約5年間働いた食品製造会社を退職後、カナダとオーストラリアでのワーキングホリデーを経て英会話教師に転身した岩田麻紀さん。大好きな英語を使った仕事に日々奮闘中の岩田さんを支えている2年間の海外生活とは?ワーホリでの仕事探しでは、履歴書をいつも持ち歩き飛び込みで就職交渉をするほどの積極性を持つ岩田さんにこれまでの就職活動について話を聞いた。
2007年 4月 食品製造会社に総合職で入社
2010年 5月 留学ジャーナル主催の留学セミナーに参加
2011年 11月 会社を退職してワーキングホリデーで1年間カナダのトロントへ。最初の3ヵ月間は語学学校ELSトロント校で学び、残りはコーヒーショップでバリスタとして働く
2013年 1月 ワーキングホリデーでオーストラリアのメルボルンへ
2014年 1月 帰国
2014年 2月 英会話イーオンの就職試験を受ける
2014年 3月 英会話イーオン入社
大学卒業後に就職した食品製造会社での仕事に慣れたころ、何か新しく始めたいと英会話イーオンに通い始めた岩田さん。せっかく英語を学ぶからにはと、ワーキングホリデーに行くことを目標に設定。英語力がアップするにつれ、海外で生活してみたい、働いてみたい、という思いが強くなったという。約5年間働いて資金を準備できたこともあり、"今しかない"と会社を退職。カナダでのワーホリを決意した。自分を厳しい状況におくために、語学学校は大学進学のための英語力強化に力を入れているELSトロント校を選んだ。アカデミックな学校だけあってスピーキング、リスニング、リーディング、ライティング、ディスカッションなど総合的に英語力を高めることができたという。
「特にスピーキング力とリスニング力の向上を実感しました。インターナショナルな環境だったので、ネイティブ同士の会話だけでなくノンネイティブの会話もすんなり聞き取れるようになり、ますます英語を学ぶのが楽しくなりました。学期ごとにテストが行われ合否によって次学期のクラスが決まるため、確実に身についているかを確認できたことも良かったです。時には担当の教師から"何が学びたいか"と聞かれることもあって、実生活ですぐに役立つ英語力を身につけることができました。レベルによって選択授業もあり、履歴書の書き方を学んだり、英語のジョークのクラスを取ったり、言語学習の枠を超えた内容を学ぶことができました」。
語学学校卒業後は働く、という目標を持って、とことん勉強したという岩田さん。卒業時には、ある程度英語力がついた実感があったため、地元の人が見るウェブサイトと留学生が見るウェブサイトの両方を併用して仕事を探した。また、普段から履歴書を持ち歩き、募集広告がなくてもお店に入って履歴書を渡すことも多かったという。
「最終的に、履歴書をお店に直接持ち込んだコーヒーショップで9ヵ月間バリスタとして働くことになりました。マネージャーと直接話せたことが即就職に結びついたと思います。ショップはビジネスビルが隣接するショッピングモール内にあり、ビジネスマンやモールで働く従業員など、毎日何度も顔を合わせる常連さんの多いお店でした。クリスマスやボクシングデーなどイベント時期にはお店の外まで行列ができるほどで、とても忙しく仕事は大変でしたが、毎日"生きた英語のシャワー"を浴びることができたことは貴重な体験となりました」。
カナダでのワーキングホリデー終了後は、以前から計画していた南米旅行を決行。その後すぐにオーストラリアに渡り、さらに1年間のワーキングホリデーを経験した岩田さん。
「カナダで覚えた英語を定着させたい思いもあり、カナダ滞在中にワーホリビザを申請してオーストラリアに行きました。オーストラリアでは語学学校には通わず、すぐにレストランで働き始めました。カナダで働いていたときのようなコーヒードリンクの提供とは違い、お客様と会話する機会が多かったためコミュニケーション能力が向上したと思います。働き始めはオーストラリア英語を聞き取れなかったり、料理などの好みをどのように尋ねればいいかわからなかったりして戸惑いましたが、時間がたつにつれ常連のお客様に褒めていただいたり、冗談を言い合ったりする関係が築けました」。
オーストラリアで充実した日々を送っていた岩田さんに、以前通っていた英会話イーオンのカウンセラーから連絡が来たのは、帰国の6ヵ月前のことだった。
「イーオンの就職試験を受けてみないかと声をかけていただきました。帰国後の仕事についてはまだ具体的に考えていませんでしたが、何らかの形で英語を使う仕事に就きたいと思っていたので即座にチャレンジしようと思いました」。
帰国後、自分の実力を測るために英検とTOEICを受験。以前より格段に英語力が伸びていることを実感し、自信を持って就職試験に臨んだ。
「英会話イーオンの就職試験では、英語の筆記試験、授業の実技試験などを受け、最終的に面接を経て内定をいただきました。今は乳幼児から大人の方への英語ティーチングスタッフとして働いています。私の仕事はまさに英語が必要なので、海外で学んだ日常的な英会話がクラスの進行や生徒の皆様のフォローに役立っていると思います。2年間の海外経験のおかげで、実際に現地で使われている"生きた英語"を伝えることができています」。
以前、自分が英会話スクールに通いながら抱いていた気持ちと同じ気持ちを持つ生徒に、英語を教える岩田さん。生徒一人ひとりの気持ちがわかるからこそ、丁寧に誠実に向き合いたいと思っている。
「もともと私自身が学生時代に英語が好きではなかったので、英語を楽しく学んでほしいという気持ちが大きいです。また、英語の学習能力だけではなく、コミュニケーションが大事だと考えているので、積極的に発言したり、自分の意見を伝えようとしたりする手助けをしたいと考えています。実際に海外生活をしてみて私が感じた英語の便利さや、世界中の人々とコミュニケーションできる楽しさを、一人でも多くの生徒さんに伝えていけたらと思っています」。
何事にも一生懸命の岩田さんの挑戦はまだまだ続く。
岩田さんの就職成功の秘訣は、未知の世界に飛び込むチャレンジ精神と積極性、そして前向きな姿勢だと思います。最も象徴的なエピソードが語学学校卒業後の仕事探しでしょう。求人サイトに頼るだけでなく自分から履歴書を持ち歩き、募集広告がなくても履歴書をスタッフに渡すなど積極的な姿勢で取り組みました。海外では飛び込みで履歴書を渡して仕事を探すスタイルも珍しくありませんが、日本人はこうした売り込み方法に慣れておらず躊躇してしまう人もいる中、岩田さんは積極的に対面で自分を売り込み、最終的に直接マネージャーと話すことでコーヒーショップのバリスタという仕事を手に入れました。新しい環境で常に前向きに取り組み、新しいことを吸収しステップアップしようとする向上心が、帰国後、異業種へのキャリアチェンジ成功にもつながったといえます。
ワーキングホリデーが成功するかどうかは、どんな仕事に就くかという点が重要になってきます。働きながら実践的な英語力をしっかり身につけたい、ということであれば、なるべく職場に日本人がおらず、英語のみを使う環境で働くのが理想的です。ただ留学生の場合、英語力があまりないのに英語環境の仕事に応募すると、英語力が足りないことを理由に採用を断られてしまうことはよくあります。数回不採用通知を受けたぐらいではへこたれないという気持ちで、何度も応募を続けることが大切です。あきらめず何十社も応募していくうちに、だんだん自己アピールも上手になり、あきらめたころに希望していた仕事で採用された、という話もよくあります。また、日本人留学生の場合、日本食レストランでの仕事が比較的見つけやすいのですが、その場合は同じ日本食レストランでもお客様に日本人が多いお店なのか、それとも9割が現地のお客様でほぼ英語での接客なのか、という点を確認しましょう。お客様も従業員もほとんどが現地の人だったため英語力が格段にアップしたという例もあるからです。いずれにせよ、現地の人と働くという明確な目標がある場合は特に、早めに仕事探しをスタートさせ、飛び込みで履歴書を渡したりする積極性を持って根気よく応募を続けることが大切です。
帰国後の就職でいちばん多いのは、実は岩田さんのように知人からの紹介で就職が決まるケースです。全く知らない人からの応募よりは、知っている人から紹介された人の方が、採用する企業側も安心感があり採用に至る確率が高いからです。留学中は出会いの宝庫です。アンテナを張り巡らせて、出会いの機会があれば相手に自分がいつ帰国し、どんな分野の仕事に興味があるなどの話を積極的にしていくといいでしょう。思いがけないところから、仕事の空きがでるという話や、こんな会社にコンタクトしてみては?という情報をもらえ、帰国後の転職につながるかもしれません。