キャリアの達人に聞く25
 
キャリアカウンセラー対談 第25回
「舞台は世界」——医療・医薬品業界で働くということ
医薬品の開発・製造や販売などヘルスケア分野でグローバルに事業展開し、世界をリードするファイザーグループ。その傘下のひとつ、ファイザー株式会社はアメリカに次ぐ世界第2位の日本市場を中心に6000人の社員が活躍、2000年のワーナー・ランバート社、03年のファルマシア社との相次ぐ合併を経て、ますます勢いづく。そんな同社の、拡大成長を支える人材の安定確保を担う、人事部門の小川善之課長にお話を伺った。
コミュニケーション力が高く、
チームワークの取れる人が活躍する


佐藤 ここ数年は健康ブームもあり、医療関連事業への関心も期待も高まっています。業界の活況を担う人材確保という意味でも、御社の採用活動の現状を教えていただけますか。

小川

2004年に採用の専門部署として人事サービスセンター採用課を設置して、一部の専門職を除いて新卒・中途ともに採用活動を行っています。新卒の採用数は年によって変動しますが、ここ数年の平均実績は、メディカル・リプレゼンタティブ(MR)が約50人、開発部門約5人、工場勤務などの製造部門が約5人ほど。基本的に新卒は職種別に採用しています。その他の専門職や管理職は随時、中途採用しています。

佐藤

年によって変動とは?

小川

2001年〜03年は、新卒でMRを約500人採用しています。3社合併や新薬上市数も多く、社として急成長期だったこともあり、人材確保が急務だったからです。

佐藤

なるほど。採用人数は業界の動向に応じてというよりは、各社が必要に応じて調整することのが多いのですね。職種による応募条件、たとえば大学での専攻分野の指定などはありますか。

小川

開発部門及び製造部門では薬学、化学、生物、医学など、理系の修士了以上限定ですが、MRには特に指定はありません。文系も理系もいますし、修士もいます。

佐藤

医薬品業界特有の職種という意味では、やはりMRでしょうか。ここからはMRに絞って伺わせてください。求められている人材像とは?

小川

MRは医薬品販売の営業ですが、入社時から専門知識を求めることはなく、一般的な採用基準で採用しています。ですから最近は、他業種の営業職と併願する応募者も多いですね。ただ、当社は特に営業に力を入れているのと、「領域別専門MR制」をとっているので、コミュニケーション力が高く、チームワークの取れる人がより適していると思います。

佐藤

「領域別」とは?

小川

循環器系や呼吸器系など、ある疾病の領域に特化し、より専門性の高い営業を行う体制です。つまり、同一病院に出入りするファイザーMRが領域別に複数存在することになりますから、相互協力しあうことが求められるわけです。一匹狼的な人よりも、そうした協業体制に溶け込めるかが大切といえます。

佐藤

応募時には医療や医薬品に関する知識は特に求めないというお話でしたが、専門知識はどのようにつけていくのでしょう。文系でも大丈夫ですか?

小川

MRは毎年12月に行われる資格認定試験に合格しないと現場に出て活動できません。新入社員は入社直後から半年にわたる研修を受け、合格を目指します。試験科目の関係で薬剤師資格保有者は少し有利ですが、それ以外は文系理系の差はありません。2006年度の実績でいうと、合格率は業界平均約70%に対して、ファイザー社員の場合は約98%です。研修をしっかり受けてもらえれば大丈夫。ただそういう意味では、学習意欲の高さも採用の大きな要素といえるかもしれません。
専門知識は入社後の研修で学びます。

高い学習意欲と向上心は大切です。

——小川善之さん/ファイザー株式会社 世界が舞台の業界で、
キャリアの可能性を広げる英語力


佐藤 ファイザーグループはアメリカに本社がある外資系企業ですが、海外留学生の採用に関してはどのような対応をとられていますか。

小川

より専門性の高い製造部門や開発部門では数年前、アメリカでのジョブフェアでの採用実績もありますが、MRでは特に別枠での採用はしていません。当社の採用日程は国内の新卒者に合わせていますから、その日程に合わせて活動できる方なら、もちろん留学生も採用対象です。入社時期は国内の新卒者の入社時期に合わせていただきますが、社会人経験がなければ新卒扱いとして国内組と同条件での採用になります。

佐藤

グローバルな事業展開をされていますし、社員にはどの程度の英語力を求めていますか。

小川

開発や製造部門では英語は会話力、読解力とも必要ですね。海外のグループ会社とのやりとりも多く、また、海外生産の製剤を輸入する際には日本の特許法や薬事法に適するかどうかといったチェックなども行いますから。一方、MRは日本国内の医療機関との交渉が主な業務。日常での英会話の機会はほとんどないので、応募要件にも英語力は入れていません。ただし、外国文献を参照することも多いので読解力は必要でしょう。特に大学病院の担当者には必須です。また、仕事の幅を広げる国際学会への参加も英会話力がないと難しいですね。

佐藤

やはり、入社時に英語力があるのは有利ということでしょうか。

小川

そうですね。たとえば、本社勤務になると、アメリカ本社をはじめ、グループ傘下の海外拠点との交流が増え、英語力は必須です。新卒で直接本社に配属されることはほとんどありませんが、自己申告制度もありますし、将来的にMR経験者の中から選抜されて異動することも可能です。また、社内公募制度での本社異動希望者には応募条件の一つとして英語力を求めることが多いです。将来のキャリアアップを考えたら、若いうちに英語力を身につけておくといいでしょうし、その点ではもともと英語力のある留学生は有利といえますね。

佐藤

他には?

小川

昨年就任した社長の岩崎博充は、社員に求める資質として、「変化とチャレンジを楽しめること」と話しています。製薬業界は専門性を求められる上、新薬の開発や医療技術の革新など、日々動いている業界ですから、環境変化への順応性はたしかに重要な資質だと思います。

佐藤

海外留学の経験者は、いわば環境の大きな変化の中でチャレンジしてきた人。大いに活躍の場がありそうな気がします。学位取得留学だけでなく、短期の語学留学の方についてはいかがですか。

小川

そうですね。現在は留学生対象の特別採用枠などはありませんし、通常の採用スケジュールの中で応募いただければ、語学留学であれ、学位取得留学であれ、チャンスは同等です。大事なのは留学の形式でなく、何を得たか。そしてその経験を今後にどう活かしていくつもりなのかを明確に伝えられる人に採用担当者は魅力を感じます。留学経験者にはそういう魅力を感じる人が多いように思います。当社は世界を舞台に事業展開していますから、海外体験は大きな力になることは間違いないでしょう。

佐藤

医薬品は、研究開発にも特に長期的な視点が必要な製品ですし、専門性も高く、入社後も継続的に自分を高める努力が必要な仕事だと感じます。そうした中、御社ではPHAという専門部署を設置するなど、人材育成にも熱心だと伺っています。次回は、人材育成や研修制度などについてPHA統括部長にお話を伺う予定です。
留学経験者は、異文化の中で

変化とチャンレジをしてきた人たち。

活躍の場が多いにありそうですね。

——佐藤江利奈/留学ジャーナル キャリアカウンセラー
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プロフィール
おがわ よしゆき/大学卒業後1983年、食品会社に入社。3年間の営業職勤務を経て、人事部に異動。98年にファイザー製薬(当時)に転職。臨床開発部を経て、2004年に採用の専門部署としての人事サービスセンター採用課が新設されると同時に異動。現在は新卒から中途入社まで採用活動のほぼ全般に関わる。









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現社長の岩崎氏も、海外留学プログラム制度の経験者。社員に求める資質は『変化とチャレンジを楽しめること』。










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大事なのは留学の形ではなく何を得たか。その経験を今後にどう活かしていくつもりなのかを明確に伝えられる人に魅力を感じます。










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世界を舞台に事業展開するファイザーにとって海外体験は大きな力になることは間違いない。










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佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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