朝9時前。DARTの駅から中心街へと続く通りは、道を急ぐ学生やビジネスマンで埋めつくされる。ここ10年の好景気で、ヨーロッパでもっとも発展目覚ましい都市のひとつだけに、首都ダブリンは想像以上に都会的で洗練されていた。これから1週間通うことになる語学学校、Centre of English Studiesは、市庁舎やトリニティカレッジから徒歩数分。まさにシティの心臓部にある。瀟洒な赤レンガの校舎は街並みに溶け込み、落ち着いた雰囲気が好ましい。
クラス分けのためのプレイスメントテストを終え、いよいよクラス初参加。語学学校はひんぱんに入学日を設けているので、新入生には慣れっこと聞いていたけど、やはり緊張してしまう。あれだけシミュレーションしたはずの自己紹介も、頭から吹き飛んでいた。おそるおそる教室に入ると、先生が満面の笑みで「Welcome to our class!」と出迎えてくれた。気のきいたセリフより、笑顔が肝心。初心にかえって素直に学ぼうと決意した。