留学ジャーナル2011年5月号
グローバルな自分になる!THE白熱留学 |
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ラホヤ海岸から吹く潮風が心地よいカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のキャンパス。年間を通じて晴天に恵まれ、リラックスした雰囲気が漂う。しかし教室に一歩足を踏み入れると、そこは熱気で溢れていた。訪れたのは「人事と企画」のクラス。ビジネスの基礎を学ぶビジネス・エッセンシャルズというプログラムの受講科目のひとつだ。
教室を埋める留学生たちは、講師の話を聞きながらノートを取りつつ、講師が次々と尋ねる質問に答え、生徒同士で意見を交換し、時には教壇に立ってデモを行い、分からない部分があれば確認を取るなど、とにかく忙しい。だが、ジョークを交えて講義するキャシー・ザンバーグ先生の授業は笑いが絶えず、生徒も楽しみながら学んでいることがよく分かる。
この日は採用に関わるプロセスをひと通り履修。企業が人材を募集するにあたり、まず職務内容を決定するところから始める。応募が来たらその企業が定める選考方法で書類審査を行い、その後グループまたは個別での面接となる。合格者は技能テスト、バックグラウンド調査、薬物検査などを受ける。各過程において、アメリカでは何が重視されるか、どんな方法が取られるか、なぜそうなのか、などを講師が示し、「あなたの国ではどうですか?」と生徒に質問する。各国の生徒が提供する情報を比較しつつ、授業は進んでいく。
注目したいのは、授業内容が応募する側ではなく、企業の採用する側の視点で解説されている点。これから就職を目指す生徒にとって、応募者として参考になる情報であることは間違いないが、エクステンションのビジネスプログラムはその先を見越し、受講者が将来的にグローバル企業の管理職に就くことを想定した授業を設計している。従ってこの人事のクラスでも、採用する側における理論が教えられるというわけだ。
このようにビジネスプログラムが定める基準は高い。そしてここでの経験をさらに充実させるのが、必修であるインターンシップ(研修制度)だ。インターンはUCSDの学部オフィスで職員に交じって業務を補佐し、職場で話す言語(いわゆるビジネス英語)とアメリカ流の仕事のやり方を学ぶ。上級のプログラムを受講すると、地元企業で120時間のインターンシップが義務づけられる。
プログラムを修了した受講生は、授業で得た知識とスキル、インターンシップで得た経験を強みに、国際ビジネスの分野に進んでいく人が多い。キャリアに結びつく実践的なメリットが期待できるのも、エクステンションが今〝熱い"理由なのだ。
アメリカ西海岸の南端、サンディエゴにある州立大学で、カリフォルニア大学(UC)系列のひとつ。大学生、院生を含め約2万5,000人の学生が在籍する。難易度の高い大学として知られ、特に医学、海洋学、工学においては世界的な評価を受けている。研究活動が活発で民間の研究機関や企業との結びつきが強い。
大学が提供する、主に社会人向けの公開講座。期間は10週間~3ヵ月程度のものが多い。さまざまなプログラムがあり、大学レベルの高度な内容を学ぶことができる。コース修了時に修了証書を得ることができ、これが経歴として認められるようになってきている。UCSDをはじめ多くのエクステンションでは、留学生の受け入れに力を入れており、留学生専用のクラスも用意している。
エクステンションの留学生向けビジネスプログラムで主任講師を務める先生。人事に関する授業を担当。サンディエゴ州立大学で経営学修士号(MBA)を取得後、中堅企業の経営幹部として人事部門を管理。退職後に人事コンサルタントとなり、現在もエクステンションで教鞭を執るかたわら、コンサルティング業務を続けている。 |
ビジネスプログラムの「人事と企画」のクラスでは、アメリカ型企業の人事、特に雇用に焦点を当てて学びます。異なる企業文化を持つ各国から集まる留学生専用のクラスですので、アメリカと他国の人事システムをできるだけ比較しながら進めています。生徒に求めるのは、出席、授業での積極性、課題の提出という基本的なことです。レポートには、自分が育ってきたバックグラウンドを活かしたオリジナリティあふれる内容を期待します。インターネットなどから取った情報を書き写すのは「盗用」と見なし、評価を下げる結果となります。そういったビジネスに関連する倫理も、授業を通じて学んでもらえればと思っています。 |
大分県出身。2010年6月に渡米し、UCSDエクステンションの英語プログラムと英語教授プログラムに6ヵ月在籍。3学期目にビジネスプログラムに転向し、受講クラスのひとつとして「人事と企画」を選択。1年間受講したあとは、OPTビザで1年アメリカで働くことを希望している。 |
エクステンションには世界中から生徒が集まるので、各国のビジネスの状況や世界で何が起きているのかをタイムリーに知ることができます。クラス内ではグループワークが多く、ビジネスの現場でチームとしてどのように決断をするかなどを、クラスメイトと一緒にシミュレーションしながら学んでいます。また、このプログラムにはインターンシップがあるので、実践を通じてアメリカのビジネスを学ぶのが楽しみです。クラスは20人ほどの少人数で、国籍を超えてみんなで仲良くしています。先日、クラス全体でバーベキューパーティをやりました。 |
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