キャリアの達人に聞く18
 
キャリアカウンセラー対談 第18回
強い意志を持ってキャリアを考える方法2
ソニーが求める人物像は確固たる意志を持っている人。そのために何をすればいいのか。ソニーの採用担当として活躍する日置さんに、留学生を含む若い人々のキャリアの考え方、面接でのアピールの仕方、そして、自分に適した仕事の見つけ方について伺った。
『ロサンゼルステクニカルキャリアフォーラム』に集まった
留学生たちの実態


佐藤 9月に日本人留学生の採用活動のために、ロサンゼルスへ行かれたそうですが、詳細を教えていただけますか?

日置

留学生は就職活動のために日本に帰ってくることも難しいですよね。でも我々採用する側が出向いて行けば、海外で頑張っていらっしゃる方と会うことができます。そこで、日経ディスコさん主催の『テクニカルキャリアフォーラム』という就職フェアに参加したんです。

佐藤

何人ぐらいの留学生とお会いになられたのですか?

日置

今回は技術系をメインにした採用ですが、2日間で約100人の方と直接お会いしました。ただ、ここで「○人の採用を確保」というわけではありません。前回もお話したように、意欲や意志のある方がいれば・・・というのが前提です。

佐藤

おひとりずつ面談されるのですか?

日置

基本的にはそうです。まず1時間ぐらいの説明会を開き、その後に1人20分から40分の面談となります。フォーラム開催地はロサンゼルスですが、アメリカは広いですから、飛行機で何時間もかけて来る方もいらっしゃいます。その方々に5分程度の集団面接をしたら失礼ですよね。それにソニーのこれからや求める人物像など、こちらからの情報をしっかり提供するという目的もあります。

佐藤

集まった留学生たちをご覧になって、何か感じたことはありましたか?目的を持って留学をする以上、将来の夢ややりたいことが明確な人が多かったのではないでしょうか?

日置

そうですね。やはり留学の目的がハッキリしている方には魅力を感じます。海外での暮らしには様々な苦労があると思いますが、それをどうやって乗り越えてきて、そこで何を学んだかを語れる学生さんは魅力的ですね。

佐藤

今回のフェアでお会いした中で印象的な方はいらっしゃいましたか。

日置

そうですね。現在も選考が続いているため詳細はお話しできませんが、お会いした方々の多くは、「国際的に活躍しているソニーで働いてみたい」と言ってくださっていましたね。選考の流れとしては、魅力を感じた方にはこちらからご連絡して、お互いの理解を深めていくことになります。

佐藤

海外在住のために情報が少ない中で就職活動をしていかなければならない留学生も大変だと思いますが、御社のように企業側がオープンスタンスになっていただけると、留学生にも様々なチャンスが広がってきますね。
せっかくアメリカまで行くのだからこちらからの情報提供もしたい。5分、10分の面談で終わらせるわけにはいきません。 失敗を恐れずにチャレンジしてほしい

佐藤 留学生も含めて、最近の学生さんたちと接していらっしゃる中で、ここが足りないという部分はありますか?私は、とても真面目で優秀な反面、どこか失敗を恐れてしまっている人が多いような気がしているのですが、いかがですか?

日置

たしかにそうかもしれません。みなさん優秀ですが、どこかこぢんまりしている(笑)。ギラギラした野心や野望を持っている人が少ないですよね。でも、それは我々の責任だと思っています。

佐藤

企業側の責任ですか?

日置

景気の低迷があったとはいえ、一時期採用数を減らしてしまったこと。そして「即戦力が欲しい」と言い過ぎてしまったこと。学生さんは何とかして入社しようと、入社の手段として勉強する。自分のためではなくね。そして、競争率が高いからこそ、小さなミスは許されないと萎縮する。そうなってしまったのはしょうがないことで、彼らだけを責められない。でも本当は、「失敗してもいいから、何でも挑戦します!」みたいに無邪気な心がもっと欲しいですね。今の学生さんたちを見ていると、「なんでそんなに急いで成果を出したいのか?目先の成果ばっかり求めてどうするんだ!」と思ってしまいます。

佐藤

つまり、採用環境が厳しい時代の名残で、若い人たちも小さくまとまってしまったということでしょうか。本来は、チャレンジして失敗してまたチャレンジして・・・を繰り返し、そこから何かを得ていくべきですね。

日置

そうですね。目の前の成果も大切ですが「もっと大きくなりたい」というような、ゆったりした意志が欲しいですよね。

佐藤

逆を言えば、採用環境が明るくなっている今は、若い人たちも存分に暴れられるということでしょうか。目先の成果だけに囚われず、長い目で見て、自分を成長させていこうという視点も大切ですね。
目先の成果だけに囚われず長い目でキャリアを考えて自分を成長させていくという視点も大切ですね。経験や能力を「使える」という証拠を見せてほしい

佐藤 前回、「留学経験者は自己PRの方法に慣れていないかもしれない」というお話がありました。真面目に留学して、それなりの経験をしてきた留学生は、企業に向けてどうやって自分をアピールしたらいいとお考えですか?

日置

言葉で言うのは難しいのですが、弊社がよく言うのは「あなたのどこを買えばいいのか、きちんと教えてほしい」ということです。「我々はあなたに投資をしようとしているのだから、どの部分が投資に値するかを教えてほしい」と。

佐藤

それは、前回もお話下さった「事実の羅列」ではなく、経験から引き出してくるということでしょうか。

日置

そうです。「AとBとCができます」では、ただ商品が並んでいるだけ。我々が知りたいのは、A・B・Cの能力を、どうやって使ってきたのか、それをどうやって磨いているのかなんです。要するに、A・B・Cの武器が会社で使えるということを証明してほしいのです。「自分は過去にこうやって使ってきたから、企業に入ってもこうやって使えるはずだ」というね。

佐藤

そのためには、自分のことをアピールするだけではなく、社会や企業がどういう仕組みで成り立っていて、どういう人を求めているのかを知っておく必要がありますね。

日置

ある程度は必要でしょう。知らないと「『そこで』何がやりたいのか」は語れませんから。

佐藤

留学生は「せっかく学んだのだから、英語を使える仕事がしたい」という人が多いのですが、仕事選びについて、何かアドバイスはありますか?

日置

ひとつ言えるのは、「こだわりを持つことはいいけれど、決めつけない」ということですね。留学したから絶対語学を活かせる仕事じゃなきゃダメだ・・・では、可能性を狭めてしまうと思うんです。たしかに留学先では就職情報も少ないと思いますが、留学生同士のネットワークを利用したり、それこそ御社を活用するなどして、いろんな会社を見てみたほうがいいと思います。ただし、ちょっと見ただけで知った気になるのは危険。私が就職活動をしているときに、当時の社長だった大賀さんのインタビュー記事を読んだのですが、「この記事を読んでソニーのことがわかったと思うような人はソニーには向かない」というような記事が書いてありました。すごいことを言う会社だなと感心したのですが、会社に入ってみて本当にそうだなと思いました。自分のことなんだから鵜呑みにせず自分の目で見て確かめるべきだし、本気であれば意志を持って積極的に行動して欲しいと思います。

佐藤

インターネットの発達で情報は集めやすくなっているかもしれませんが、机の上やPCの前からだけ得られる情報に頼っていてはいけないということですね。生の声を聞くためにどう動いたらいいのかを、自分の頭で考える。そんなプロセスそのものも、自分の意志を持った就職活動の大きな要素ですね。11月のボストンでのキャリアフォーラムでも、多くの留学生に、ソニーのスピリッツを生で伝えていかれることと思います。お時間ありがとうございました。


若いキミたちに投資する我々に「どこが買いのポイントなのか」をハッキリ示してほしいんです。
日置映正
プロフィール
ひおきてるまさ/1972年静岡県生まれ。95年慶應義塾大学総合政策学部卒業後、ソニー株式会社入社。厚木テクノロジーセンター厚木社員部、ブロードキャスト&プロフェッショナルシステムカンパニー人事部から、2000年人事センター人事部人材開発グループを経て、2005年1月より人事センター採用部新卒採用グループ、2005年7月より同グループ統括課長。













9月の『ロサンゼルステクニカルキャリアフォーラム』では2日で約100人の留学生と会ったと言う。11月には世界最大規模のバイリンガルのための就職イベント『ボストンキャリアフォーラム』に参画。













海外での暮らしを通じて苦労したこと、それをどうやって乗り越え、そこから何を学んだのかを語れる人には魅力を感じます。













情報を鵜呑みにせず、自分の目で見て確かめる。本気であれば意志を持って積極的に行動して欲しいと思います。













佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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