後、独立して株式会社キープレイヤーズを設立。企業と転職希望者のマッチングを手がけつつ、キャリアに関する講演・執筆などを行う。主な著書に『就職氷河期だからこそ絶対に後悔しない就職先の選び方』(春日文庫)など。「All About転職のノウハウ」ガイド。







--photo--
All About(オールアバウト)は、400以上のテーマ一つひとつでその道のプロがユーザーをガイドする生活総合情報サイト。高野さんは、『転職のノウハウ』を担当している。







--photo--
『就職氷河期だからこそ絶対に後悔しない就職先の選び方』(春日文庫)。就職先の企業をイメージで捉えがちな学生や初めて転職する20代の方には、企業の選び方や日頃の行動で意識することなど具体的にアドバイスされていて参考になる。







--photo--
社会経験がない場合は、就職先を知名度やイメージで決めるのではなく『なりたい人がいる会社』を選ぶという考え方もある。「なりたい人」を見極めるには、日頃から多くの人に会う機会を意識的に作り、自分自身の目を養っておくことも大切です。







--photo--
佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
<帰国後の就職も考えよう トップページへ > もっと見る
留学ジャーナルモノになる留学へ。
帰国後の就職も考えようキャリアの達人に聞く48の紹介ページです。
短期留学や語学留学はもちろん、ワーキングホリデー、大学留学、大学院留学まで幅広くご紹介している留学ジャーナルが、皆さんの海外留学への思いをカタチに変えます。海外留学の実現は、留学ジャーナルで!