キャリアの達人に聞く08
 
キャリアカウンセラー対談 第8回
留学などの体験を通じて「自分創り」をしていく方法
企業と個人の双方の成長にモチベーションという切り口でコンサルテーションを行っている(株)リンクアンドモチベーション。代表取締役社長の小笹氏の、熱く、わかりやすいセミナーには定評がある。また自社そのものが『モチベーションカンパニー』のお手本であり、その社員が『アイ・カンパニー(自分という会社の経営者)』という意識を持って活き活きと働く姿は多くのメディアで脚光を浴びている。先月に引き続き、留学経験を『アイ・カンパニー』の魅力とする方法や、入社後『アイ・カンパニー』を鍛えるための企業選びのポイントについて伺った。
留学経験をアイ・カンパニーの魅力として語る言葉を持つ

佐藤 前回のお話で、これからは自分が「アイ・カンパニー」の経営者だいう意識が必要だと教えていただきましたが、留学経験というのは「アイ・カンパニー」の魅力のひとつになるのでしょうか?

小笹

もちろん、留学はアイ・カンパニーの価値を高めるためのいい経験だと思います。例えば、たしかな語学力、新たな環境への適応能力、短期間でゼロから人間関係を構築していく能力、あるいは異文化を受容する価値観の広がりなど、人によって得るものは違うでしょうが、ザッと考えても、これだけの可能性がある(笑)。ただ、「留学しました。英語話せます」だけではダメなんです。留学という経験を通じて、「アイ・カンパニー」にどんな価値が加わったのかを伝えられないとね。

佐藤

前回お話しいただいた「自覚化・言語化」ですね。

小笹

そうです。語学はあくまで、何かを伝えるためのツールですからね。今どき「英語話せます」はいっぱいいます。じゃあ、何をアピールすればいいかと言えば、コミュニケーションにおけるツールではなく、コンテンツです。自分は何を持っているか。それを語ることが大切だと思います。

佐藤

そのコンテンツは、どんなことでもいいのでしょうか?

小笹

100人いれば100通りの経験をしているわけで、それぞれがオンリーワンなわけですから、コンテンツは何でもいいんです。でも、やはり最後は他者にもわかるように言語化することが必要です。「なるほど、こういう思い、こういう自己解釈で、こういう能力を持っているなら、うちの企業にもマッチするな」と判断できますから。
大切なのは「語学」というツールではなく自分は何を持っているかという「コンテンツ」なんです。 「自分探し」より「自分創り」に励め

佐藤 インターネットの普及などで情報量が多すぎるせいか、就職活動のプロセスで「やりたいことがわからない」という相談者が多いのですが、小笹さんならどんなアドバイスをされますか?

小笹

うーん。それには2通りの答え方があるなあ。ひとつは「20数年の間の人生の中に体験した様々な喜怒哀楽の中から、『僕はこれが楽しい、気持ちいい』に近いものを見つけていきなさい」という答え。もうひとつ、つまりホンネの答えは「若いうちに、やりたいことなんて、見つかるかい?」です(笑)。

佐藤

確かにそうですよね(笑)。

小笹

ホントにやりたいことって、「アイ・カンパニー」が豊かに成長してないと見つからないんですよ。僕だって44歳になってやっと、やりたいこと・やれることが見えてきた。22・23歳の頃にいくら自分探しをしても、今の自分は絶対見つからないですよ。なぜなら経験がないから。それにね、若い人にぜひ言いたいのが「『やりたいことは何か』症候群に陥るな」ってこと。つまり、「自分探し」をするのではなく、「自分創り」をしなさいっていうことです。いろんな体験をして、いろんな感情を味わって、自分創りをしていけば、そのうちにやりたいことが見つかっていくものです。

佐藤

自分創り。いい言葉ですね。留学は「自分創り」のひとつのきっかけになりますが、実社会に出ることは更に「自分創り」をしていくということですよね。

小笹

たしかにそうですね。「自分創り」という意識を持つことが、戦略的な「アイ・カンパニー」経営だと思います。留学でも何でも、自分創りのためのいい体験をした人なら、強い体質の会社を作れるんです。採用の傾向は先ほどお話しましたが、若手の応募者の傾向として、ハングリーさが無い人が多い気がします。「社会貢献がしたい」とか。社会貢献は重要なことですが、社会貢献していない企業はないし、社会貢献をするにはまずは泥にまみれるような経験をして自分自身が自立したエクセレント・カンパニーになることが大事なんです。
留学も働く事も、強い「アイ・カンパニー」になるための「自分創り」のプロセスなんですね。 厳しく正しい「企業を選ぶ目」を持つ

佐藤 これから就職活動をする若い人たちへのアドバイスをいただけますか?

小笹

何度も言うように「アイ・カンパニー」をエクセレントにする努力をすることが大前提ですね。それ以外で言うと、「自分を買ってほしい・選んでほしい」という視点で就職活動に臨む人が多いような気がしています。彼らは「自分たちが企業を選ぶ」という視点を忘れている。媚びる必要はないんです。「この会社は、自分創りに最適なステージかどうか」という、厳しく正しい目で企業を見ることが必要ですね。

佐藤

具体的にどんなところを見ればいいでしょう?

小笹

完全に個人的見解なんですが、就職する企業は、言わば「アイ・カンパニー」の設立登記先なんです。どこが「アイ・カンパニー」を伸ばしてくれるか、そういう観点で見ると、企業選択のポイントは3つあります。ひとつが、若くてチャンスのある会社。例えば平均年齢が40歳でアイ・カンパニーが22歳だとすると、18年間もじっとガマンしなきゃいけない。「アイ・カンパニーを鍛える」という意味では、会社の年齢構成は見ておいたほうがいいですね。ふたつ目が、変化の大きい会社。売り上げ横ばいみたいな無風状態の会社では、アイ・カンパニーにチャンスは少ない。変化の大きい会社のほうが確実に成長できるチャンスはあるからです。3つ目が一番大切で、「アイ・カンパニーにとって、スペシャリティがつく仕事があるかどうか」。会社を飛び出しても自分に値段がつく「何か」。技術や能力、人脈などが得られる会社を選ぶことです。

佐藤

ありがとうございました。最後に余談ですが、小笹さんがもし、留学されるとしたら、いつ、どこに行きたいですか?

小笹

うーん。できたら中高生の若いうちに行っておきたかったなあ。20代なら、やっぱりアメリカだろうな。アメリカは知っておいたほうがいい。僕も大学生の頃、アメリカに貧乏旅行をして、資本主義むきだしの活気ある街の中で高層ビルを見上げて、何者でもないちっぽけな自分を実感したんです。そして「いつかはオレも・・・」と無邪気な野心も持てた。その意味では外国に行くというのはすごくいい経験だと思います。

佐藤

大学生の小笹さんともお会いしてみたかったです(笑)。今日はどうもありがとうございました。


自分創りに最適なステージか「アイ・カンパニー」を鍛えられるかそんな視点で会社を見るべきです。
小笹芳央
プロフィール
おざさ よしひさ/1961年大阪府出身。早稲田大学政治経済学部を卒業後、株式会社リクルートに入社。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員を経て、株式会社リンクアンドモチベーションを設立。日本で唯一のモチベーションを切り口とした組織・人事コンサルティング企業として成長。今年の学生アンケートで「採用活動において魅力を感じた企業」の1位に選ばれた。(*)
主な著書に『モチベーション・ストラテジー』『モチベーションの自己革命』『アイ・カンパニーの時代』『自己発見の瞬間』など。
(*)2005年2月(株)リクルート実施『採用プロセス調査』 大学生の説明会・セミナー段階における満足度








働く『場』もコミュニケーションの重要な要素として、オフィス環境のコンサルティングも事業の柱の一つとしているリンクアンドモチベーション社(LMI社)のエントランスロビー。会議室や応接室にもそれぞれ『リンカーン』『コロンブス』などの名前が付けられている。ユニークなコンセプトのオフィスはしばしばマスコミにも取り上げられる








若い人にぜひ言いたいのは『自分探し』をするのではなく、『自分創り』をしなさい、ということです








社内のバーコーナーにて。深夜遅くまで能動的に働く社員も多い同社では、アルコールも並ぶこのバーで社員同士が一息入れ、コミュニケーションを取り、気持ちを切り替えて企画を練ることもあるそうだ








佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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