キャリアの達人に聞く02
 
キャリアカウンセラー対談 第2回
留学経験を就職に活かして希望の職につく方法
前回に引き続き、(株)コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長で慶應義塾大学大学院でも教鞭をとっている小杉俊哉さんに、留学から就職への歩み方や留意すべき点を、ご自身の経験も含めて話していただいた。
留学中のサマージョブも就職活動の一環

佐藤 留学中のインターンシップの有効性についての質問が多いんです。小杉さんもマサチューセッツ工科大学(MIT)のスローンスクールへ留学し、MBAを取得されていらっしゃるのですが、インターンも含めた留学中の就職活動方法について、ご自身の体験も含めてお聞かせください。

小杉

留学中に、履歴書に書けるような就労体験をすることをおすすめします。例えば、夏休みに企業で働く「サマージョブ」のような。僕の場合は、早い企業は前年の12月ぐらいに募集要項が学校に貼り出されていたので、それで申し込みました。募集のない会社の場合は、自分でファイルを見て、人事の担当者に電話をしました。まだインターネットがなかった時代ですからね。最初の学期が終わった後のサマージョブは、モルガン・スタンレーに行きました。

佐藤

なぜモルガン・スタンレーを選ばれたんですか?

小杉

そこしかオファーが来なかったんです(笑)。コンサルタントを志望していたんですが、当時はファイナンス全盛時代だったので、インベストメントバンクも試してみたかったんです。インベストメントバンクばかり15社受けました。僕はMITの総長から警告状が届くほど成績が悪かったので、合格したときは“ミラクル”と言われましたね(笑)。いつも1つしかオファーが出ないんです。日本での就職のときもいろいろ受けたのですが、オファーがきたのはNECだけ。大学受験のときもそう。いつも最後に一番行きたいところからオファーが来るんです。だから、スタートが悪いと楽しくなってくるんです。「また、最後にはいちばんいいところに入れるんだ。まいったなぁ」って(笑)。

佐藤

まさに、ミラクルですね(笑)。何か秘訣があるのでしょうか?

小杉

ズバリ、受かるまで受け続けること。そうすれば絶対受かります(笑)。会社がある限りチャレンジできるんですから。受かるまでやるか途中でやめるか。それと、インベストメントバンクへの活動のときは、僕の場合、学業面ではファイナンスをやってきた経験者に勝てないから、面接に賭けていました。

佐藤

面接で上手に自己アピールするコツをつかんでいたんですね。

小杉

いかにおもしろい人間だと思わせるか、ですね。たとえば、「日本は芸者と富士山だけの国じゃないよ」、当時は向こうになかったから、「カラオケって知ってる?」と興味を惹きそうな話をふって、こっちのペースに持ってくればシメたものです。もちろん、いままでやってきた業種と異なるので、「メーカーにいたお前がなんでファイナンスをやるんだ?」と突っ込まれましたが、「学校で1年ファイナンスをやってみて、まさにこれが僕のやりたかったことだとわかった!」と熱意を持って語る。まあ、卒業したらコンサルティング関連の企業に行こうと思っていたのでちょっと大げさですが、インベストメントバンクにも非常に興味があり、どうしてもサマージョブでは経験してみたかったので、やりたい気持ちに嘘はありません。いかに相手を説得するかです。あとは、こいつと働いてみたい、と思ってもらえるかどうかなのではないでしょうか。
成功の秘訣は、成功するまでやり続けること。そこまでやるか、やらないか、なんです 短期で見る外資と長期で見る日本企業

佐藤 留学後、英語を使って外資系で働きたいという人が多いのですが、外資系企業と日本企業の働くスタイルの違いはどういったところにあるのでしょうか?

小杉

外資系でもアメリカンとヨーロピアンは違うし、これからさらに増えるオリエンタルも国によって異なり、一概にはいえないのですが、どちらかといえば、外資系企業のほうが短期ですぐに成果を出すことが求められる。長期的な雇用を前提としている日本企業のほうがじっくり見てはくれますね。

佐藤

評価されるには自ら積極的にアピールすることが必要だとか、チームワーカー的な要素を求められるという話もありますが、会社への貢献度はどう評価されるのでしょうか?

小杉

アピールというより、どういうふうに普段からパフォーマンスを出しているかです。外資系企業の場合、目標設定が明確なので、成果を上げたか上げないか、なんですね。成果の上げ方は職種によっても違います。営業は数字をとってくればいいんだし、マーケティングや広報はマスコミの信用を得られているか、お客さんにきちんとプレゼンできたか。スタンドプレーでできる仕事なら、それが評価されるし。つまり、ロール(役割)を早く与えられるのが外資系。日本企業のように、新卒だから、しばらく誰かについてやってくれればいい、と遊ばせている時間はない。役割を与えてできないとダメと判断されるのが早いんですね。

佐藤

外資系企業に就職する場合、留学経験は有利に働きますか?

小杉

有利ですよ。特に名前の通った学校であれば、その学歴が多くの説明を省いてくれて、最初の時点でプラス評価されます。それから外国人がいったいどういうマインドを持ち、彼らとどう接していったらいいのか、そういうことは向こうの文化の中にいないとわからないですからね。そこは期待されるところです。

企業が“欲しい!”と思う人材とは

佐藤 いま企業から求められている人材とは、外資と日本の企業では異なりますか?共通して魅力的に思われる人材とはどんな人でしょう?

小杉

どちらも自律している人ですね。単に言われたことをやるだけではなくて、自分から働きかけて自分を高める努力をし続けている人。積極的に提案してくれる人。日本の企業では、会社が何か教えてくれると思っている受け身の人も多いようですが、もうそういう時代じゃない。上司のいう通りやるだけの人だったらいらないんです。

佐藤

留学経験が活かせる点、また評価される点はどんなところですか?

小杉

日本にだけいた人とは違う発想があるとか、多角的なモノの見方ができる、とか。周囲にいい刺激を与えたり、活性化してくれる人物。留学してきたという事実ではなくて、過ごし方によって身につけてきたことですね。異なる意見を持つ人とも冷静にディスカッションできたり、ネゴシエーション(交渉)できたり。そういう資質は、少しの時間の面接でも見えてきますから。生意気だけどおもしろいといわれたほうがいい。

佐藤

終身雇用という考え方が崩れ、大手企業や銀行でも倒産する時代。転職が当たり前のようになってきている現代では、まったく異なる環境や企業文化を持った人たちと協業し、仕事やプロジェクトを推進していくスキルが求められますよね。様々なバックグラウンドを持つ人の集まる「留学」という環境で身につけた柔軟性や多角的なモノの見方、交渉力は、そんなところでも役に立ちますね。

小杉

その通りです。それに2006年に在日外国企業の株式交換が可能になると、M&Aによって外資系になる企業がさらに増える可能性も大きいので、さらにそういう留学経験を持つ人材が必要になってくるでしょう。日本の企業もずいぶん変わってはきましたが、とくに女性の方には、外資系企業のほうが性別を問わず昇進できるし、やりがいも出る。そのために積極的に頑張った留学は、いままでの自分を変えるため、ステップアップするための、大きなパスポートになりますよ。


いま企業が求めているのは、常に成長していこうとする向上心のある人。留学経験で身についた柔軟性や新しい発想は、就職への大きな武器になります(佐藤)
小杉俊哉
プロフィール
慶応義塾大学大学院助教授、(株)コーポレイト・ユニバーシティ・プラットフォーム代表取締役社長。日本電気(NEC)(株)に入社後、米国マサチューセッツ工科大学スローンスクールに私費留学し、MBAを取得。帰国後マッキンゼー・アンド・カンパニーにて経営コンサルタント、ユニデン(株)や(株)アップルコンピュータの人事総務部長を務めるなど幅広い経験を持つ。まさに留学を活かして世界に羽ばたいた人物。
著書に「29歳はキャリアの転機—留学か、転職か、そろそろ次のことを考えてみようか」(ダイヤモンド社)、「キャリア・コンピタンシー」(日本能率協会マネジメントセンター)、「組織に頼らず生きる」(平凡社新書)、「ラッキーをつかみ取る技術」(光文社新書)など多数。






小杉俊哉
留学中に履歴書に書けるような就労体験をすることをおすすめします。





外資系企業と日本系企業の働くスタイルの違いは?







留学してきたという事実ではなくて過ごし方によって身に付けてきたことが評価されます。

佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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