第一志望ではなかったが、こうして今充実した毎日を送ることができているのは、多くの友だちに支えられてきたからだと大澤さんは自己分析する。「キャリアフォーラムに参加することや就職に関するアドバイスもそうですが、周囲にいい友だちがいてくれたお陰で今の僕がある。留学生の中には日本人同士の交流を嫌がる人もいますが、日本人の友人から得られるものは大きいです。それに海外で暮らすと、それまで以上に日本人であることを意識せざるをえないし、本物の国際人ならばそれこそ白洲次郎のように日本人かどうかなど関係なくどんな国の人とも付き合うべきだと思います。そう思って、僕は大学の日本人会に入りました。日本人会では、日本語でインディアナ州立大学と書かれたTシャツを作って販売したところ大人気で、300枚以上売れました。その儲け分は『I LOVE ISU(インディアナ州立大学)』というパネルを作って大学に寄付しました。こういう活動を通じて、日本に興味を持ってくれる人が増えればいいと思ってのことでしたが、大学側にもとても喜ばれて、やって良かったと思います」。実は、日本人会などでのこうした活動は、就職活動にとってもプラスだったようで、どの会社でもこの活動については詳しく聞かれたという。このエピソードは、大澤さんの行動力や人心掌握術、人柄などをよく表しているからだろう。
『周囲を巻き込んで何かを達成する経験』??これは、『キャリアの達人に聞く』のページのJICAの取材の際にも、人事の方が『求める人物像』としておっしゃっていたことですが、大澤さんも周囲を巻き込んで特製Tシャツを販売します。その売上で大澤さんたちが大学に寄贈した『I LOVE ISU』のパネルは、多くの人の顔写真のコラージュで文字を作ったアート作品とのこと。インディアナ州立大学では今も、『I LOVE ISU』の形をしたたくさんの笑顔が、不安と期待で到着した留学生を迎えていることでしょう。