キャリアの達人に聞く39
 
キャリアカウンセラー対談 第39回
40ヵ国を回った経験をもとに、世界を相手にビジネス
日本で多くの中古車が処分されるのを見て、「もったいない、海外でなら絶対に売れる」と直感。26歳のときに、世界を相手に中古車販売のビジネスをスタートさせた、株式会社アガスタの松崎みさ取締役会長。自身の外国での経験と、ビジネスを成功させるまでをうかがった。

世界40ヵ国以上を旅行
「海外で中古車が売れる!」と直感


佐藤 小さいころは、お父様の仕事の関係で、南アフリカ共和国で暮らしていたそうですね。

松崎

はい、6歳から小学校3年生までです。日本人学校ではなく、現地の子どもが通う普通の学校に行っていました。当時の南アフリカはまだアパルトヘイト政策を敷いていて、子ども心に強烈な印象がありましたね。

佐藤

日本のように、似たようなバックグラウンドの家庭ばかりでということではなく、きっと多種多様な環境の子どもが集まっていたんでしょうね。

松崎

知り合いが誰もいなくて、まったく言葉が通じない中にいきなり放り込まれて、自分で何とかやっていかないといけなかったんです。でも、考えてみると、それはその後の人生でも、あんまり変わらなかったような気がします。自らそういう環境に飛び込んで何とかやってきている感じですね(笑)。

佐藤

自分とは違うものを受け入れられるオープンな姿勢と、自分自身をしっかり持っていることが大切なんでしょうね。お母様も、何か自分でビジネスをされていたとうかがいましたが。

松崎

日本に帰ってきて、私が10歳のとき、「私、会社作るから」といって、自宅で人材派遣の仕事を始めたんです。なんの設備も人手もなくて、母がいないときは、私が電話番をしていました。でも、そういう環境の中にあって、「私もいつか会社を作るんだ!」と心に決めていました。

佐藤

そうして国際的なビジネスを始めたあたり、お父様とお母様双方のDNAを受け継いだわけですね。大学時代は、ずいぶん旅行されて、40ヵ国以上回ったとのことですが、海外から何か強く影響を受けたことはありますか?

松崎

子どものころ南アフリカから帰ってきたあとも、父親がよく外国のお客様を連れてきていたので、海外だから何か特別だということはなかったんです。お客さんが自分でビジネスをしている人だったりすると、「どうやって成功したの?」なんて、聞いていたりしました。

佐藤

大学卒業後に経営コンサルティング会社に就職されたのですよね?私が相談を受ける留学経験のある学生さんは、旅行会社や、英語を使った仕事に就きたいと希望される方も多いのですが、それだけ海外経験が豊富だと松崎会長もそうした業界はお考えになりませんでしたか?

松崎

旅行会社ということですか?全く考えませんでしたね。私が新卒のころは、とにかく女性の総合職の枠がなくて。大手企業の役員面接を受けたら、「結婚したら辞めてください」と言われてビックリしました。まだベンチャー企業ブームが起こる前で、小さい企業はただ規模の小さい仕事に甘んじているだけ。あれこれ60社近く受けた中で、日本エル・シー・エーの小林会長(現 株式会社ベンチャー・リンク会長)の言葉に感銘を受けて入社したのが、その子会社だったモベラという経営コンサルティング会社だったんです。

佐藤

やはりいつか起業しようというお気持ちがあったんですよね。

松崎

10年で起業しようと決めていて、結局4年で実行したんです。中古車販売のガリバーという会社がありますが、あの会社を担当したとき、日本の中古車が、まだまだ使える状態でどんどん廃車にされているのを見て驚きました。それまでいろいろな第三世界の国で、古い車が堂々と走っているのを見ていましたから、「きっと買い手がいる!」と感じたんです。

佐藤

アメリカとかイギリスとか、いわゆる先進国だけを見ていると、なかなか気付かないですよね。私も、東京でたまたま会ったトルコ人が、「叔父が海外で日本の中古車を売る仕事をしている」と聞いて、「そういう仕事のために日本に来る人もいるんだ」と、興味深く思ったことがあります。

松崎

中古車ビジネス自体、そのころまだ日本であまり認知されていなかったんです。私が取引先としてガリバーを発掘したときも、社内でずいぶん反対を受けました。でも、ガリバーのシステムはそれまでのものとは違い効率的なんだ、と会社を説得したんです。
「自分とは違うものを受け入れられるオープンな姿勢と、自分自身をしっかり持っていることが大切なんでしょうね」佐藤江利奈/留学ジャーナル キャリアカウンセラー 「もっと大きくなりたい」と
東証マザーズ上場


佐藤 取引先が海外の企業で、顧客名簿があったというようなわけではないですよね。最初はどのようにビジネスをスタートさせたんですか。

松崎

新卒で入った会社の同期の女性と2人で始めたんですが、日本の大使館で現地の中古車販売業者のリストをもらい、1件1件電話やFAXで当たっていたんです。そのうち私を信用してくれる人が現れて、「じゃあ、日産のマーチを頼みます」と言われて、買いつけ、お金を振り込んでもらって・・・と、いうのが最初でしたね。それまでの中古車販売会社は皆在庫を抱えて苦労していたので、私たちは在庫を持たず、買い手から情報を集めて売り手と結びつけるという方法を取るようにしたんです。

佐藤

インターネットが普及してからは、インターネットで情報をやりとりして売買するという、新しい形のネットビジネスになっているわけですね。それでどんどん売上を増やして、7年目には東証マザーズに上場。本当に順調に成長していらっしゃいますね。

松崎

実は、創業者である私たちが営業して仕事を取っているうちが、一番ラクなんです。自分たちができることをやればいいわけですから。でも、会社を大きくしようと思うと、人を雇って、銀行からお金を借りて、といろいろ慣れないことをしなければならなくて。ある程度の規模にするまでは、新米経営者としては、本当に大変でした。

佐藤

それでも、小さな規模のビジネスで満足せず、何としても会社を大きくしたいという意思があったんですね。

松崎

自分でベンツを乗り回してそれで終わり、という風にはしたくなかったんです(笑)。
いつも「もっと大きくなりたい」と考えて仕事をしてきました。

佐藤

私は、経営者として成功するには、人との出会いがとても大切だと思うのですが、松崎会長の場合、特に工夫していらっしゃるとか、何か意識されていることはありますか。

松崎

「これは」と思う人に紹介してもらったら、一発で食い込むようにしています(笑)。経営コンサルティング会社時代、ガリバーの社長に会ったときがそうでしたね。それまで取引はなかったんですが、「私にやらせてください」と頼み込んだんです。

佐藤

信頼関係を深めていくときに、最初の印象は大切ですね。そういうところは、生まれつきの性格もあるかもしれませんが、小さいころからの経験によるところが大きいのでしょうか。物おじせずに話せる力があるんですね。

松崎

知らないところで友達を作るのは得意でした(笑)。
思えば、小さいころから培ってきたものなのかもしれません。

佐藤

留学経験者も、表向きには英語力や何らかのスキルを身につけることが目的なのですが、実際は、バックグラウンドの異なる海外の人とコミュニケーションを作る力が養われたり、新しい人間関係が開けたりと、そういうことが財産になっていくわけですよね。松崎会長のご経験は、とても参考になると思います。
「『これは』と思う人に紹介してもらったら、一発で食い込むようにしています(笑)」松崎みさ/株式会社アガスタ取締役会長
--photo--
プロフィール
まつざき みさ/獨協大学外国語学部卒業。幼少時を南アフリカ共和国で過ごし、学生時代に世界40ヵ国以上を旅する。大学卒業後、経営コンサルティング会社に就職。1997年に独立して有限会社アガスタを設立。株式会社への変更を経て、2004年、東証マザーズ上場。現在は取締役会長。






--photo--
2006年12月にオープンした海外向け中古車販売サイト「PicknBuy24.com」。このサイトのオープンにより、中古車ディーラーだけでなく、個人の顧客に流通させることが可能になった。






--photo--
日本が不要にしてしまっているものを必要としている国が世界にはたくさんあるんです。必要とされている「商品」や「サービス」を地球というフィールドの上で自由自在に流通させることがアガスタの取り組んでいるボーダレスリサイクリングです。







--photo--
社名(AGASTA)の由来は、AGE LIKE A STAR 〜アガスタに関わるすべての人々に、「星のようにきらきらと輝く人生を!」という想いがこめられている。







--photo--
佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
次のページへ >
<帰国後の就職も考えよう トップページへ > もっと見る
留学ジャーナルモノになる留学へ。
帰国後の就職も考えようキャリアの達人に聞く39の紹介ページです。
短期留学や語学留学はもちろん、ワーキングホリデー、大学留学、大学院留学まで幅広くご紹介している留学ジャーナルが、皆さんの海外留学への思いをカタチに変えます。海外留学の実現は、留学ジャーナルで!