キャリアの達人に聞く45
 
キャリアカウンセラー対談 第45回
グローバル企業として、採用の機会を拡大
海外での売り上げが4割近くを占めるようになった資生堂。国内トップメーカーから国際的な企業へと生まれ変わりつつある同社では、今春の事務系定期採用に向けて機会拡大のために「ボストンキャリアフォーラム」に参加。あわせて、「春選考」「夏選考」と2回の選考を実施する予定だ。果たしてどのような人材が集まりつつあるのか、人事部人材開発室人材育成グループの川村浩之氏にうかがった。

資生堂で働くことは
日本を世界に広めること


佐藤 川村さんとは、秋にアメリカのボストンで開かれた「ボストンキャリアフォーラム」でお会いしました。グローバルな企業への就職を目指す学生が多数集まるジョブフェアですが、資生堂さんは久しぶりに参加されたそうですね。

川村

14〜5年ぶりになるのでしょうか。弊社採用の考え方のひとつに、「採用の機会を均等にしたい」ということがあるんです。「海外にいるから資生堂の説明会に参加することができない」というのでは、学生さんにとって不利であると同時に、弊社にとっても優秀な方とお会いできる機会を損失しているのではないかと。そこで、ボストンキャリアフォーラムでは、面接ではなく説明会を開催しました。1日1回100名のセミナーを2日間実施するとともに、ブースでも1回15〜30名の説明会を1日6、7回開催したんです。

佐藤

やはり女性が多いのですか?

川村

数としては女性が多いのですが、留学生全体で女性の割合が高いことを踏まえると、弊社に関心を示す男性の比率は高かったと言えるのではないでしょうか。特に熱心に質問をしてこられるのは、男性の方が多かったですね。

佐藤

資生堂の化粧品は今、海外で大変な人気だそうですね。特に中国では、誰もが憧れる高級ブランドだとか。

川村

2008年3月には、連結売上高の36パーセント程度を海外事業が占めるようになりました。1992年に7パーセントだったことを考えると、急激な変化ととらえることができます。特に1994年に中国専用ブランドを立ち上げたことが、急成長の大きなきっかけとなったようです。

佐藤

日本にいると当たり前になってしまっていますが、私自身も旅行などで海外を訪れた際、高級ブランドとして外国製品と並んで“SHISEIDO”製品が販売されているのを見かけると、やはり日本人として誇りを感じます。

川村

学生の間でも、日本の大学生と留学生の間では、資生堂のイメージがやや異なるようです。海外で資生堂の商品を見ると、日本人としてのアイデンティティが刺激され、「日本を世界に広める仕事がしたい」と考えるようですね。
「海外で高級ブランドとして確立されている“SHISEIDO”。日本にいると当たり前に目にしているロゴを海外で目にした時、日本人としての誇りを感じます」 佐藤江利奈/留学ジャーナル キャリアカウンセラー 「夏選考」で
留学生にもチャンスを


佐藤 資生堂のウェブサイトにある社長のコメントに、「2008年から始まった新3ヵ年計画で、グローバル企業への変革をなお一層進める」とありますが、ボストンキャリアフォーラムへの参加や、留学生も応募しやすい「夏選考」の実施は、その一環なのでしょうか。

川村

特に留学生向けと限定しているわけではないのですが、選考のタイミングが合わないというだけで応募できない人がいてはならないと考え、夏選考を実施しています。夏選考の場合、6月30日に応募者登録を締め切り、7月中旬〜8月上旬までが選考会というスケジュールになります。2009年度は11名を採用、2010年度は10名程度の採用を予定しています。やはり時期的に留学生が多くなっていますね。

佐藤

新卒とは限らないようですね。日本の大学を出て、語学留学をしていた、といった経歴の人でも応募できるのですか?

川村

はい、大学卒業後に留学をされた方、すでに留学を終えている方も、対象としています。

佐藤

一般的に、「新卒採用」「経験者採用」という分け方をしている企業が多いので、その場合、日本の大学と卒業時期が異なる海外の大学の卒業生は、新卒で応募するにはタイミングが合わず、かといって経験者枠に応募することもできない、というケースが多いんです。夏選考の枠があると、留学経験者にとっての機会が広がりますね。

川村

既卒の方はもちろん、すでに社会人経験のある方からもたくさんご応募いただいています。

佐藤

日本の新卒採用のように、採用時期が決まっていて、それに合わないと就職の機会を逃してしまうというのは、海外ではなかなか理解されにくいんですよね。機会を広げるというのも、グローバル化の一環として大切なことだと思います。これから貴社のような企業がどんどん増えていってほしいと思います。

川村

選考時期は春・夏と分かれていますが、入社は一斉に4月1日付としており、スタートラインは皆同じです。「英語のできる人」「海外経験のある人」を求めているわけではなく、『総合職』として、国内外問わず活躍できる人材を求めていますので、入社後は国内事業所に営業担当として配属になり、資生堂の文化やルールに基づいたビジネスを学んでいただくこととしています。

佐藤

人材育成の考え方がまたユニークですよね。社員が「美容」「営業・マーケティング」「宣伝制作」「研究開発」「生産」「財務経理」「スタッフ」という7つの分野に分かれていて、それぞれの分野の方針にそってローテーションを行うんですね。

川村

分野別に育成方針を立て、実行していくことが、プロフェッショナル人材の育成を図っていくうえで、重要なポイントなります。例えば、営業・マーケティング分野では、お客さまに近い国内の営業拠点において、資生堂のマーケティングや商流を理解し、お客さまや市場のニーズなどをしっかりと肌で感じ、お取引先さまを通じてお客さまにより美しく生活していただく提案をする。それを今度は別の市場やいくつかの市場の集合体など広範囲・高次元に向けて提案し、マネジメントしていく、こうした経験を通じて将来的には市場全体を捉えられる人材へと育っていくことができると思っています。現在、世界の69の国と地域で資生堂ブランドを販売しており、生産拠点も国内・海外あわせて14工場となっています。グローバルに活躍していただく場合でも、現地でのマネジメント業務が中心となりますから、英語ができたり海外の事情がわかったりとは別に、国内での仕事を通じて、そうした力を身につけていく必要があると考えています。

佐藤

プロフェッショナル人材への育成を図っていくうえでは、ローテーションだけではなく、社内教育・研修も大切になると思いますが。

川村

もちろん大切な要素となります。資生堂は、「魅力ある人で組織を埋め尽くす」というビジョンのもと、全社統一の研修企画立案と推進を担う企業内大学「エコール資生堂」を2006年に立ち上げ、分野別の人材育成方針そして研修体系を整備し、自律型人材への育成を推進しています。自ら手を挙げ行動する人をしっかりと支えていくことが我々の仕事でもあると考えています。これは、各グループ会社で直接採用を行っているビューティーコンサルタントも同様です。

佐藤

社内でそれだけの研修が徹底されていることも、社員のロイヤリティ向上につながりますね。
「海外の拠点に配属される人も、英語ができたり海外の事情がわかったりするというだけでなく、現地をマネジメントしていく力が必要です」 川村浩之さん/株式会社 資生堂 人事部人材開発室人材育成グループ
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プロフィール
かわむら ひろゆき/資生堂が積極的な海外展開を始める直前の1992年に入社。就職活動では、仕事内容や扱う商材より、人の喜びを自分の喜びとすることのできる環境を重視した。1996年に資生堂労働組合中央執行委員の任につき、従業員側の視点から人材育成制度や評価制度の構築に関与、皆が持てる能力を最大限に発揮できる環境づくりの重要さを痛感。現在は人事部人材開発室人材育成グループに所属し、社員研修の担当を経て、大学での講演やボストンキャリアフォーラムへの出展など、採用機会の拡大と学生の就業意識の醸成に努めている。



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例年10月頃開催されるボストンキャリアフォーラム。2008年も初日だけで学生参加者数は4000人を超える。


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キャリアフォーラムで訪問させていただいた際の様子。お話を伺っていた短い間にもブースの前には説明を希望する学生の長蛇の列ができた。


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夏選考は6月30日までに応募登録、7月中旬〜8月上旬に選考の予定(※)。特に留学生に限定しているわけではないが優秀な人材の応募・選考の機会を増やすために実施。
(※応募スケジュールは2008年12月取材時のもの。応募の際は最新の情報をご確認ください)



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佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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