キャリアの達人に聞く47
 
キャリアカウンセラー対談 第47回
留学で得たものを転職に生かすには?
キャリアコンサルタントとして5000人以上のカウンセリングを行ってきた、株式会社キープレイヤーズ代表取締役の高野秀敏さん。主に20〜30歳代の転職を扱ってきた高野さんに、現在有望な業種や、留学経験をうまくキャリアに生かす方法などをうかがった。

大事なのは業種より職種
アルバイトからでもチャンスはつかめる


佐藤 高野さんの担当されているウェブサイト「All About転職のノウハウ」はよく拝見させて頂いています。キャリアに関する最新情報や具体的なアドバイスはとても参考になります。人材紹介業としてのお仕事では、どのあたりの領域を中心にされているのですか?

高野

キャリアコンサルタントとしてこれまで5000人以上のカウンセリングを手がけてきたのですが、私自身、33歳になったばかりということもあり、20代から30代の、若手の転職を扱うことが多いですね。転職先は、必然的に、外資系企業やベンチャー企業が多くなってきますね。非上場型で、必ずしも新卒採用に頼っていないところです。

佐藤

最近は企業の倒産やリストラなどのニュースが後を絶ちませんが、不況時でも求人が伸びる業種というのはあるのですか?

高野

特定の分野で成功しているところでは、求人が多いですね。介護や医療の分野で人材紹介をしている企業などがそうです。アメリカでもメディカル、ヘルスケアの分野は、不景気に強いとされています。そのほか、安売りを特徴としているところはやはり伸びていますし、どんな企業でも、人事や経理など管理部門では、常時欠員補充用の求人があるものです。

佐藤

留学経験者の場合、社会経験がない中、中途採用に応募する人もいるわけですが、未経験では不利にならないでしょうか。

高野

基本的には経験者を求めている企業が多いのですが、採用に当たっては、業種というより職種が重視されますね。例えばメーカーなどで経理の経験があれば、介護業界の経理部門で採用されるということがあるわけです。前職で正社員であったかどうかということはそれほど気にしないこともあるので、まずはアルバイトでいいので希望の職種に就き、景気が好転して自分が望む求人が出てきたところで、改めて社員募集に応募するという手はありますね。

佐藤

不景気だから・・・とあきらめてしまうのではなく、雇用形態に関わらず、“仕事そのものの中”にチャンスがある、と考えればいいわけですね。

高野

伝説のバイトになればいいんですよ(笑)。アルバイトから始めて、社長秘書や役員になったという例もありますからね。

佐藤

社会人経験がなくても、留学経験が有利に働くとすれば、どんなところでしょうか。英語力や、海外で学んだことを生かせるといいのですが。

高野

学んだことが生かせる機会はあると思います。例えば、MBAは、今も外資系などでは、価値ある資格として考慮の対象になります。英語力に関しては、よく「英語ができるだけではダメ」などと言われますが、実際は、飛び抜けた実力があれば、必ず有利になります。例えばTOEICテストのスコアが900点以上あって、ネイティブのスタッフともすらすら話せるというのであれば、それは大変な強みです。

佐藤

留学中に人脈を作っておいたり、勉強以外の何らかの活動をしてそれを面接でアピールして成功する人もいますね。

高野

「インターンシップを経験してこんな仕事をまかされました」といったように、具体的なエピソードがあるといいですね。今、海外留学に出ている人は増えていますし、「留学した」というだけでは、自己アピールにならない可能性があります。何か自信を持って話せることがあれば、面接でもうまくいくはずです。
「英語ができるだけではダメなどと言われますが、TOEICテストのスコアが900点以上あって、ネイティブのスタッフともすらすら話せるというのであれば、それは大変な強みです」 高野秀敏/株式会社キープレイヤーズ 代表取締役 留学でネットワークを作り
アジアの市場を目指す


佐藤 アメリカやカナダといった英語圏の語学学校に通う留学生は、実は、アジアの人も多いんです。日本人のほか、中国、韓国、台湾などですね。そこで友人を作ることで、他のアジアの国にネットワークができて、それが帰国後の仕事に役立った、という例もあります。

高野

アジアの国は急激な勢いで成長していますから、ビジネスチャンスも多いですね。ベンチャービジネス、ネットワークビジネスなど、アメリカでは今さらと思えることでも、中国などでは大いに可能性があります。日本のマーケットで思うような仕事に出会うことができなかったら、他のアジアの国に活躍の場を求めるという方法もありますね。

佐藤

留学中の勉強はもちろん大切ですが、授業以外のところで、自分からさまざまな出会いを求めることで、ネットワーク作りができますね。仕事に直接結びつくわけではなくても、文化や国民性についての知識を持つことだけでも、非常に重要だと思います。

高野

今は、インターネットの影響か、仕事の内容が細分化する一方で、それを即座に処理するスピードが求められるようになってきています。海外留学をして多様な価値観に触れ、異文化の中で苦労することによって、さまざまな出来事に柔軟な対応をする力が養われるはずです。

佐藤

視点を変えるということは大切ですよね。高野さんがご著書の中で「企業のことを知るには、経営者ブログを読むといい」と書いていらっしゃいましたが、自分が起業したいかどうかということとは別に、経営者の視点でものを見ることは大切だと思います。若いころ、特に学生のうちは、自分のやりたいことを実現させるために就職するという意識が強いのですが、企業が何を求めているのか、それに対して自分はどう応えられるのか、ということを考えてほしいですね。

高野

結局企業は、結果を出せる人を求めているんです。それも、単にその人個人が優秀というだけでなく、周囲の人と力を合わせて、みんなの知識やスキルをうまく調整しながらアウトプットできる人。そうではなくて、自分のやりたいことをやりたいんです、という人は、起業すればいいんですよ。
「授業以外のところで、自分からさまざまな出会いを求めることで、ネットワーク作りができますね。仕事に直接結びつくわけではなくても、文化や国民性についての知識を持つことだけでも、非常に重要です」 佐藤江利奈/留学ジャーナル キャリアカウンセラー
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プロフィール
たかの ひでとし/東北大学経済学部卒業。人材総合サービス企業「インテリジェンス」にて転職サポートに関する実績を積んだ後、独立して株式会社キープレイヤーズを設立。企業と転職希望者のマッチングを手がけつつ、キャリアに関する講演・執筆などを行う。主な著書に『就職氷河期だからこそ絶対に後悔しない就職先の選び方』(春日文庫)など。「All About転職のノウハウ」ガイド。


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All About(オールアバウト)は、400以上のテーマ一つひとつでその道のプロがユーザーをガイドする生活総合情報サイト。高野さんは、『転職のノウハウ』を担当している。


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『就職氷河期だからこそ絶対に後悔しない就職先の選び方』(春日文庫)。就職先の企業をイメージで捉えがちな学生や初めて転職する20代の方には、企業の選び方や日頃の行動で意識することなど具体的にアドバイスされていて参考になる。


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雇用形態に捕らわれすぎずに、アルバイトであっても『仕事そのもの』の経験をチャンスにつなげていくこともできます。アルバイトから始めて社長秘書や会社の役員になった“伝説のバイト”と言われた方もいます。


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佐藤江利奈
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
(株)リクルートでの採用支援の企画営業、人材紹介会社でのコーディネーターなどを通して、これまで大学生から社会人まで幅広い年代2000人以上の就職・転職希望者に対しセミナーやワークショップ、キャリアカウンセリングを行う。
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