キャリアの達人に聞く33
 
キャリアカウンセラー対談 第33回
「仕事を楽しむ」ことが新しい発想の原動力
書籍から始まり、電化製品や化粧品、ベビーグッズと多種多様な商品を扱うようになったオンラインストアAmazon.co.jp。米国Amazon.comのコンセプトそのままに、「地球上で最も豊富なセレクション」を目指している。現在も成長を続けるAmazon.co.jpの運営サポートを行うアマゾン ジャパン株式会社で、人事部採用課シニアリクルーターの高橋美智子さんに、留学経験者が活躍するチャンスについて伺った。
英語を駆使して米国本社と日常的にやりとり

佐藤 Amazon.co.jpでは書籍をよく買わせていただいているんですが、改めてサイトを見て驚きました。商品のジャンルがとても増えているんですね。

高橋

はい。CDやDVD、ゲームのほか「ホーム&キッチン」「スポーツ&アウトドア」といったジャンルもあり、現在合わせて14ストアがオープンしています。Amazonは米国のほか、日本、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、中国向けのサイトも展開していますが、どこの国のサイトでもコンセプトやサービス機能を共通のものにして、Amazonならではのショッピングを楽しんでいただけるようにしているんです。

佐藤

「おすすすめ商品」が自動的に表示される「レコメンデーション機能」など、ユニークなサービスが目立ちますよね。商品レビューなどとともにリンクを掲載して紹介料を得る「Amazonアソシエイト・プログラム」を利用しているサイトもよく見かけます。

高橋

自分のおすすめ商品をAmazon.co.jp上でリストとして公開できる「リストマニア」、お客様が自分で商品のイメージを掲載することができる「カスタマーイメージ」など、Amazon独自のサービスがいろいろとあります。サイトを開くたびに、お客様に何か新しい発見をしていただけるようにしたいと思っているんです。会社全体としてクリエイティビティを非常に大事にしていて、一人ひとりの社員がいつも「次は何ができるか」を考えているような雰囲気がありますね。

佐藤

日本の企業としては、非常に新鮮ですよね。高橋さんご自身、米国留学のご経験があると伺っていますが、会社全体として、仕事で英語を使う機会は結構多いのでしょうか。

高橋

Amazonでは、日本のお客様のニーズに応える一方で、ワールドワイドで共通したビジョンを守ることも大事な業務の一部なんです。そのために、さまざまな部署が、米国本社と直接やりとりをしています。日常の業務の中で、英語が必要とされる場面は多いですね。

佐藤

すると、翻訳したり買い付けをしたりといった特定の部門でなく、多種多様な部署において、日々の英語を使う機会があるんですね。

高橋

ええ、例えば、外資系ではファイナンスの部門の力が非常に強く、弊社のファイナンスでも、本社のトップと直接、経営に関わる問題を英語で討議するくらいの力が必要とされています。人事部でも、例えば、人材育成のプログラムを構築するために、本社とのコミュニケーションが必要です。実のところ、英語をまったく使わないセクションより、必要とされるセクションのほうが多いくらいなんです。

佐藤

留学経験者にとっては、自分の学んできたことを生かすチャンスがあると言えそうですね。特に、「ただ英語力が高ければいい」というのではなく、仕事の能力を発揮する場がある点が、魅力的ですね。

高橋

留学経験者を選んで採用しているわけではないのですが、結果的に数は多くなっています。英語力だけでなく、論理的な思考力やコミュニケーション能力、分析力といった面で、留学経験者に強みがあるのかもしれません。

佐藤

海外、特に米国の大学では、論理的に物事を考え、それを言葉に表すという能力を鍛えることができますからね。現在、(※2008年1月取材時)留学経験者に関連した採用としては、MBAホルダーを募集していらっしゃるとのことですが。

高橋

はい。Amazon.co.jpは2000年にサービスをスタートして、すでに8年目を迎えましたが、急速に成長してきている一方で、組織力をより高めるために、次世代リーダー候補の層を厚くしたいと考えています。MBAの取得は国内でも可能ですが、自分で目標を設定し、努力してそれを実現させたという留学経験者の能力は、Amazonの求める人材に近いと思いますね。

佐藤

留学は、それ自体がdecision-making(意思決定)の積み重ねですから。採用に当たってcompetency(高い業績を出す行動特性)が問われたときに、ピッタリ来る方が多いのかもしれませんね。
論理的な思考力やコミュニケーション能力、分析力といった部分で、

留学経験者に強みがあるのではないでしょうか。

高橋美智子さん/アマゾン ジャパン株式会社 人事部採用課 シニアリクルーター 廊下での立ち話からも新しいサービスのヒントが生まれる?!

佐藤 社内の雰囲気はどうでしょうか。服装は皆さん割合ラフな感じですね。オフィスのレイアウトが独特で、やはり一般の日本企業とは異なる印象があります。

高橋

私が、アマゾン ジャパンに転職してきて最初に思ったのは、「オフィスの中で話し声がよく聞こえる」ということでした(笑)。日本の企業では普通、仕事中に私語はできるだけ慎むようにと言いますよね。Amazonではその逆で、廊下で立ち話をしたり、社員同士でお茶を飲んだりしているうちに、何か新しいサービスのヒントが生まれるのでは、と考えているんです。これはAmazonのワールドワイド共通の気風で、米国のオフィスでは、ふと思いついたヒントをすぐに書き留めておけるようにと、廊下の壁やエレベーターの壁が全面ホワイトボードになっていたりするんです。

佐藤

以前に、洗剤や化粧品などの世界的なメーカーであるP&Gにうかがったとき、「日々子どもの世話を行う育児休暇期間は、会社にとっての財産である」という話を聞いたんです。Amazonでも、ある意味社員一人ひとりがユーザーとしての意見を持っていると言えるんですね。

高橋

マネジャーにも、社員の意見を積極的に聞いてみたいという空気があるので、話がしやすいですね。それも、「これをやったら売れると思う」という内容である必要はないんです。「これは楽しいんじゃないか」という提案の仕方でも大丈夫。こういう会社って、あまりないかもしれませんね(笑)。

佐藤

社員の方が仕事を楽しめてこそ、いいものが生まれるわけですよね。クリエイティビティを大事にしている会社ならではですね。

高橋

Amazonのワークポリシーとして、「Work Hard, Have Fun, Make History!」というものがあります。

佐藤

「一生懸命働き、楽しんで、歴史を作る」ということですね。「仕事で楽しむ」という発想は、確かにこれまでの日本の会社にはあまりなかったものかもしれません。会社のためだけに働くのではなく、自分ためにもなるように、という考え方には、とても共感できますね。

高橋

はい。私自身、米国留学を終えて帰国した際、「仕事として取り組む場合に、やはり好きなことをしたほうが、自分にとっての幸せ度が上がる。そのためのベストの選択は何か」と考えていたのですが、このAmazonのモットーは、私の描いていた理想の仕事像に、とてもよく合っていると言えますね。
社員の方が仕事を楽しめてこそ、いいものが生まれるわけですよね。

クリエイティビティを大事にしている会社ならではですね。

佐藤江利奈/留学ジャーナル キャリアカウンセラー
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プロフィール
たかはしみちこ/日本の短大を卒業後、米ウィスコンシン州立大学社会学部に留学。帰国後はリサーチ会社を経てインテル株式会社に入社、採用アシスタントおよび採用スタッフィングコンサルタントを務める。2006年にアマゾン ジャパン株式会社に採用リクルーターとして入社、現在はシニアリクルーターとして、採用業務全般を統括する。









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書籍に始まり電化製品や化粧品、ベビーグッズまで現在14ジャンルのストアがオープンしている(※画面は2008年1月現在)。









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英語力だけでなく、論理的な思考力やコミュニケーション能力、分析力といった面で留学経験者に強みがあるのかもしれません。









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オフィス入り口。“ Work hard!Have fun!Make history!”Amazonのワークポリシーとされている。









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佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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