キャリアカウンセラーが考える教育現場で取り組むべきグローバル人材育成

キャリアカウンセラーが考える 教育現場で取り組むべきグローバル人材育成

留学ジャーナル
キャリアカウンセラー 田仲 愛

JCDA認定 CDA(キャリアデベロップメント・アドバイザー)。
世界各国への語学留学、大学院留学の経験と海外勤務、外資系企業勤務など
グローバルな職歴を活かし、留学生に向けたキャリアカウンセリングを行っています。
日本の就職を取り巻く現状を把握し、
留学経験を更なる強みに変えるキャリア支援を得意とします。

企業が求めるグローバルスキルとは?

急速なグローバル化が進み、学生の英語力や海外経験を重視する企業は年々増加しています。今や中途採用で英語力を求める求人は全体の6割にのぼり、新卒採用では大手企業の約半数が留学経験者を採用しているという調査結果が出ているほどです。

こうした企業の動きを受け、「就職活動でアピールするため」という理由で留学を希望する学生が増えてきていますが、そもそも企業が求める「グローバルスキルを身に付けた人材」とはどんな人材を指すのでしょうか?
グローバル人材を積極的に採用している企業の方のお話から、共通するスキルに次のようなものがあることが分かります。

企業が求める人物像はこの数年で大きく変化しています。これまでの日本社会では、会社のために勤勉に働き、指示されたことをきちんとこなす人物が多く求められてきました。しかしグローバル競争が激しくなり、多くの企業が生き残りをかけて海外進出を進めていく中で、会社が必要とする社員の資質も大きく変化してきています。

具体的な例としては、「言われたことをきちんとこなす」だけではなく
「自分で課題を見つけ、自分の頭でどうすれば解決できるか考え、行動に移せる力」
「急速な変化にも柔軟に対応できるタフさ」
がより重視されるようになってきています。「指示待ち人間」ではなく、主体的に自分から行動できる力がより重視されるようになってきているのです。

企業が就職活動の際、学生によく聞く質問の1つに、「困難や課題を克服した経験」があります。この経験を聞くことで、学生がグローバル人材の基礎となる能力、「異文化コミュニケーション力(=自分と異なる文化背景を持つ人とコミュニケーションをとる力)」、「主体性(自分で考え行動する力)」、「課題解決力」、「柔軟性」、「チャレンジ精神(=うまくいかなくてもあきらめないタフさ)」を持っているかどうかを測ることができるからです。

「留学をする」だけで、「グローバル人材」になれるのか?

留学経験者と帰国後のキャリアカウンセリングをしていると、留学を通して「グローバルスキル」を身に付ける人が多いことがわかります。その一方で、こうしたスキルを身に付けられないまま帰国する人がいるのも事実です。
同じ「留学」という経験をしても、その結果に違いが出てくるのはなぜなのでしょうか?
それは、留学経験者なら誰もがぶつかる異文化の壁を「どのように乗り越えたのか?」の違いです。

留学は英語の上手下手に関わらず、文化習慣の違いに戸惑うことや、失敗することの連続です。
例えば、授業中に先生やクラスメートの話す英語のスピードについていけず、一言も発言できないままに一日が終わってしまう。もしくは下手くそな英語なりに発言したのに通じなくて、恥ずかしい思いをし、最初の数週間は孤独でコンプレックスの塊となってしまい、泣いてばかりいたという話も珍しい例ではありません。

初めて自分がマイノリティになる経験をするのは、誰でも辛く大きなショックを受けるもの。
ではどうすればこの新しい環境の中で自分が受け入れられることができるのか?そこで留学を経験した人は誰もが葛藤します。
答えは簡単には見つかりません。
その答えとは、「困難に立ち向かう本人が自分なりの方法を考え実践する」という方法でしか見つけられないものだからです。

ある学生は、1回の授業で必ず4回は発言するというノルマを決めて、間違えてもいいので人前で発言すると決意しました。すると不思議なことに、自分が発言しようとするその姿勢が「授業に積極的に参加しようとしている」と先生から評価され、クラスにも受け入れられるようになっていきました。

ある学生は、まずはランチタイムにクラスメートに話しかけ、まず話しかけやすいアジア人の学生と友達になり、そこからクラスに溶け込んでいきました。サッカーが好きな学生は、サッカー好きの中東やヨーロッパの学生とサッカーの話題で仲良くなり、学校の留学生サッカークラブを結成するという成果に繋げました。

どんな方法でも構いません。大事なのはどうすればその課題を乗り越えられるかを自分の頭で考え、「行動」=アクションに移すということ。そしてうまくいかないときには、別の方法にトライする柔軟性を持つこと。

この方法がうまくいき、自分が少しずつ新しい環境に慣れて溶けこみ、異文化環境に受け入れられたと感じると、「あんなに辛い状況でも自分の力で乗り切れたんだ」という自分への自信がついてきます。

また、海外では自分の意見を求められることが多いですが、日本人は自分の意見を聞かれる機会が少ないので、自信を持って自分の意見を人前で述べるのが苦手とされます。しかし、留学中困難を乗り越えた経験、恥を捨て、自分の殻を破って話しかけたり行動を起こした経験をした人は、自信がついているので、おかしいと思うことがあってもしっかり論理的に自分の意見を主張することができるようになります。さらに、自分と異なる意見を受け入れる寛容さや違いを認める懐の深さを身に付け、考え方が違う人ともうまく信頼関係を築けるようになってくるのです。

教育現場だからこそ、学生の無限の可能性を後押しできる

それでは、グローバル人材を育成するために、教育現場でできることは何でしょうか?

第一に、異なる文化に飛び込むことのメリット、そこで身に付けられるものが何かということを現場にいる人が理解すること
第二に、初めて異文化環境に置かれたときに、困難にぶつかるのは特別なことではなく、どんな人も経験する異文化を受け入れる過程であることを事前に伝えてあげること
第三に、この困難を乗り越える経験こそが、学生の自己成長に繋がり、留学でしか身に付けられないスキルを得るための唯一無二の方法であることを伝えること

出発前から困難があることを理解し、それを乗り越えることが自分にとって必要な経験となることを知っていることで、トラブルに遭遇しても比較的冷静に解決方法を自分なりに見つけ、対処できるようになり、結果は大きく違ってきます。

学生には無限の可能性があります。日本では活躍する場がないと感じる学生、自分に自信が持てず、何がやりたいかも見つからず悩む学生もいます。そんな学生が、自分に自信を持ち、自分の新しい活躍の場は世界中に広がっていると気が付くことは、まさに学生の無限の可能性のドアを開けてあげるための一歩になるのではないでしょうか。

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