キャリアの達人に聞く16
 
キャリアカウンセラー対談 第16回
チャレンジを恐れずに人間力を磨く方法
世界を相手に経営コンサルサントとして活躍する浜口さん。留学を経験し、多くの人との出会いを通じて、アメリカ、そして日本で大きな成功を勝ち得た彼に、これからの若い世代に期待すること、そして留学の意味について教えていただいた。
くすぶっていたローラースケート時代

佐藤 バイタリティに溢れ、自ら道を切り開かれてきた浜口さんですが、キャリアの中で「挫折」はありましたか?

浜口

それは何度もありましたよ。アメリカで希望の会社に就職したあと、「こんな雑用をするために入社したわけではない!」と荒れたこともありました。でも、最大の挫折は、就職前の「ローラースケート時代」ですね。その時の私は「生きた屍」でした。

佐藤

その、「ローラースケート時代」とは?

浜口

アメリカのビジネス・スクールに行くために、それこそ人生を賭けて死ぬほど勉強したのに、7校すべてに落ちてしまった時のことです。さすがの私も「人生、これで終わった」と思いました。受かることを前堤に渡米していましたから、アメリカに住む姉の世話になりながら、生きる気力もないまま、ダラダラと過ごしていたんです。まさにジョブレス・ホームレス・ホープレスの時代。そんな時、知らないアメリカ人から、「お前、元気がないな。だったら一緒にローラースケートをやらないか」と誘われました。やることもないし、ヤケ気味で始めたんですが、みんなの期待に応えようとスケートに打ち込むうちに、努力する楽しさを再認識。生まれ変わるきっかけとなったんです。

佐藤

まわり道をしたけれど、結局はいい経験になったわけですね。

浜口

はい。私がその後、就職試験に合格できたのも、ローラースケートをやっていたからだと思います。私たちはローラースケートをやりながらピラミッドを作るという、アクロバットなパフォーマンスにトライしていたんですが、みんなが大声を出さないとコミュニケーションが成立しないんですよ。お陰で、就職試験では誰よりも大きな声で質問に答えられた。入社基準を満たしていないのに採用されたのは、「コイツは迫力があるな、元気のいいヤツだな」というインパクトがあったからではないかと思っているんです(笑)。それに、挫折の経験があるからこそ、私は本が書けるのです。負けたり、失敗したり、落ち込んだり、そんなできそこないの人間でも、ちゃんと夢を叶えることができるんだと、多くの人に勇気を持っていただきたいと思っています。
負けたり、失敗したり、落ち込んだり・・・挫折の経験があるからこそ多くの人に勇気を与えられると思っています。 出会いを糧に人は成長するんです

佐藤 浜口さんの強さは、ご自分を触発する多くの方々と出会われたからではないかと思うのですが。

浜口

まさに、出会いは財産であると感じています。人から学ぶことほど、尊いものはありませんから。

佐藤

憧れたり、目標としている方も多いんでしょうか?

浜口

多いですね。たとえばKPMG時代の私の上司。いまだかつて、あんなに早く仕事をする人は見たことありません。事務処理能力はもちろん、決断も早いし、行動もスマート。「彼が通ると風が吹く」と言われるぐらい歩き方も速かった。そして、努力の人なんです。何度、「彼がしてきたことなんだから、私もやらなきゃ」と触発されたかわかりません。

佐藤

単なる仕事マシンではなく、人間として魅力的な方だったんですね。

浜口

大きな憧れでしたね。彼が仕事場に来ると空気が変わるんですよ。オーケストラの指揮者が登場したような感じでしょうか。みんながバラバラに仕事をしていた現場が、彼が来ることでピッとした緊張感が走って、一斉に同じ流れができる。職場が一体となって、大きな感動を生み出すんです。今でも、仕事をしている中で「彼だったらどんな判断をするだろう」と考えることがあります。

佐藤

そんな出会いのチャンスを、積極的に作ってこられたんですね。

浜口

怖いもの知らずですから(笑)。相手とどれだけ身分が違おうが、「会えるわけがないよ」と笑われようが、実際に動いてみないと、ホントにそうなのかはわからないですから。

佐藤

最近、キャリアカウンセリングをしていると、就職活動する際にどういう仕事がしたいのかを具体的にイメージできない方が多いように感じるんです。私は、身近な人でも、留学先でも、どんな人でもいいからできるだけ多くの人に接し、その人の仕事について1日がイメージできるぐらいに、深く話を聞いてみることを薦めています。どんなことが大変で、どんなことがやりがいなのか、たくさんの人の価値観に触れ、自分がその話や仕事をどう感じるのかアンテナを研ぎ澄ませておくといいと。

浜口

それは素晴らしいアドバイスですね。出会いを糧に人は成長するのものですし、出会いには多くの発見がありますから。

佐藤

そんな出会いのチャンスを増やすには、やはり自ら行動することが大事ですよね。少しでも興味があったら、「この人に出会うのは無理」などと決めつけずに、自分からアタックしてみる。これから夢に向かっている人には、ぜひ、浜口さんのようなポジティブな行動力を見習っていただきたいですね。
「この人に会うのは無理」だと決めつけず少しでも興味があったら自分からアタックする行動力を見習いたいですね。 借金をしてでも
留学を経験したほうがいい


佐藤 最後に、経営者としての浜口さんにお尋ねします。現在のビジネス社会で求められているのは、どういう人材でしょうか。

浜口

プロ意識のある方ですね。受け身ではなく、「これだけの結果を出すから給料をください」と言える人。ある意味、プロ野球選手のような明確なプロ意識が必要だと思います。ただし、それだけでは個人プレイになるので、人とうまく係わる能力、協調して共存する能力も求められます。私は「人間関係マネジメント力」と呼んでいますが、これら2つをバランス良く持っていれば、どこに行っても通用すると思います。

佐藤

スキルを持った上で、人間力もある人物ということですね。そういう方はやはり、浜口さんのように、苦労や経験を重ねて結果を出してきたのでしょうか?

浜口

そう思います。少なくとも、がむしゃらに努力した経験がない人は、リーダーには向かないような気がしますね。

佐藤

留学中の人や、これから留学しようと考えている人に対して、アドバイスはありますか?

浜口

私は「みんな留学すべき」だと思っている人間です。語学留学だっていいし、極端な話、バックパックを持った一人旅だっていい。ともかく違う文化、習慣、考え方の中に身を置くことで視野が広がりますし、自分自身の長所や短所も見えてくるんです。それに、留学というのは「たった一人になる」という貴重な経験ができる機会なんです。もちろん多くの友人もできるでしょうが、最終的に「頼れるのは自分一人」ということを自覚する。若いうちにそういう環境に自分を置いて、自己発見をすることは、すごく大事なことだと思いますね。極端な話、借金をしてでも日本を飛び出してみたほうがいいと言いたいぐらい(笑)。たとえ、すぐに経験を活かせなくても、人生に大きな転機が訪れたときに、留学経験をしていたほうが強い。「海外の文化に触れてきた。言葉の違う国でコミュニケーションを取り、暮らしてきた」という経験が、必ず生きてくると思うんです。

佐藤

最後に、これを読んでいる読者に、元気が出るメッセージをいただけますか?

浜口

「若いんだから、やぶれかぶれに挑戦しなさい」ですね。考える前に動け、ということです。私は商談に行くと、考えるより前に「はい、できます」と答えていることが多いんです(笑)。で、会社に戻ってから「ホントにできるのかな、どうやったらできるんだろう」と考える。でも、おもしろいもので、やってみたらほとんどできるんですよね。もちろん自分ひとりの力では無理だから、専門家の知恵や仲間の力を借りますが、その気になれば本当に不可能なことは少ない。まさに、私の人生のように・・・。だからみなさんも、臆病にならずに、いろんなことに挑戦してほしいですね。その過程のすべてが、あなたのキャリアになるのですから。


「頼れるのは自分一人」という環境に身を置けるのが留学の良さ若いうちに経験してほしいと思います。
浜口直太
プロフィール
はまぐちなおた/1960年兵庫県生まれ。高校在学中にアメリカに1ヵ月間短期留学。「将来は国際経営コンサルタントになる!」と心に決める。創価大学経営学部を卒業後、テキサス州立大学経営大学院でMBAを取得。更にペンシルバニア大学ウォートン・スクール博士課程で財務、国際経営を専攻する傍ら同大学院で教える。米KPMGピート・マーウィック、米プライス・ウォーターハウス勤務を経て、1992年にテキサス州で経営コンサルティング会社を設立。97年には東京に株式会社日本コンサルティング・インターナショナル(現JCI)を設立。日米アジアを中心に、総合的な国際ビジネス・経営&起業コンコルサント並びに、国際ベンチャーキャピタリストとして活躍中。『あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール』『天職の見つけ方』『仕事が速い人のすごい習慣&仕事術』『仕事と人生を熱くする、いい話』など、著書多数。留学ジャーナルOB











「毎月出版する」ことを目標に掲げ執筆を続けていらっしゃる浜口さん。
多くの本が書店に平積みで並ぶ。『天職の見つけ方』は特に就職活動を考えていらっしゃる方に参考になる。












「会えるわけがないよ」と笑われようが実際に動いてみないとホントにそうなのかわからない。出会いは財産。人から学ぶことほど尊いものはありません。









臆病にならずにいろんなことに挑戦して欲しい。その過程すべてがあなたのキャリアになるのですから。
佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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