留学ジャーナル(以下RJ):監督が留学したのは15歳。中学2年生という若さで渡米を決意した理由は?
とにかく自由になりたかったんです。学校という教育システムが嫌で嫌でしょうがなかった。社会人までこの窒息するような状況が延々と続くのかと思うと、外に出るしかなかったんです。本当は小学校を卒業後すぐに行きたかったんですけど母親に反対されて一旦断念。アメリカの高校に入学できる中学2年生のタイミングでようやく許されました。親父からは「帰って来るところはないと思え」と言われていたので、留学というよりも、移住という感覚でしたね。
RJ:渡米してCambridge School of Westonに入学されましたが、アメリカの学校に自由はありましたか?
圧倒的な自由がありましたね。嬉しかったし、楽しかった。良い友達と自由な気風が今の自分の基礎になるものを育ててくれました。でもアメリカに行って一番良かったと思うのは、今までとは別の「視点」を持てたということ。親父が商売人だったので、渡米する前はビジネスを勉強するつもりだったんです。親父からは「好きなことをやっていい」と言われていたのに、自分はビジネスの道に進むものだと勝手に思い込んでいたんですね。でも海外に出たことで、まったく違う「視点」が見つかったわけです。それまで芸術なんて興味もなかったし、自分が関わるとは思ってもいなかったけど、こんなにも素敵な世界があるんだってことに気付けたんです。たまたまアメリカに行きましたけど、たぶん中国でもアフリカでもどこでもよかったんだと思います。別の場所に行っていたら、また違う「視点」が見つかっていただろうから。第2の「視点」を持ったときの感動に比べれば、3つ目、4つ目は同じ。もうどこへ行かなくても大丈夫。今から思えば、多様な「視点」を持つことができれば、どこにいても自由でいられるんだと感じています。