留学成功の秘訣
女性にとって「25歳」というのはひとつの転機だ。鈴木さんは、その25歳を迎える前にふと考えた。 「私は今のままでいいんだろうかと。その答えはNO。そこで、勤務先に辞めることを話したら、常務から直々に話があり、『社員はみんな子供のように大切なんだから、退職後に何をするか決めていない状態で辞めさせるわけにはいかない』と。悩んだ末に、『留学します』と答えました。もともと大学時代に短期留学をしたとき、『期間も授業内容も物足りない、いつかまた留学したい』と思っていて、留学するなら、今、このタイミングしかないと、決意したんです」 留学先は、大学時代に留学したカナダ・バンクーバー。学校は「Granville Institute」という専門学校で、翻訳・通訳コースに進んだ。期間は7ヵ月。「授業内容が厳しく、正確な英語を身に付けられるところ」をあえて選択した。「学校はほとんど日本人で、最初は『留学したのに日本語を使ってしまうのではないか。外国人の友だちができなのではないか』と思っていたけれど、そんなことはありませんでした(笑)。クラスメイトは志が高く熱心な人ばかりで、同じ日本人の留学生として刺激を受けました。それに、宿題が山のように出て、授業後や週末は遊ぶ時間がほとんどありませんでしたから。毎日100単語・100センテンスの宿題が出て、月末には800単語・800センテンスのまとめのテストがあるんです。それで、85%以上の成績を取らないと、次の単語帳がもらえない。ホントに大変で、電車の中でも歩いていても、CDを聞いて単語帳を見ながらブツブツ言っていました。ホームステイ先に帰って、部屋のドアを締めた瞬間、宿題の多さに涙がポロポロ出ることもあった。でも、ホストマザーから『ごはんよ!』って呼ばれると、笑顔で出ていかなければならない。最初の3ヵ月は睡眠時間も2時間ぐらいで、心身ともにつらかったです」 しかし3ヵ月を過ぎた頃、努力が実って英語力もついてくる。気持ちも「残り3ヵ月しかないから、必死で勉強しよう」と前向きに考えられるようになった。「コース修了間際にディベートをして、私のグループは『銃規制は撤廃すべきだ』というテーマで調べることになったんです。そのために、資料を探して理解を深めたり、自分でアポを取って関係者にインタビューしなければならなくて。運よく大学教授に取材ができた時、『私、ここまで聞き取れて、質問までできるようになったんだ』と感動し、最終的には作成した新聞記事がすごく高い評価を受けたこともうれしかったですね。想像以上に厳しい授業と格闘しながら、7ヵ月で私は実力と自信を得たと思いました」 就職については留学中、常に「どうしよう」と考えていた。英語を使う仕事も事務職も未経験なのに就職できるのかと。就職サイトを何度か見たこともある。「でも、毎日勉強に追われていたので、結局、『後でいいや』と後回しにしてしまって。でも私の中で決めていたことがあるんです。帰国後も英語を勉強し続けること、どんな形でもいいから英語を使える仕事に就くことです」
帰国後、まずは勉強漬けだった日々の疲れをとるために3週間は休息。その後、留学ジャーナルから紹介された人材会社・アデコに就職相談に行き、「週2回会社帰りに英語学校に通えて、職場では英語が使えるところ」という明確な条件を告げた。「希望は正社員だったのですが、条件面が合わなくて。そこで、派遣というスタイルも受け入れようと思ったんです。帰国が12月。お正月が明けて1月末にアデコにコンタクトして、就職は2月。留学ジャーナルのキャリアカウンセラー・佐藤さんからいただいた『(帰国後は)あまり間を明けずに就職活動をしたほうがいい』というアドバイスがずっと頭の中にあったので、トントン拍子で就職が決まったのかなと思っています」 派遣先は、外資系の調査会社。そこで調査レポートを買っていただいたお客さまからの質問に応対する仕事だ。世界の市場動向など、詳しい情報をアメリカやヨーロッパ、アジアの現地アナリストに問いあわせたり、質問内容を英語でまとめたりとやりがい十分。「だから、派遣というスタイルを選んだことは後悔していない」と鈴木さん。「私のようにやりたいことが明確な場合には、時間の融通が効き、キャリアにもなるので、派遣として働くという選択肢もありだと思います。幸いにも私の派遣先は、皆さん優しい方達で、いつも良い刺激を受けることができる職場なので不満はありませんでした。会社から評価していただいたり、アメリカ人の社員さんから、私の英語が正確であると誉められたこともありました。ただ、いい会社だからこそ、余計に『正社員だったら…』と思う気持ちもあって…」 そんなときに、正社員を募集している仕事先を知人から勧められた。迷った末に、鈴木さんは転職活動を決意。「留学中にしっかり勉強したこと、帰国後にビジネスの現場で英語を使って仕事をしてきたこと。両方が私の自信になっています。もし正社員に固執していたら、この半年間のビジネスキャリアを得ることはできなかったわけだから。これからは新しい会社でまたキャリアを重ねて、将来は翻訳・通訳の仕事に就けるように頑張りたい。実は留学先を決めるときはまだ“翻訳・通訳”の仕事に対しては憧れ程度で、それほど本気ではなかったんです。でも留学をきっかけに私はやりたいことに前向きに行動する勇気を持つことができたし、“翻訳・通訳”という大きな夢に向かっていこうと強く思っています」 最後に、これから留学する人へ、鈴木さんからのアドバイス。「帰国後に何がしたいかを明確にしたほうがいいですね。『こういう自分でありたい』というイメージを強く持つというか。そして留学中はその目的に向かう努力を忘れないでほしい。例えば、TOEICの点数をどこまで上げるなど具体的に決めたり、就活中にアピールできる材料を作っておくなどです。そして、帰国後の就活では、『これは譲れない』という優先順位を決めること。一方で、例えば正社員を希望する場合、派遣スタイルの中でも『紹介予定派遣』という形なら、正社員になれる道もあるので、ある程度の柔軟さが必要。それから、留学中のがんばりと同じくらい帰国後も積極的に行動することが大切だと思います!」
あらゆる解決策を知り尽くした経験豊富なカウンセラーがお一人おひとりベストな留学をプランニング。
1983年創刊「留学ジャーナル」は、日本で最も歴史のある留学情報誌。確かな情報のみをお届けします。
UCLAやコロンビア大学など、海外の数多くの教育機関や、各国大使館との協力関係で帰国後までサポート。