キャリアの達人に聞く19
 
キャリアカウンセラー対談 第19回
海外で培ったキャリアを企業にアピールする方法
アデコは世界最大の人材総合サービス企業。留学ジャーナルと提携し、各種のキャリアセミナーやカウンセリングにもご協力いただいている。今回と次回の2回に渡り、アデコの『人材紹介(転職支援)』と『新卒派遣推進課』の東京留学ジャーナルカウンセリングセンターの窓口担当者に、話を伺った。第一回目は「人材紹介サービス部」に立ち上げから深く係わっている西山さんに、第二新卒を含む転職や就職の市場環境と海外で培ってきたキャリアをどのようにアピールすればいいのかを伺った。
昨今の転職環境

佐藤 留学ジャーナルで実施しているキャリアセミナーなど、西山さんには日頃から様々な面でお世話になっていますが、アデコさんがどういう会社なのか、留学生の方々にも改めて知っておいていただきたいと考えています。アデコさんといえば「派遣」というイメージがありますが、それだけではありませんよね。

西山

はい。私の部署では、就職・転職の相談に来られた方に、「正社員の求人を持っている企業」をご紹介しています。最近では契約社員も若干増えましたが、基本的には正社員の案件を扱っています。

佐藤

最近の傾向として、企業がどんな方を求めているのかを教えていただけますか?

西山

年齢で言えば、ホットなのが33歳以下です。35歳でもいいんですが、ニーズが多いのは33歳以下なんです。というのも、就職氷河期に採用を控えていた企業が、採用をしなかった人材層を埋めようとしているからです。

佐藤

本来あるべきピラミッドが形成されていないことに気づいて、採用に積極的になってきたということですね?

西山

そのとおりです。逆を言えば、氷河期に採用が少なかったので納得のいく就職活動ができず、この時期になって新卒時代に志望していた企業に再チャンジする人も増えているんです。私たちは「リベンジ」と呼んでいます。

佐藤

33歳以下ということですが、年齢によって求められるキャリアに違いはありますか?

西山

25歳以下なら基本的にはポテンシャル採用なので、未経験でもニーズがあります。30歳以下になると、何かその業界に関連したことに携わった人が求められます。たとえば、業界は違うけれど同じ営業職をしていたとか、職種は違うけれど同じ業界で働いていたとか。これが30歳以上になると要求するレベルが高くなって、職種も業種も知っている人材が求められます。さらに35歳以上になると、専門性だけではなく、管理職候補としてマネジメント能力も求められますから、レベルが高くなるだけでなく、求人そのものも減ってきてしまうんです。

佐藤

そういう中で、今、積極的に採用に取り組んでいる業界はありますか?

西山

やはりIT業界ですね。SEの募集はかなり多いですし、IT業界は伸びています。あとは金融です。これまで金融業界は中途や第二新卒を採用していなかったのですが、ここ最近は30歳以下の募集が増えているんです。私は「30年に一度の大チャンスですよ」とお話ししています。

佐藤

留学される方の中には、大学や専門学校を卒業してそのまま留学し、就業未経験のまま25歳を過ぎてしまったという方もいらっしゃいますが、そういう方の受け入れの可能性はいかがでしょうか。就業経験がないことがネックになることはありませんか?

西山

そういう方を私たちは、第二新卒ではなく「未就業者」と呼んでいます。たしかに、実務経験がないということは、入社後に電話の取り方から教えなければならないので、手間がかかる分、募集は減ります。しかし、最近の傾向としては、未就業の方でもそこにちゃんとした理由があればOKですという企業さんも増えてきています。

佐藤

就職をしなかった理由ですね。

西山

はい。認められやすいのが、第一に公務員試験などの資格へのトライ。もうひとつが留学。要するに、就職しなかった分、勉強した、自分を磨いたという理由があれば、それはネックにはならなくなってきています。
33歳以下の求人が増えている今日 就職しなかった理由が明確であればそれはネックにはなりません 人に伝える能力を磨く

佐藤 留学中にインターンシップやサマージョブなどを経験する人も多いのですが、採用シーンで、企業側はその経験をどれだけ加味するものでしょうか?

西山

正直、「キャリア」としては見てもらえないと思います。「この経験(インターンシップなどでやった仕事内容)を買ってください」と言っても、あまり通用しません。ただ「そこで何を得たか」を語れれば、武器にはなるでしょうね。

佐藤

職種や業種が応募する内容と違う場合はいかがですか?

西山

留学というのは、中身も目的も人それぞれですよね。特に20代の若い世代なら、「何を得たか」「どんなふうに成長できたか」を、わかりやすくまとめて説明することができれば、評価はしてもらえます。もし、まとめ方がわからなければ、私たちや佐藤さんのようなキャリアカウンセラーがお手伝いするので、これから就職する人は、ぜひ「伝える能力」を磨いていただきたいんです。

佐藤

アデコさんのようなエージェントを利用するメリットのひとつに、自分の知らない会社や仕事と出会えるということがあると思うんです。実際にキャリアカウンセリングをしていても、初めての就職や転職の場合、テレビのCMなどで知っている大手の企業にしか目がいかない方が多いと感じています。西山さんはいかがですか?

西山

そうなんです。みなさん、仕事のことをあまりにも知らない方が多いですね。「マーケティングの仕事がしたい」というから「それはたとえばどんな仕事?」と伺うと、「よくわからない」と答える方が多かったり。

佐藤

言葉のイメージもありますよね。マーケティングやコンサルタントという職種は、留学生にも人気が高いんですが、「営業」というと敬遠されがち。実際の仕事内容を見てみると、お客様のニーズを聞いて課題を解決していくような内容は、職種の呼び方が違うだけで、やることは一緒だったりしますよね。

西山

だから私は、未就業者の人にはとくに「転職先を決める前に、新卒者向けの業界研究本を買ってきて、熟読してみてください」と言っているんです。世の中には本当にいろんな仕事がある。たとえば私のような人材紹介の仕事があるってことも、多くの方はご存じないのではないでしょうか。まさにそこなんです。まずは世の中を知り、次に自分がどこで何をやりたいのか考えても、遅くはないですからね。

佐藤

自分がやりたい仕事を見つけ、そのまま進めれば一番ハッピーですが、まずは世の中を知るという意味でも、アデコさんのような専門の機関を活用することで、視野も、自分の未来の可能性も広がりますね。
自分の知らない仕事や会社で出会えるそのために、アデコさんのような専門の会社を活用すると未来も視野も広がりますね。 5年後、10年後をイメージして仕事を選ぶ

佐藤 最近、注目されている資格などはありますか?

西山

会計の資格のUSCPA(米国公認会計士の資格)は強いと思います。先週、24歳の男性と面談したのですが、彼は大学でCPAを2科目取り、就職せずにアメリカに留学して、語学を学びながら残りの2科目を取得したんです。インターンシップは会計事務所で3ヵ月間、コピー取りなどの事務をやっただけだそうですが、彼の望み通りの、外資系監査にすんなり就職が決まりました。

佐藤

その方の成功の秘訣は、やはり資格が強かったからでしょうか?それ以外にも何かありますか?

西山

もちろん資格も強かったと思いますが、彼は『英語』をしっかり学んできたという点で先見の明があったと思います。CPAの資格を評価してくれるところは圧倒的に外資系が多いので、資格を取るなら語学力も必要だと、きちんと先を読むことができたということですね。しかも彼は、説明能力が高い人だったんです。「なぜ自分はCPAの勉強をしたのか、この先どうなりたいのか」ということが、私にもとてもよく伝わってきました。

佐藤

なるほど。逆に、エージェントを通しての紹介が難しいケースなどあれば、参考のために教えていただけますか?

西山

残念ながらありますね。一番は年齢で、35歳以上の方、転職歴が多い方などです。それ以外では、年齢と実務経験のバランスが悪い人も、やや苦しいかなあと。

佐藤

たとえばどんなケースですか?

西山

大学を卒業し、2年間の実務を経て留学し、MBAを取ってきた方がいらっしゃいました。その時点で30歳。しかもその方は「MBAを活かせる仕事、評価してくれる会社を紹介してほしい」というオーダーでした。しかし、大卒の22歳から30歳の8年間の間に、実務経験が2年間しかなく、残りの6年をかけてMBAを取ったことになるんですよね。せっかくお金をかけて留学して資格を取ったとしても、実務経験が少な過ぎるので、この場合は難しいですね。MBAを取って戻ってきたのが25歳前後だったり、逆に30歳なら実務経験が4、5年あったりすれば、また話は変わってくるんですが。

佐藤

留学して何かを学ぶにしても、先の先を見ることが大切なんですね。

西山

それから、留学生の方にぜひ伝えておきたいことがあるんです。時々、仕事を探す上で「英語力をアップさせるために、英語を使う仕事がしたい」と言う方がいらっしゃいますが、これは本末転倒です。「なぜ、給料を払いながら英語の勉強をさせなきゃいけないのか」と、企業側は考えるでしょうし、私もそう思います。英語を使う仕事がしたいなら、自分の英語力を高めてからトライするぐらいでなければ。

佐藤

おっしゃるとおりですね。仮に英語力が基準を満たしていなくても、「その代わりにこんなことができる」というギブと「その分、御社でこんな成長がしたい」というテイクのバランスが大切ですね。私も新卒や就職活動が初めての方のセミナーやカウンセリングを行う機会が多いのですが、実際、そうした一見常識と思われるような根本的なことからアドバイスをしています。就職に限りませんが、テイクばかりを求めてしまうと失敗してしまいますよね。今回は改めてお話を伺うお時間をいただきましたが、転職する際の年齢や、キャリアを築いていく際のヒントをいただけました。ありがとうございました。


この留学が、5年後、10年後の自分にどうつながっていくのかをきちんと考えてほしいと思います
日置映正
プロフィール
にしやまようこ/新卒で証券会社に入社してから4年間、営業企画の仕事に従事。その後、2年間ドイツで暮らす。帰国後、人材紹介という仕事があることを知り、大手人材紹介会社で4年間勤務。その後アデコの「人材紹介」の立ち上げメンバーとして就職。以後、12年のキャリアの中で、多くの企業、求職者と面談して、「ベストマッチングの実現」を目指している。

















留学というのは中身も目的も人それぞれ。特に20代の若い世代の方には「何を得たのか」「どんなふうに成長できたのか」、それらを「伝える能力」をぜひ磨いていただきたいと思います。

















高山さんは2006年の10月に帰国し人材紹介サービス部で勤務している。新卒でアデコに入社し派遣事業部の営業職として4年間勤務の後、1年休職してアメリカ留学を経験。留学を終えてアデコ タイランド(タイ)に4年間勤務。留学や海外勤務の実体験者として頼もしいアドバイザーだ。

















私たちがお待ちしています!










佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
次のページへ >
<帰国後の就職も考えよう トップページへ > もっと見る
留学ジャーナルモノになる留学へ。
帰国後の就職も考えようキャリアの達人に聞く19の紹介ページです。
短期留学や語学留学はもちろん、ワーキングホリデー、大学留学、大学院留学まで幅広くご紹介している留学ジャーナルが、皆さんの海外留学への思いをカタチに変えます。海外留学の実現は、留学ジャーナルで!