留学成功の秘訣

大学留学体験者のケース

今月の成功者

-- Photo -- 君嶋崇さん(27歳)大手外資系電子機器メーカー国際業務部勤務

君嶋さんが勤務する企業は、アメリカのミズーリ州に本社を構える外資系電子機器メーカーの日本法人。プラントやエネルギー関連の計装機器などを製造している。『フォーチュン』誌や『Newsweek』誌などの特集でも「グローバル企業」としてエレクトロニクス部門で上位にランキングされる企業だ。留学先では環境学を専攻し、NGOでのインターンシップやアルバイトも経験しながら自分とフィットする就職先を模索。海外大生向けのサイトやフェア、エージェントを活用し内定した3社の中から現在の企業を選んだ。君嶋さんの留学のきっかけから現在に至るまでの転機や選択のポイントについて伺った。
↓
成功のポイント
 
君嶋さんのステップアップ

2001年3月
日米会話学院 国際教養科 卒業。
2003年8月
ニューヨーク州立コブレスキル短期大学 一般教養学部 化学学科入学。ニューヨーク州立環境森林・科学大学(State University of New York College of Environmental Science and Forestry, at Syracuse) への編入学を目指し、学部・学科を決める。
2005年5月
ニューヨーク州立コブレスキル短期大学 卒業。
成績優等生として、Dean’s List, Phi Theta Kappaを付与される。短期大学卒業後、大学編入までの3ヵ月間The Atlantic States Legal Foundation, Inc.にてインターンシップを行う。
2005年8月
ニューヨーク州立環境森林・科学大学 環境学部 3年次に編入学。コミュニケーションと文化(オプションコース)を専攻。この頃から就職活動を意識し始め、就職サイトにも登録。
2007年1月
日本に一時帰国し、環境系NGO等に就職情報を尋ねに訪問する。
2007年5月
ニューヨーク州立環境森林・科学大学 卒業。成績優等生として、President’s Honors Listを付与される。日本に帰国。就職活動を本格的に始める。
2007年6月
東京で開催された海外大生向けのキャリアフェアに参加。
2007年9月
海外大生向けの『人材エージェント』に登録。11月に現在勤務している外資系企業に内定。
2008年1月
同社に入社。国際業務部に配属される。
『The environmental problem is the tip of the iceberg.(環境問題は氷山の一角だ)』
メディア、教育、政治、経済・・・。『環境問題』を学ぶことで見えてきた繋がりと仕組み。

環境問題を学ぶことは『人間(人類)』を知るきっかけなのかもしれません。

英語の専門学校を卒業後、ニューヨークにあるファッション系の大学への留学を目指し、アパレルショップでアルバイトをしながら留学資金を貯めていた君嶋さん。そこで出会った一冊の本が君嶋さんの運命を変えることになった。「バイトの休憩時間にふと手にした雑誌で紹介されていた『沈黙の春(原題:Silent Spring)』という本を読んで衝撃を受けたんです」。この本は環境分野を専攻する学生にとってはバイブルとなっている本だ。化学物質の有害性などを取り上げ、環境問題への社会的関心に一石を投じた著と評されている。「今から40年以上も前に書かれているのに、現状はどうなんだろう?目の前のこともそうだけれど5年後10年後の将来を見据えて取り組んでいくべき問題ではないか。そんな焦燥感に駆られたのを覚えています」

環境学を学ぶべく、ニューヨーク州立環境森林・科学大学に編入する計画を立てた君嶋さんは、まず、同じニューヨーク州にあるコブレスキル短期大学に入学した。短大卒業時には成績優秀者の証であるDean’s Listに載るまでになったが留学当初は大変な苦労をしたそうだ。「とにかく授業についていくのが大変でした。特に生物の授業。初日の授業で解剖があって、本を見ながら進めるんですが、僕一人1時間オーバーでした。後で聞いたんですが、生物の授業は全体で200人近くいる生徒のうち日本人は7人。しかもパスしたのは僕ともう1名だけで、翌年からは1年生の日本人には生物の授業を取ることは勧めないようになったらしいんです(笑)」。こうして前途多難な留学生活がスタート。目標としている滞在期限内に編入するために最初の1学期間はとにかく単位を割らないようにひたすら勉強した。自分から働きかけて友人を作る余裕もなかったという。

友人もうまく作れず半年が過ぎようとしていた頃、転機となる出来事が起こる。2月に休みを利用してドイツに旅行した。日本にいた頃に地元で知り合った友人の留学先を訪ねたのだ。彼女は1年の予定でドイツに留学し環境地理学を学んでいた。久しぶりに会う彼女は、君嶋さん曰く『世の中の留学を目指す人たちが理想とする、絵に描いたような留学生活』を送っていたと言う。世界各国から目的意識をもって留学してきている、たくさんの友達との充実した生活。そこで彼女から言われた言葉が君嶋さんに一撃を与える。「タカシは、アメリカで何やってんの?全然英語も伸びてないじゃない」。自分でもわかっていただけにショックは大きかった。「彼女は1年限定で、自分は4年間。周りが変わってくれるかもしれないという甘えがあったのだと思います」

ドイツからアメリカに戻った君嶋さんの行動に変化が現れた。生物の授業終了後、自分からクラスメイトをランチに誘う。それがきっかけで、週末に他の友達も含めた飲み会に誘われた。「その飲み会で、実は飲みすぎてしまい記憶をなくしちゃったんですよ(笑)。そうしたら、翌日から『タカシは面白いやつだ』『面白い日本人だ』って、飲みに行ったみんなから声をかけられるようになって。自分では何を言ったのか覚えていないんですけど(笑)。それまでは授業に追いつかなくちゃとか、英語が上手く出来ないからとか、自分で壁を作ってたんですよね」。この日を境に君嶋さんの留学生活の第二幕が始まったのかもしれない。心を開いてコミュニケーションをとれるようになると、友人たちは「タカシは英語が母国語ではないからハンデがあるだけで、勉強もできるし努力もするやつだ」。そんな言葉をかけてくれるようになる。授業で分からないところを教わるだけでなく、化学や計算など、君嶋さんが得意な教科は彼らから教えを請われることもあったそうだ。卒業前には、同じ専攻で苦楽を共にした友人から、「タカシの英語は凄く上達した。けれどネイティブのようにクラスを理解していないのも分かる。そんな中でも成功しているのは凄いよ」とさりげなく言われたことがあった。いつも自分の近くにいた友人の言葉はクラスでAをとるよりも嬉しかったそうだ。

英語でのコミュニケーションという課題もクリアし、大切な友人もできた。そして当初の計画通り、無事ニューヨーク州立環境森林・科学大学の3年次に編入を果たす。君嶋さんが就職を意識し始めたのは4年生に入る前の夏休み頃だそうだ。夏休みを利用して、シラキュース市にあるNGOにインターンとして参加した。このNGOでは、地元の環境汚染地区に暮らす貧困者層や、そのコミュニティの子供たちに環境教育を実施するプログラムなどを扱っていた。元々は弁護士事務所だったこともあり、君嶋さんの他には地元の名門シラキュース大学の法学部生もインターンとして働いていた。環境問題を多角的に見る視野を持つきっかけとなる有意義な経験となった。君嶋さんはこのNGOをアメリカ人の友人から紹介してもらった。夏休みを利用しての『サマーインターン』(※アメリカでは一般的に『サマージョブ』と言われることが多い)は、大学にも募集が掲示されるが、募集枠に対し10倍近くの応募があり、その情報だけを当てにしていてもなかなか決めることができないそうだ。自分のやりたいことを語ったり、それを理解して応援してくれる友人との信頼関係を築けるだけのコミュニケーション力を身につけていた証と言えるだろう。

 

大学4年次に入った9月、海外大生向けの就職サイト(CFN)に登録する。当初は専攻分野により近い環境系の国際機関やNGO、シンクタンク、国立公園のレンジャーなどを考えていたため、一般的な就職サイトからは希望する業界や職種の情報は得られず、具体的に活動を開始したのは年明けからだった。1月に日本に一時帰国した際に、環境系NGOを訪問し話を聞き、アメリカのNGOと日本のNGOの違いを感じたそうだ。「アメリカでは企業が寄付した場合課税が控除されます。そうした背景もありNGOや財団などが、日本よりも財務面も含めて育ちやすい環境にあると思います」。こうした現状や実態も踏まえて、一般の企業への就職も視野に入れ始めたそうだ。ニューヨークに戻った2月頃、企業の求人情報を収集するために日本の大学生が利用するリクナビの新卒サイトに登録した(※2008年版。2008年3月卒業予定者を対象としたサイト。君嶋さんは2007年の5月に卒業)。このサイトは現地からWebで応募したり、卒業、帰国後も秋採用などの情報を得るのに活用した。

学業と並行しながら、情報を集めたり応募したりしたものの、本格的に就職活動を始めたのは卒業して日本に帰国してからだった。6月に東京で開催された海外大学生向けの就職イベントにも参加した。例年、6月か7月にかけて、リクルートなど主要3社が同じ時期に東京で海外大生向けの就職フェアを開催する。君嶋さんも他の海外大生たちの就職活動の様子を把握するためにもこの時期のイベント(就職フェア)に足を運んだそうだ。

数社の内定が出始めたものの、君嶋さんは就職活動を続けていた。9月頃、海外大生に特化した就職紹介サービスを行っている『人材紹介エージェント』を通じて、現在勤務している企業を紹介される。『人材紹介エージェント』を利用するメリットは、専任のコンサルタントから適性や可能性をアドバイスされた上で企業を紹介されるので視野が拡がり選択肢が増えることだ。一方で新卒や就業経験のない人向けの案件は多くはないのでエージェントだけに頼るのはリスクもある。君嶋さんは、それまでに就職サイトや就職フェア、インターンなどを通じて多種の企業や仕事内容を見ていたので、エージェントとのコミュニケーションも上手くとれた。そして案件(企業)を薦められた際にも一方的に受け入れるのではなく、自らの判断で選択することができたのだろう。

複数の内定先からこの会社を選んだ決め手は何だったのだろうか?「人より社会人になるのが遅かった分、2倍、3倍のスピードで成長したいという気持ちが強いんです。今の会社は、グローバルな展開をしていてビジネスのスピードも速い。タフなこともあるかもしれませんが、その分早い段階で鍛えられると思ったんです」。これまで学んできた環境問題については今後もライフワークとして関心を持ち続けていきたいという君嶋さん。「大学で学んだり、日米両国のNGOの活動に参加したりしてきた中で『環境問題』というキーワードから派生して色々な繋がりや、世の中の仕組みを知るきっかけになったと思います。そこで感じていることは『人の不幸の上に成り立つ幸せはイヤだ』ということです。それはNGOやボランティア活動であっても、ビジネスであっても。同時に、まずは僕自身が社会人として自立して幸せを感じられることが先決だとも感じています」。ビジネスの世界で動き出した君嶋さんは新たなフィールドで知識や経験を急速に吸収していくことだろう。そして、その過程で留学生活から学んだことや乗り越えてきたこととの共通点を発見するかもしれない。



キャリアカウンセラーが分析

  成功のポイントとして挙げた1つ目と2つ目は、これまで取材した多くの方から類似した言葉を伺いました。新卒(就業経験の無い方)の場合は就職活動そのものが初めてのビジネス的なコミュニケーションの機会であり、就職活動は言わばビジネスパーソンとしての助走期間。業界職種に関係なく『コミュニケーション力』が問われます。特にロジカルなコミュニケーションは、意識的にトレーニングする必要がありますが、まず何よりも自分の経験への自信がなければ、小手先のテクニックは通用しません。

3つ目に挙げた『軸となる価値観の形成』ですが、これにより君嶋さんは目先のことだけではない自分の人生における長期的なキャリアプランニング(=ライフプランニング)のヒントを掴んだと言えます。

『The environmental problem is the tip of the iceberg.(環境問題は氷山の一角だ)。』・・・このように、師事した大学教授の言葉を引用した後、君嶋さんは次のように続けました。「環境問題を正しく伝えていくためには『メディア』に関わる人たちが環境に関する教育を受ける必要があります。また、汚染された土地に経済的弱者や社会的地位の低い人たちが、その事実を知らずに住まわざるを得ない状況に関して言えば『政治』や『経済』を知る必要があるかもしれません。『法律』の問題もあります。そんな風に環境問題を学ぶことは『人間』を知るきっかけなのかもしれません」。君嶋さんのこの言葉は、受動的に授業を受けていただけではなく、インターン先で目の当たりにした問題をはじめとし、人に会い、行動し、自らの目や耳で感じ、頭で考えた、彼自身の言葉と言えるでしょう。

君嶋さんが留学先で環境学を学ぶきっかけとなった『沈黙の春』は40年以上も前に書かれた本です。最近では、『不都合な真実』を著しノーベル平和賞を受賞したアル・ゴア氏の活動により、環境問題の認知度や関心も高まりつつあります。しかしながら君嶋さんの大学の教授がおっしゃっているように、『環境』というキーワードには関わる問題は海面下で様々な側面を持ち、複合的に連鎖しているのかもしれません。また、それらに対する新たな解決策自体が海面下に隠れているのかもしれません。問題を解決していくことは壮大なテーマですが、海の下にある解決策を探し当てるには、多角的な視点を持つことと氷山が溶ける前にスピーディに行動することが大切と言えます。

これは、人生(ライフ、キャリア)という壮大なテーマの道筋を探っていくことと似ています。多角的な視点や経験を持つことで、それぞれの経験が統合され新たな価値を生むタイミングがあります。そしてそのタイミングを逃さない秘訣が20代の今、スピードを持って成長することである、そのことを君嶋さん自身が気づいていらっしゃるようです。

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