留学成功の秘訣

大学院留学体験者のケース

今月の成功者

-- Photo -- 林宏典さん(33歳)リアルコム株式会社 シニアコンサルタント

東京大学卒業後に大手エンジニアリング会社に就職。そこで、プロジェクトマネジメント(PM)のキャリアをつけたいと思うようになる。5年目に退職し、PMの本場であるアメリカ留学を実現。ワシントンDCのGeorge Washington University の大学院修士課程で2年間学んだ。留学中は、1年生の春から就職活動を開始。2年生に進級する前の夏休みに帰国し、会社訪問や試験を受験。3社から内定をもらい、念願のコンサルティング会社に就職を決めた。
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成功のポイント 1.留学前から「将来、進みたい方向」が明確だった 2.留学中に、自ら情報を集めて、果敢に就職活動した 3.面接で、経営コンサルティングに対する熱意や興味を素直に語ることができた
 
林さんのステップアップ

1996年4月 23歳
東京大学教養学部基礎科学科第1学科を卒業。もともと海外に興味があった林さんは、海外プラントを手がける大手エンジニアリング会社に就職。人事、スケジュール・コスト管理などの仕事を手がけた。
2000年4月 27歳
プロジェクトマネジメント(PM)を学ぶために留学。PM権威がいたことから、George Washington University のProject Management Programを選び、学生生活を謳歌しながらも、学問に没頭する。
2001年5月 28歳
帰国後はコンサルティングファームかシステムインテグレーターで働きたいと考え、ネットで情報収集。15社に手書きのレターと履歴書を送付。7割から返事をもらう。
2001年8月29歳
夏休みを利用して帰国。企業とコンタクトを取り、面接や会社説明を受ける。就職活動に集中した結果、3社の内定を獲得。
2002年6月29歳
大学院を修了。(株)日本総合研究所に就職し、プロジェクトマネジメントやBPRの分野でコンサルタントとして活躍する。
2006年4月より
リアルコム株式会社 シニアコンサルタントとして勤務。
リアルコム株式会社は「人中心」のナレッジマネジメントの推進を支援するサービスを提供する企業。これまでのキャリアを活かして、更なる活躍が期待される。
社会人留学のキャリアチェンジ。明確な目的があるなら留学前から帰国後のことも考えておくことがポイントです。
「やってきたこと」と「やりたいこと」そして「熱意」が一本の線で結ばれていた。そこを評価してもらえたのだと思います。

海外には卒業旅行でしか行ったことがなかった林さん。しかし、林さんにはずっと「海外で学んでみたい」という思いがあった。転機が訪れたのは就職5年目。潔く会社を辞めて留学の道を選んだのは、その漠然とした思いに「明確な目的意識」がプラスされたからだ。「人事の仕事を通じてPMというノウハウを知り『僕も学んでみよう』と思い、PMの社内研究会に参加、国内でプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)という資格を取ったのです。そのうちに、PMや経営学の本場・アメリカで勉強してみたいという思いが強くなって・・・。もちろん、大学の同期が様々な会社で仕事を頑張っているなか、自分だけ退職して留学するのは、走っている電車から降りてしまうような不安があったのも事実。でも、20代の若くて吸収力がある今こそがチャンスだと思ったのです。このタイミングを逃してはいけない、と」

留学先は、PMを学ぶには定評のあるGeorge Washington UniversityのProject Managementの修士コース に決めた。1学期は「日本で頑張っている仲間に負けない」というモチベーションもあり、かなり根を詰めて勉強したそうだ。「修行僧のようでしたね(笑)。ビジネススクールの中のクラスだったので、授業は夕方の4時とか夜の8時に始まるんです。だから、朝起きたら近所のスターバックスでブランチを食べながらテキストを読み、それから図書館に直行。授業が終わったらまた図書館で勉強して、深夜に家に帰る。遅い夕食は、メニューを考えるのが面倒臭いからずーっとパスタ(笑)」。でも、余裕が出てくると、ライフスタイルも変わってきた。「2学期になると、『これぐらいのペースがいいんだな』とわかってきて、いろんなことに目が向けられるようになったんです。やっぱり勉強だけじゃ心身ともにもたないし、もったいない。みんなでキャンプに行ったり、学生協会の活動をしたり、ワシントンDCという土地柄、無料の公開セミナーもたくさん開かれているので、午前中はそれに参加したり。面白そうだなと思った世界には、どんどん飛び込んでいくようになりました」

留学後のことは、すでに考えていた。アメリカではなく、日本に帰国して就職すること。PMの知識が活かせるコンサルティングか大規模システム開発の分野に進むこと。だから彼は、1年生の5月には就職活動を始めたのだ。「興味ある企業をネットで調べて、レターと履歴書を送付したんです。『僕はこういう者です。夏休みに帰国するので、面接・面談の機会を与えてほしい』って。採用担当の経験から、ウェブサイトでエントリーができる時代に『わざわざ手書きの履歴書を送付するヤツは熱意がある』と感じたので(笑)」。

 

結果的に、早い時期から就職活動を始めたことが功を奏した。「ボストンでは、留学生を対象とした『キャリアフォーラム』という、大々的な合同会社説明会が毎年開催されます。多くの人はそこをターゲットにして就職活動をするのですが、9.11のテロの後だったので、参加企業がすごく少なかったのです。そこでアテが外れた留学生は多かったですね」

そこで、まずは「就職活動」において林さんからアドバイス。「留学生は就職の情報も活動する時間も少ないから、自分で道をいくつも作っておいたほうがいいですよね。たとえば最近は転職エージェントが充実しているから、留学前からエージェントと話をして、留学中にも情報交換する。もちろん、信頼できる人でないとダメだけれど、留学前から留学後のことを考えておく、準備をしておくことは大切だと思います」

次に、就職活動をしたからこそわかる林さんの反省を伺った。「3社から内定をもらえたのは、やはり、自分がやってきたこと(前職)と留学で学んできたこと、そして、これからやりたいことが一本の線で結ばれていたからだと思います。そして『やりたい』という気持ちを素直に伝えられたからではないかと。ただ、今から振り返ると、『一本の線』にこだわり過ぎたかなあとも思うんです。これまでの経験と専攻内容だけを考えて、『こういうキャリアを築くべき』と結論付けてしまったかと。それだけでなく、もっと自分の価値観、つまり自分が本当に大切にしたいものを掘り下げてもよかったのかもしれません。外からの評価も大事ですが、自分の心の声を聞くことも重要です。仕事を長く続けるためには、バランスのとれた選択をしていきたいですね」

とはいえ、大きな決断をして留学をしたことを、林さん「心から良かった」と振り返る。「いろんな国の人の、いろんな価値観に出会うことができた。それによって視野が広がったし、『いろんな世界にどんどん出ていこう』というポジティブな人間になれたと思います。でもね、実は面接では、留学経験はあまり言わなかったんですよ。留学ももう珍しくない時代ですから、「アメリカで○○年」というだけなら採用担当者も聞き飽きてると思って。たとえば誕生日にサプライズパーティをしてもらったうれしさ、アメリカ人のボランティア精神への感動など、エピソードはいっぱいあるけれど、それは自分の宝物として大切にしまっておけばいいのです」。そう言って林さんは、微笑んだ。



キャリアカウンセラーが分析

  これまで、このコーナーでは留学前の職務経験が無い方や浅い方(新卒・第二新卒と言われる層の方)の体験談を多くご紹介してきましたが、林さんの事例は社会人の方の『目的が明確な留学・転職のケース』として参考にしていただけると思います。
本文の中で林さんの学ばれた『プロジェクト・マネジメント(PM)』については詳しく触れていませんが、留学や、就職・転職活動といったキャリア構築も、実はPMの手法に置き換えて考えることができます。PMの事実上の世界標準となっているフレームワークにPMBOK(ピンボック Project Management Body of Knowledge )というものがあります。これは効率よく確実に目的を遂行するための9つの要素から構成されています。

【PMBOKの9つの要素】
1) 合マネジメント:コスト、タイム、品質など、主要要素を統合管理する
2) スコープマネジメント:成果物を定義し、必要な作業をすべて確実に実行する
3) タイムマネジメント:期限通りに完了させる
4) コストマネジメント:予算内で完了させる
5) 品質マネジメント:最終目標達成に必要な要求レベルを達成させる
6) 組織マネジメント:参加メンバーの能力がフルに発揮できる環境をつくる
7) コミュニケーションマネジメント:情報の作成から最終処理までタイミングよく行う
8) リスクマネジメント:リスクを特定、定量化し、対策を予め企画、発動する
9) 調達マネジメント:組織外から必要な物、サービスを購入する

キャリアカウンセリングやメール相談では、2)の「『成果物の定義』=プロジェクトのゴール設定(どんな仕事に就くのか)」に重点を置いて、一緒に考えながら方向性を導きだしていくケースがほとんどです。しかし、ゴールが明確な場合は、自分自身の個別のプロジェクト(就職活動など)をPMBOKの9つの項目に置き換えて、漏れがないか、どの部分が不明瞭、または課題なのかをチェックしていくとよいでしょう。

ただし、林さんが自らの体験の反省点としておっしゃっていたように、実際に働いてみて気づいていく『価値観』もあります。キャリアという言葉は狭い意味で『職務経歴』や『スキル』を指す場合もありますが、最近では『生き方そのもの』、『自分らしい働き方や生き方を選択して育てていくプロセスそのもの』と定義されることが多くなりました。そう考えると、転職というプロジェクトも人生という大きなプロジェクト(納期の長い)の中のひとつに過ぎません。その中で、大切な価値観に気づき、軌道修正しながら成長していくことは、行動を起こしているからこそ得られる成果物と言えるかも知れません。今後も林さんはたくさんの成果を獲得していかれるに違いありません。これから留学される方は、『留学』『就職』に注ぐエネルギー(行動)によって得られる価値観を大切に育てていかれるといいでしょう。

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