佐藤 |
前回、「留学経験者は自己PRの方法に慣れていないかもしれない」というお話がありました。真面目に留学して、それなりの経験をしてきた留学生は、企業に向けてどうやって自分をアピールしたらいいとお考えですか? |
日置 |
言葉で言うのは難しいのですが、弊社がよく言うのは「あなたのどこを買えばいいのか、きちんと教えてほしい」ということです。「我々はあなたに投資をしようとしているのだから、どの部分が投資に値するかを教えてほしい」と。 |
佐藤 |
それは、前回もお話下さった「事実の羅列」ではなく、経験から引き出してくるということでしょうか。 |
日置 |
そうです。「AとBとCができます」では、ただ商品が並んでいるだけ。我々が知りたいのは、A・B・Cの能力を、どうやって使ってきたのか、それをどうやって磨いているのかなんです。要するに、A・B・Cの武器が会社で使えるということを証明してほしいのです。「自分は過去にこうやって使ってきたから、企業に入ってもこうやって使えるはずだ」というね。 |
佐藤 |
そのためには、自分のことをアピールするだけではなく、社会や企業がどういう仕組みで成り立っていて、どういう人を求めているのかを知っておく必要がありますね。 |
日置 |
ある程度は必要でしょう。知らないと「『そこで』何がやりたいのか」は語れませんから。 |
佐藤 |
留学生は「せっかく学んだのだから、英語を使える仕事がしたい」という人が多いのですが、仕事選びについて、何かアドバイスはありますか? |
日置 |
ひとつ言えるのは、「こだわりを持つことはいいけれど、決めつけない」ということですね。留学したから絶対語学を活かせる仕事じゃなきゃダメだ・・・では、可能性を狭めてしまうと思うんです。たしかに留学先では就職情報も少ないと思いますが、留学生同士のネットワークを利用したり、それこそ御社を活用するなどして、いろんな会社を見てみたほうがいいと思います。ただし、ちょっと見ただけで知った気になるのは危険。私が就職活動をしているときに、当時の社長だった大賀さんのインタビュー記事を読んだのですが、「この記事を読んでソニーのことがわかったと思うような人はソニーには向かない」というような記事が書いてありました。すごいことを言う会社だなと感心したのですが、会社に入ってみて本当にそうだなと思いました。自分のことなんだから鵜呑みにせず自分の目で見て確かめるべきだし、本気であれば意志を持って積極的に行動して欲しいと思います。 |
佐藤 |
インターネットの発達で情報は集めやすくなっているかもしれませんが、机の上やPCの前からだけ得られる情報に頼っていてはいけないということですね。生の声を聞くためにどう動いたらいいのかを、自分の頭で考える。そんなプロセスそのものも、自分の意志を持った就職活動の大きな要素ですね。11月のボストンでのキャリアフォーラムでも、多くの留学生に、ソニーのスピリッツを生で伝えていかれることと思います。お時間ありがとうございました。
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