留学成功の秘訣

大学院留学体験者のケース

今月の成功者

-- Photo -- 高林さん(38歳)ホワース・アジア・パシフィック,ジャパン(HAPJ)勤務

一橋大学法学部卒業。大学3年時にイギリスに語学留学の経験あり。大学卒業後、三菱商事に入社。アパレル部門で輸出入業務に5年間携わる。退職後に一橋大学院で2年間学び、商学修士号を取得後、さらにカリフォルニア大学バークレー校エクステンションプログラムに留学。1年間はビジネスマネジメントとITについて学び、次の1年間はシリコンバレーにてインターンを経験。帰国後、プライスウォーターハウスクーパースコンサルティング(PwCコンサルティング)に3年間勤務。そこでホテル業界に興味を持ち、ホテル経営学分野で世界をリードするコーネル大学に留学。大学院修士課程でホテル経営学を学ぶ。修士号を取得した後、2006年8月からホスピタリティ業界向けコンサルティング業務を専門的に行うホワース・アジア・パシフィック,ジャパンに勤務。米国公認会計士(イリノイ州登録)。
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成功のポイント 1.常に自分の未来を見据え、留学→転職と動き続けた 2.キャリア形成のプロセスで、現在と未来のギャップを埋めるために、留学を効果的に取り入れた 3.留学先で、信頼できる人々とのネットワークを築き上げた
 
高林さんのステップアップ

1992年4月 23歳
大学卒業後に三菱商事に就職。5年間、婦人服の輸出入業務に携わる。海外出張も多く経験した。「日本の企業は新人教育が徹底している。この5年間で国内外のお客さんと付き合っていくのに必要なビジネスの基本をしっかり学べたと思っています」
1997年4月 28歳
ビジネスを体系的に勉強することの必要性を感じて、三菱商事を退職。一橋大学大学院MBAに入学する。「ビジネスの第一線から外れることに多少不安はありましたが、商社だけでなく、どの業界でも通用する力・スキルを身につけるためには、幅広いビジネス知識が必要だと痛感したのです」
1999年6月 30歳
当時「ITブーム」でシリコンバレーが急成長中。そこに興味を持った高林さんは、妻を連れてカリフォルニア大学バークレー校エクステンションプログラムに留学。はじめの1年間は国際ビジネスコースおよびコンピュータ・インフォメーション・システムのコースで学び、翌1年間はシリコンバレーにてインターンシップを経験。
2000年11月 32歳
米国公認会計士試験合格。
2001年10月 32歳
PwCコンサルティング(現IBMビジネスコンサルティングサービス)に就職。3年間、流通事業部財務・会計コンサルタントして活躍。働きながら「自分がフォーカスするべき業界は何か」を考え続け、ホテル業界に進むことを決意。
2004年8月 35歳
ホテル経営学の分野ではトップクラスといわれるコーネル大学ホテル経営学部大学院に留学。米国で進んでいるホテル会計制度(ユニフォームシステム)や不動産投資を中心に、ホテル経営全般について学ぶ。コーネル大学卒業生からの紹介を通じて一時帰国中に就職活動を行い、就職を決める。
2006年8月 37歳
ホテル・ツーリズムなど、ホスピタリティ業界に特化したコンサルティング会社、ホワース・アジア・パシフィック,ジャパン(HAPJ)に勤務。「日本ではまだ新しい会社。大企業と違い、何でも自分でしなければいけませんが、自由にトライできるのが魅力です」
留学のタイミングで考えたのは『自分は何に興味があって、何を好きだと感じているか』ということ。
ハッキリわからない時には目の前にあることに真剣に取り組むことが大事なんです。

キャリアの中に留学を取り入れるのは、言うほど簡単なことではない。高林さんは大学生だった20歳、商社を辞めて大学院で学んだあとの30歳、コンサルタントとして活躍後の35歳と、3度の留学を経験。これまでのキャリアと、留学先で得た新しいスキル・知識を武器に、転職を成功させてきた。「在学中の留学は、いわば『外の世界を体験する』というもので、将来国際的な仕事がしてみたいという大きな方向性を与えてくれたと思います。30歳と35歳での留学は、この先、自分はどういう仕事をしたいのかを具体的に考えて選択したものでした。たしかに年齢も年齢だし、留学期間はほとんど無収入になるわけだし、多少の迷いはありました。でも、長い目で人生を考えたときに、『現在の仕事を続けるより、自分だけができる何かを学ぶ必要がある』と考えたんです」

三菱商事を辞めて大学院に進学した後の選択が、カリフォルニア大学バークレー校・エクステンションプログラムだった。「当時はシリコンバレーがすごいブームで、とにかく行ってみたかったんです。プログラムを終えれば、その後にインターンができる。そこから正社員になれる可能性もあること知って、留学を決意したんです」。ITの知識を得ながら米国公認会計士の資格(CPA)も取得。ただし、バブルがはじけ、シリコンバレーでの本採用には至らなかった。その後の転職活動について、高林さんは「ネットワークこそが大事」だと語る。「シリコンバレーはネットワーク社会なんです。ソサエティが発達していて、週末のたびに様々なパーティーがある。人々はそこで人脈を築き、遊びの話もビジネスの話もする。僕は決して社交的なほうではないから、広く浅くのつきあいはしないけれど、そういうソサエティに積極的に参加し、『この人なら!』と思える人とは深い絆を作ってきたつもりです。次に就職することになるPwCコンサルティングも、実はパートナーとシリコンバレーで知り合い、『今度、新しいプロジェクトが立ち上がるから、やってみないか?』と誘われて入社を決めたんです」

3年間のコンサルタント時代は、スピーディーで刺激的な毎日を送りながらも、次のことを考えていた。「自分がフォーカスするべき業界は何か、それを探していました。よくよく振り返ってみると、大学時代から僕は、『人々の生活を快適にする』という方向を選んできたということに気づいたんですね。ホテル業界を選んだのも『リラックスをプロデュースして、コンフォータブルを与えられる』と感じたから。ホテル業界は非常に狭い業界ですし、経営や投資には専門的な知識や技術が必要です。ですから、短期間に集中して多くの業界人と知り合い、進んだ知識を理解する必要がある。それが35歳での留学の理由です」

目指すはホテル業界の経営学すべてを学ぶこと。そのために、ホテル経営学ではトップと賞されるコーネル大学を選んだ。「妻がいるので、前の留学の時も今回も妻同伴。それは心の支えになる反面、学んだ後は必ず仕事に結びつけなければならないというプレッシャーにもなります(笑)。コーネル大学を選んだのも、ここは『コーネル・マフィア』と言われるぐらい、人と人との結びつきが強いから。コーネルのホテルスクールで学んでいると言えば、いろんな人を紹介してくれるし、すぐに会ってもらえるようなアドバンテージがあるんです」。留学中から、やはりネットワークを活かして現在の勤務先のトップと出会い、一時帰国して就職を決めた。

 

高林さんが転職を成功させた秘訣は、「過去(キャリア)」と、「今できること」と「未来(こうありたい自分)」を、常に線で結んで考えていたからだ。「ピンポイントで『これしかない』という考え方はしていません。もっと大きな方向性として考えた結果です。例えば、目の前にAとBという道があったとする。Aは安定した毎日、Bはリスクがあるけれど成長の可能性もある道。どっちがいいかを選ぶタイミングが、僕の場合何度かあったというだけです。で、たいがいはBの道を選んできたわけですが(笑)、Bに進むリスクを減らすための強力なツールとして留学が必要だったんです」

彼は何度も「転職にはネットワークが大事」だと言った。それは決して有利なコネを見つけるという意味だけではない。「結局、自分が力を出すには周囲とのケミストリーが大事だということに気づいたんです。1から転職先を見つける場合よりも、自分からの情報発信(これができる・こんなことがしたい)ができるし、相手の情報(こんな才能・キャリアが欲しい・こんなカルチャーだ)も受信できる。そして何よりもお互いに信頼関係を持つことができる。特に30代になってからの転職は、遠回りしている時間はない。だからこそ留学先では、黙々と学問に没頭するだけでなく、自分がリスペクトしたいと思える人たちと出会う努力をすべきだと思います」

最後に、これから留学する人へのアドバイス。「僕が留学のタイミングで考えたのは、自分は何に興味があって何を好きだと感じているかということ。そこがクリアになれば、留学先で何を学べばいいか、その先にどんな仕事を選べばいいかが見えてくるんです。ただね、ハッキリわからない時もある。その時は『今の段階ではこれ!』というものを信じて選択すればいいんです。そして、選択したことには真剣に取り組む。たとえその方向が間違っていても、真剣に学んだり向き合ったりしたことは、必ず自分の糧になりますから。僕の留学→転職を成功と言うのであれば、『やると決めたらきちんとやる』と心の中で決めていたからでしょうね。留学したからには学ぶべきことを学ぶ。転職したあとは目の前にある仕事、与えられた仕事に真摯に取り組む。そうすれば、ビジネスで、あるいは人生で役立つ自分の『武器』というものが、増えていくと思いますよ」



キャリアカウンセラーが分析

  高林さんは現在38歳。今回のインタビューでは大学時代からの18年の経歴、その中で3回の留学、日本での大学院、2回の転職などについて伺うことができました。上の記事で挙げた3つの『成功のポイント』の1と2について、その一文だけを見ると、好きなことや興味のあること、そしてそれに関連するビジネスをキャリアビジョンの中に計画的に組み込んでいらっしゃるように感じるかもしれません。しかし、本文で紹介したとおり、成功のポイントは、「未来を見据えつつ、『目の前のことに真剣に取り組んだ』」、その結果「振り返ってみれば効果的だった」ということです。アップルコンピュータ創設者のスティーブ・ジョブズ氏が2005年にスタンフォード大学で行った卒業スピーチはあまりにも有名なのでご存知の方も多いと思います。ジョブズ氏は、スピーチの中で自身の波乱に満ちた半生を振り返り、新たな道を歩む卒業生にむけて次のようなメッセージを贈っています。『You can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. ......This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life.』

留学や転職(就職)など、進むべき方向性を考えていく時に『やりたい事』が明確な人もなかにはいますが、それがなかなか見つからずに悩む方のほうが多いと思います。自己分析やキャリアの棚卸など、立ち止まって考える作業ももちろん大切ですが、それでも答えが出ない時には『目の前のことを一生懸命やる』・・・これが大切です。真剣に取り組むと、まず周囲からの評価が上がり、信用されます。評価されると自信に繋がります。自信を持つと、これまではチャレンジをためらっていたことに挑戦したくなったり、口に出さなかった希望を周囲に話すようになるかもしれません。信用の上がったあなたには、応援してくれる人や必要な情報を提供してくれる人が現れるかもしれません。こうしてプラスのスパイラルに入るとやりたいことが見えてきたり、決心する勇気が湧いたりします。高林さんの3度の留学や3社での就職経験も、学生の頃から計画していたことではなく、振り返ってみて始めて『点』が繋がったことに気がついたのではないでしょうか。

成功のポイントにある3つ目のキーワードは『人的ネットワーク(人脈)』です。最近では、日本でもSNSなどの浸透を通じて、ネットワークやコミュニティの重要性が注目されるようになりました。留学は日本では得られないような、世界とのネットワークを得るチャンスであることは間違いありません。しかし、留学すること自体が、あるいはパーティーや交流会に参加して名刺の数を増やすことが、有効な『人的ネットワーク』構築ではありません。人的ネットワークというのは言い換えれば『信頼』にほかならないのです。就職・転職などを含めたキャリア構築を考える時、ぜひ、職業経験やスキル、知識の構築のほかに、『信頼構築』を意識してください。また、転機において、これまでのキャリアの棚卸をする際には、同時に『人的ネットワーク=信頼』の棚卸もしてみてください。

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