留学成功の秘訣
アメリカで高校生活を終えた木村さんは、両親の希望で帰国し、とりあえず日本の大学に進学した。けれど「音楽ビジネスを学びたい。それなら本場アメリカでなければ」という夢が捨てきれず、音楽ビジネスで有名なインディアナ州立大学に留学する。「大変でした。語学力は問題なかったんだけれど、僕はもともと野球少年で、音楽の理論も知らなければ音譜も満足に読めない。みんなが50時間ぐらいで終える音楽の課題を、僕は800時間ぐらいかけていた(笑)。でも楽しかったです。アメリカだけでなく、いろんな国の人と演奏したり、音楽の感動を分かち合えることが、僕にはとても刺激的だったんです」 音楽の世界にどっぷり漬かりながら、木村さんは「これから楽器産業が伸びていく」という実感を得る。そこで、インターンシップも大手日系楽器会社に自らアプローチ。「アーティストのHP作成をサポートしたり、音楽イベントのアシスタントをしたりと、すごく忙しかったけれど、音楽ビジネスの一端を垣間見ることができて、勉強になりました。そこで改めて思ったんです。僕は音楽が好きなんだなあって」 就職は在学中から考えていた。インターンシップ中にも、楽器専門誌やインターンネットで調べた会社に片っ端からアプローチ。「採用してますか?」と直接電話で問いあわせたり、50社以上にレジメを送るなど、粘りの就職活動で、やっと楽器の製造・卸しの会社に就職を決めた。「ともかく楽器業界に首を突っ込みたかった。規模も問わない、どこでもいい、それぐらい必死で探したんです。ただ、その会社は10ヵ月で辞めることになったのは残念。今思うと、もっと深く、企業研究をしておけばよかっと思います。扱っている楽器を店舗に見に行ったり、その企業について知っている人にインタビューをするなど、その企業に自分のやりたいことがあるのか、成長できるのかが判断できる情報を、もっと集めておくべきでした」
実は、会社を辞めたのは「仕事がイヤになった」という理由だけではない。新しくやりたいことが見つかったためだ。「楽器にこだわらず、まずは深く貿易について学びたいと思ったんです。扱う品物はどんなものでもいい。30歳までは貿易の知識・ノウハウを自分のものにして、大好きな楽器や音楽ビジネスは、貿易のスペシャリストになった後にしようと。やりたいことが変わったというより、優先順位が変わったんですね」 転職活動は、主に転職サイトを使った。大学も就職も音楽一色。当然、「なぜ、非鉄を扱ううちの会社なのか?」と聞かれる。「思ったことを正直に語りました。同時に、様々な国の方とコミュニケーションし、文化を吸収してきた留学経験があるから、どんな国に行かされても対応できるという強さもアピール。突然、『英語で答えなさい』と言われたけれど、ひるまずに堂々と答えた姿勢も買われたみたいです」 留学と就職。必ずしも留学経験が就職にとって有利になるわけではない厳しい世の中で、彼は新卒での就職も転職も、行動力で「欲しいものを手に入れてきた人」だと言えるだろう。「なぜ成功したかと聞かれれば、『必死だったから』と答えるしかないですね(笑)。1社目は、ともかくどんな形でもいいから楽器業界ということにこだわったし、2社目は海外貿易にこだわった。その意味では、常に僕の中では『今、やりたいこと』が明確だったような気がしています。そして、そこに到達するために粘った。諦めなかった。1社目の時なんか、けんもほろろに断られた会社が何社あったことか(笑)。でも、粘り強く活動を続ければ、夢に近づける道があるはずなんです。それがたとえ遠回りでも。だからこれから留学する人にはこう言いたいんです。常にゴールを持ち、必死にそこに向かってくださいと」。木村さんの今の目標は、5年以内に現会社でNo.1のセールスマンになることだと言う。
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