キャリアの達人に聞く24
 
キャリアカウンセラー対談 第24回
キャリアを生かし、キャリアを磨く留学とは?
週刊英和新聞『朝日ウイークリー』の鈴木和枝編集長にお話を伺った第2回目。複数の転職経験を持つ鈴木さんだが、社会人としてスタートを切った出版社在職中に、アメリカに留学。留学をキャリアアップにつなげる心構えやコツなどについて語っていただいた。
豊富な経験が、
思わぬところで生きてくる


佐藤 鈴木さんの留学は、社会人になってからのよりプロフェッショナルを目指したキャリアアップ留学だったんですね。でも、ジャーナリズム専攻は母国語でも大変そうなのに、まして英語での履修。苦労も多かったのでは?

鈴木

ええ。英語を使う仕事をしていましたから、少しは通じるかと思っていたのに、全然通用しなくて落ち込みました。特に大学院では英語力ありという前提で授業が進むので大変です。たとえば、何時間で何について書くという宿題にも、全然書けないことも多く、教授には「1日1段落でも書くように」と指導されたりしました。

佐藤

どんな風に克服されたんですか。

鈴木

辛いこともありましたが、社会人留学だったこともあり、「ここで挫折できない」という気持ちも強かったと思うし、仕事での経験が助けてくれましたね。日本では主に英語を書くだけでしたが、渡米して寮生活を送ることで「話す」機会が劇的に増えたんです。最初は戸惑ったんですが、わりとすぐに慣れて、コミュニケーションがとれるようになりました。ジャーナリズム以外の現代文学のクラスを取り、気分転換と速読の強化に利用したりしました。たぶん、仕事で書いていた英語や社会経験、会話を組み立てる基礎力になっていたんだと思います。

佐藤

それまでの経験が支えになっているという手ごたえを感じられたわけですね。

鈴木

どんなことでも土台固めをしておけば、いつかどこかで役に立つことを実感しましたね。それに、寮には留学生が多く、「変な英語」を話す者同士、親近感も湧いて仲良くなれた。また、ジャーナリズム志望者には変わり者も多くてユニークなイベントも多かった。とにかくよく学び、よく遊んだキャンパス生活でした。

佐藤

鈴木さんにとって、留学とはどんな意味がありましたか。

鈴木

まず、いろいろなことがラクになりましたね。それに、(男女平等の意識が根づくアメリカで)刺激を受けて、「好きなことをやっていいんだ」「自分のしたいことをしよう」と妙に覚悟ができました。同時に、「ここに長くいてはいけない、早く日本に帰ろう」とも思いました。一度外に出たことで、日本から外国に向けて書くという将来の方向性を見つけられた貴重な場だったように思います。
留学では未知の体験にショックを受けることも多い。

その辺を予め覚悟しておくことが大切。

ショック以上に、得るものがきっとあります。

——鈴木和枝さん/『朝日ウイークリー』編集長 苦境を救うのは、
自分のやる気と周囲の助け


佐藤 帰国後は数回の転職と異動を経て、『朝日ウイークリー』の編集長になられていますね。

鈴木

「英語」と「書くこと」という意味では全部の転職がつながっていますが、特に編集長という仕事は編集業務に加え、人事管理や部の運営などもあり、総合力のデパートみたいな職務。これまでの経験がすべて結びついている気がします。

佐藤

明確なキャリアビジョンを持って進んでこられた結果でしょうか。

鈴木

初めから理想の仕事や職場に入れる人は少ないとは思います。自分がその仕事に合っているかどうか、または周囲から評判のいい会社が自分にも合うかなんて分かりにくいし。でも、やってみようと決めたことはある程度がんばってみるべきです。どんな場でも「つかめること」「学べること」はあるし、最終的に失敗してだめになったら、やり直せばいいのですから。

佐藤

転機ごとにチャンスをつかみながら、結果として筋の通ったキャリアを積んでいくコツのようなものはありますか?

鈴木

う〜ん、そうですね。『Reader’s Digest』が廃刊になって1年ほど無職になったときはちょっと落ち込みましたが、だいたい、いつも前に進んでいますから何とかなりましたね。迷ったときは冒険するほうを選ぶ性格でもあります。人脈と前向きな思いがあれば、道は開けるものだと思っています。

佐藤

人脈も大切ですよね。

鈴木

どんな職場にもひとりくらいは自分のことをわかってくれる人がきっといるし、愚痴をこぼせる友人がいると救われます。私にも、時々食事会をもつ英語教師と翻訳家の友人がいます。たまに落ち込んでいると私を一所懸命誉めてくれるんですよ。「あの記事はよかった」「どんどん書くべきよ」とか。そうするとまた元気が出てくるんです。そういうのを、「Mutual Admiration(仲間内で誉めあうこと)」というのだと、ニュージーランド人の翻訳家友だちが教えてくれました。私には、仕事を離れると、遊びモードや母親モードにスイッチできる特技があるようです。

佐藤

転機のたびに手を差し伸べてくれる人がいるというのは、鈴木さん自身も日々、何かを発信しているからではと思うのですが。

鈴木

人とつながるチャンスをつかむことは大切ですね。本音で話せる友人は大事にすべきだし、私は小さなつながりや仕事以外の世界を大事にするようにしています。居場所がひとつしかないとアリ地獄に陥ることもあるので、拠りどころとなるような場所をいろいろと持っておけば、助けになってくれるものです。

佐藤

鈴木さんは物腰も話し振りも穏やかな印象ですが、お話を伺っていて、実はかなり冒険心のある方だなと感じたのですが。

鈴木

実は子ども時代はめそめそする性格だったし、いい子ぶりっこだったんですよ。でも、留学を機に少しドライになった気がします。外国人の友人たちはみな、「やれやれ」と背中を押す人たちばかりだったし、大いに刺激されました。

佐藤

留学の先輩として、留学希望者や現在留学中の人に向けて、ぜひメッセージをいただけますか。

鈴木

留学経験をどう活かすかはその人次第だと思いますが、成長のきっかけにもなるし、チャンスがあるなら挑戦してほしいですね。ただし、行く前に十分な心がまえは必要。勉強も大変だし、楽しいことばかりではありませんから。「行けばなんとかなるだろう」という考えで行く人と、「○○をしたい」と明確なビジョンを持っている人では結果が大きく違ってくると思います。

佐藤

人もキャリアもつながりが大事・・・。今日はいろいろ元気づけられました。どうもありがとうございました。
留学は、けして楽なものではないからこそ、

さまざまな困難や壁を乗り越えていくうちに、

気持ちの切り替えややり直しの術を学べるのでしょうね。

——佐藤江利奈/留学ジャーナル キャリアカウンセラー
鈴木和枝氏
プロフィール
すずきかずえ/茨城県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、英文季刊誌ジャパンエコー誌で編集に携わる。英文編集者として活躍中の1979年、ロータリー財団の国際親善奨学生に選ばれ、米国アイオワ州立大学大学院に留学、ジャーナリズム学で修士号を取得。帰国後、英字新聞社、『リーダーズダイジェスト日本版』勤務後朝日新聞社入社。国際配信部、ジャパン・クォータリー編集部、ヘラルド朝日などを経て、2004年から現職。





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『朝日ウィークリー』は政治・経済、スポーツからエンターテイメントまで旬のテーマを取り上げ、英語を学びたい幅広い読者に支持されている。






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『Mutual Admiration(褒めあう仲間)』——ニュージーランド人の翻訳家の友達が教えてくれた言葉です。転機の時や、落ち込んだ時、褒めあえる仲間の存在は大きいですね。






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取材を終えて。 外国人記者クラブの壁や扉には、歴史に残るスクープ写真が所狭しと掛けられている。






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佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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