キャリアの達人に聞く11
 
キャリアカウンセラー対談 第11回
憧れの航空業界を取り巻く環境と採用動向は?
一時期は採用を控えていた航空業界が、景気の回復に伴い、積極的に採用に取り組むようになった。留学経験者からも人気の高い航空業界は、いったいどのような人材を求めているのか。まさにこれから既卒の採用を展開していくという全日空の採用担当者・清見氏に、まずは航空業界を取り巻く環境と採用動向について伺った。
2009年、羽田空港に新滑走路が誕生!

佐藤 航空業界の採用、特に客室乗務員は採用人数も少なく、「狭き門」というイメージがありますが、ここ数年、採用環境が変わったそうですね。

清見

そうですね。これまでは景気全体が低迷していたことに加えて、2001年9月のテロ、そして同時期のSARS問題で、航空業界はかなりのダメージを受けました。経営状況も苦しくなり、03年、04年の客室乗務員の採用は見送ることにしたんです。

佐藤

それが昨年から積極採用に変わったと。

清見

05年では650 人、06年では680 人程度の採用(これから選考を実施する既卒対象者含む)を行います。数字的には増えているようですが、90年代後半は毎年900 名近い採用をしていましたから、やっと元に戻りつつあると言えるでしょうね。

佐藤

採用回復の要因は、どこにあるのでしょうか。

清見

一番大きな要因は、09年に羽田空港に4本目の滑走路ができることでしょう。完成すれば、離発着数は現在の1.5倍に増える。そこに向けて、今から必要な人員を確保しておくという命題があるからです。一方で、当社には約4,000人の客室乗務員がいますが、定年も含めて毎年、退職者が出るわけです。仮に5%が退職したとすると、200 人の人材が不足するわけです。要するに「事業拡大」と「退職補充」の2つの面から、積極採用をしていく必要があるということです。

佐藤

テロも含めて、これまでは暗いニュースが少なくなかったと思いますが、この先、航空業界全体の明日は明るいということでしょうか。

清見

プラスの要因は数々あります。まず、景気の回復により、旅行業全体が伸びていること。国際線で言うと、「中国」という新たなマーケットが誕生したこと。また景気回復による株価の上昇で豊かな資産を持つ方々が増えてきて、彼らの視野が、旅行・ビジネスを問わず、海外に向いていくのではないかという期待もあります。さらに心理的な面では、様々な安全対策がとられていることもありテロへの警戒心が薄らいできたこと、などですね。でも、やはり一番大きいのは、羽田に4本目の滑走路ができることでしょう。航空業界全体にとって、これは大きな出来事ですから(笑)。
景気回復の兆しがあり、新しい滑走路も誕生。航空業界にとってプラスになることが今、数々起きているんです。 まずは国内線で基盤作り

佐藤 今年の始め、明治神宮に初詣に行ったのですが、奉納されている絵馬の中に「ANAに入れますように」っていう願掛けを見つけました。それだけ憧れの高い業界なのだと実感しましたし、実際、常に人気企業ランキングに上位につけていらっしゃる。その理由はどこにあると思われますか?

清見

何ででしょうね(笑)。ただ言えるのは、弊社は1万2,000人の社員中、客室乗務員が4,000人もいる。若いうちからこれだけ多くの女性社員が活躍できる企業は、そうはないということでしょう。チーフパーサーともなれば、企業の社長・役員クラスの方にも、「私が本日この便の責任者の○○と申します・・・」とご挨拶をしてしまうわけですから(笑)。

佐藤

客室乗務員として入社した後の、キャリアプランはどうなっているのでしょうか?
国際線へのステップアップ等も可能なのでしょうか?

清見

3年間は契約社員として乗務経験を積んでいただきます。我々はそれを「基盤形成期」と呼んでいます。

佐藤

「基盤形成期」ですか?

清見

はい。以前は国内線・国際線と採用も分けていたのですが、今は最初の3年間は国内線で客室乗務員としての基本をしっかり身につけていただき、現在は3年をメドに正社員となって、ご本人の意志と能力次第で、国際線に移行するシステムになっています。というのも、国際線は飛んでいる時間は長いけれど、場合によっては1週間で2回の乗務しかないこともある。それに比べて、国内線は、毎日3、4便という乗務がある。離発着の回数が多い分、様々な業務のスピード感や精度を高められるわけです。さらに、出会えるお客様の数も多い。あらゆる面から見て、まずは国内線できっちり業務を身につけたほうが、会社にとっても、ご本人にとっても、プラスになると考えています。ただし、今後の事業計画次第では、3年を待たずに国際線に移行していただく方も出るかも知れません。

佐藤

客室乗務員の採用においては、何となく「短期雇用」というイメージが拭えなかったのですが、そうではないのですね。
「ANAに入りたい」という絵馬があるほど人気の高さは相変わらず。やはり、若いうちから女性が活躍できるフィールドがあるからでしょうね。 既卒の方の前職は様々 倍率は高くても、諦めないで!

佐藤 具体的な採用についてですが、御社では「新卒」と「既卒」と分けていらっしゃいますよね。

清見

新卒で何百名もの人材を確保するのは難しいと思うんです。既卒の方の社会経験は貴重だと思いますし、弊社は「このタイミングでこれだけの人材が必要」という場合があるので、新卒の「4月一括入社」では対応できないこともあるんです。なので、これからも「新卒」「既卒」は事業計画とのバランスをみて採用していきたいと考えています。もしかすると、航空業界志望者にはチャンスの時代かもしれませんね。

佐藤

「既卒」でいうと、前職のお仕事に何か共通点はありますか?

清見

やはりサービスが好き・接客が好きで応募される方が多いので、前職も接客・販売などの仕事に就いている方は少なくありません。でも、基本的にはあらゆる職種の方が受けに来られていますよ。看護師さん、学校の先生、フローリスト、あるいはシステムエンジニアをしていたとか、ファイナンシャルプランナーをやっていたとか、毎日、都内を飛び回っていた営業経験者もいます。今、私と一緒にスカイサービスアテンダントの採用を担当している客室乗務員も、前職はある外資系メーカーの総合職ですよ。

佐藤

「新卒」「既卒」を問わず、やはり倍率は高いのでしょうか?

清見

インターネットがこれだけ普及すると、エントリーは簡単にしていただけますから、母集団は相当大きいかもしれません。06年の「既卒」で言うと、350 人の応募に対し、エントリーでの応募が約9,500人。そこからエントリーシートを提出していただく1次選考で約3,000人に絞ります。何名の方に次の選考にお進みいただくかは、最終的な採用人数次第になりますので、この数字は毎年変わってきますが。

佐藤

では、ファーストコンタクトとなるエントリーシートは、とても重要になるということですね。

清見

そうとも言えます。たとえば、6行のフリースペースがあった場合、きっちり書いてくる方と、2行程度で終わる方では、印象が違います。もちろん、たった2行でもインパクトと好印象を感じる方もいますけれど、大方は、しっかり6行書いてくる方のほうが通る可能性は高いですよね。そこにやる気や真摯な姿勢が感じられますから。

佐藤

わかりました。航空業界全体に活気が出てきて、採用にも意欲的な今日、新卒・既卒を問わず、志望者には今こそがチャンスな時期。倍率なんか気にせずに、諦めないで前向きにぶつかることが大切なんでしょうね。


「新卒」「既卒」をバランス良く採用し事業拡大に対応していきたいんです。航空業界志望者には、チャンスの時代ですよね。
清見佳秀
プロフィール
きよみ よしひで/経済学部卒。1991年に全日空入社。もともとはパイロット志望で、1年半、アメリカで訓練を受けた経験がある。現在は主席部員として客室乗務員限定の採用業務を担当。面接のコーディネートなど、幅広く活躍中。













2007年の客室乗務員新卒採用は400名の予定。『就職成功の秘訣』バックナンバーでもANAの客室乗務員、田中裕子さんの体験談をご紹介しています。













2009年に羽田に4本目の滑走路が出来ること、中国という新たなマーケットの誕生は航空業界にとって明るい話題です。













客室乗務員の採用は何となく短期雇用というイメージがありましたが、「基盤形成期」を経てキャリアアップされているのですね。
佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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