キャリアの達人に聞く04
 
キャリアカウンセラー対談 第4回
あれこれ悩む前に行ってみるべき!体験的留学のススメ
2つの会社を経営しながら、国際的に活躍する佐々木かをりさん。先月に引き続き、第2回目のインタビューは、大学在学中に経験した留学の思い出や反省から、これから留学する人へのアドバイスなど、「かをり流留学論」をお聞きした。
ショックだらけの初めてのアメリカ

佐藤 佐々木さんは上智大学在学中に1年間、日米会話学院からの奨学金を得て、交換留学生という形でアメリカの大学で学ばれたんですよね。初めての留学は、やはり刺激的でしたか?

佐々木

すべてが刺激的でした(笑)。実は私、育ったのは外国人の多い横浜だし、親戚にも外国人がいたし、大学の授業も英語だったから、外国に行ってもそんなに驚かないだろうと高をくくっていたんです。その分、インパクトも大きくて。

佐藤

語学力はおありになったのに?

佐々木

朝から夜まで誰にも日本語が通じない世界にいることが、これほど大変とは思いませんでした。しかも日本の常識が通用しない。ドアを足で閉める人がいたから、「手で閉めて」ってお願いしたら、「手と足のどこが違うのよ、ドアは閉まるでしょ」って言われてビックリして。相当なカルチャーショックでしたね。一番覚えているのが、大学にホール&オーツがライブに来たとき、みんなはこぞって見に行ったのに私だけ行かなかったんです。「私も行く」って言えなかった……というより、「一緒に行こう」と誘ってくれるのを待っていたら、取り残されてしまったのね。ガラーンとした寮にひとりぼっちでいる淋しさといったら・・・。

佐藤

カルチャーの違いですね。やはり海外では、自分から主張することが大切なんですね。

佐々木

そうですね。とにかく、何もかもが自分の想像していたことと違うし、「ショックを受けている自分」にもショックで、食べてもいないのにストレスでぶくぶく太ってしまったんです。正直言うと、選抜された交換留学生でなかったら、私、泣きながら日本に帰っていたと思います。

自分の目で見て、体験することが何より大切

佐藤 それでも、その1年間は佐々木さんにとって、財産だったとおっしゃっていましたが・・・。

佐々木

やはり、自分の目で見て、体験することが何より大切だから。好きとか嫌いとか、楽しいとか辛いではなく、「知った、体験した」という事実が財産になるんですよね。今思えば、「ショックを受けた」ことも、大切な財産だと思っています。

佐藤

留学中、インターンシップも体験されたそうですね。そこで得るものはありましたか?

佐々木

私の働いたところがラジオ局だったので、楽しい経験はたくさんできました。そこのラジオ局は広告を取っておらず、リスナーからの寄附金で運営されているんです。だからプログラムもすごく自由で、私も1時間番組を作らせてもらったし、「寄附金募集」のナレーションにも挑戦しました。ただね、今だから言える失敗も・・・。

佐藤

ぜひ、教えてください。

佐々木

そのころ、レーガン元大統領狙撃事件があったんです。私、リスナーから「Do you know about Reagan?」という電話に、もちろん彼のことは知ってるわという意味で「Yes.」と答えてしまった。後でニュースを聞いて、リスナーがいっていたのはこれだったんだとわかったんです。私は「What about Reagan?」と聞くべきだったんですね。私のせいで、うちの局はスクープを逃したのだと思います。申し訳なかったなあと(笑)。

佐藤

今となっては笑い話ですね。留学を希望されている女性にお会いしていると、年齢的に帰国後の再就職を心配されている方や語学学校だけではキャリアにならないのではないかと悩んでいる方が多いのですが、何かアドバイスをいただけますか?

佐々木

私からはひと言、「とにかく行きなさい!」ということだけですね。誰でも、いつでも、どんな形でも海外には行ったらいい。語学学校だって、それが自分の時間やお金や語学力を考えてベストな選択だったら、いいじゃないですか。私は留学で世界を体験したから、思考が多角的になり、さまざまな側面から物事が分析できるようになったと思っています。
もし、日本語だけしか知らず、一歩も日本から出ないままだったら、自由な発送で生きる、今の私はないと思っています。 企業が求めているのは、学び続ける人

佐藤 採用する側として、どんな人材を求められているのか、おうかがいしたいのですが。

佐々木

育てる立場でどんな人が一番魅力的かといえば、吸収力のある人、学び続けられる人ですね。企業は「私は何でも知っている」と思い込んでいる人、「これ、できるもん」と安穏としている人は望みません。自分の身の丈を知り、ときにはハッタリをかましながらも、基本的には謙虚な姿勢で、周りの声を聞き、時代の変化をつかんで、自分自身も学び続け、変わり続けられる人を求めるんです。例えば、「こうしたほうがいいんじゃない?」といわれたときに、心の中で「うるさいな」と思っている人より、「そうだったんだ」と真摯に受け止められる人のほうが必ず成長しますから。

佐藤

最後に、留学も含めて、これから活躍したいと願う読者に、元気の出るメッセージをいただけますか?

佐々木

あまり考え過ぎず、目の前にあるもの、できるものの巡り合いに感謝して、熱心に取り組んでくださいということですね。勉強でも仕事でも、今置かれている立場の中でできることはたくさんあると思うんです。まずはそこに熱中して、自分を高めてほしいと思います。


留学も含めて、「やりたい」と強く思ったことならまず行動し、体験することが大切なんですね。
佐々木かをり
プロフィール
1983年、上智大学外国語学部卒。在学中に日米会話学院代表奨学生として1年間、米国エルマイラ大学に留学。87年にフリーランスの通訳・翻訳家を束ねた、ユニカル・インターナショナルを設立。同年、テレビ朝日「ニュースステーション」のリポーター、96年にはCBSドキュメントのキャスターも務める。2000年には女性の声を経済・政治・社会へ反映させる新ビジネスを手がける、イー・ウーマンを設立。1996年にはヒラリー・クリントン氏との昼食会に招かれるなど、その活躍は国際的にも認められている。主な著書に「ギブ&ギブンの発想」(知恵の森文庫)、翻訳に「さよならメリルリンチ」(日経BP社)など。2児の母





実際に海外に出て、自分の目で見て体験することが何より大切





佐々木さんが留学時代に使った辞書や参考書。これらも貴重な財産





まずは今置かれている立場の中でできることに熱心に取り組んで、自分を高めてほしいと思います。



佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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