「サステナブルな街」として注目されるアメリカ・オレゴン州にあるポートランド。先進的なエリアの市民の意識や取り組みについて、現地在住の漫画家兼留学生がリポート!

持続可能への地域的取り組み。SDGsの最先端を体感できる街

アメリカ西海岸北部の都市ポートランド。ロサンゼルスやニューヨークに比べると日本人になじみはないが、アメリカ人が住みたい都市ランキング上位の常連であり、近年はSDGs先進都市として注目されている。車でなく徒歩や自転車で移動できるよう設計された自然に優しい都市設計、エコ志向、ローカル志向な住民のライフスタイル……。生活の至るところに社会課題への気付きが散らばっているポートランドは、SDGsの学びを深めるのに、最適な留学先の一つだ。

街の様子を教えてくれるのは……

ポートランド在住の漫画家兼留学生
阿部航太さん

漫画家として2年間の商業連載を終え、30代の半ばに差しかかったことを機にかねてより夢であった留学を決意。2019年8月から10ヵ月間ポートランドの語学学校ELS Language Centersで学び、その後、現地のアートスクールに進学。現在、イラストレーションを学んでいる。語学学校在学中に留学生活の悲喜こもごもをつづった漫画をブログで発信し、好評を博す。

住んで初めて分かる、ポートランドの本当の魅力

 実は、ポートランドには留学するだいぶ前に観光で訪れたことがあります。その時は漠然と「良い街だなぁ」くらいの感想でしたが、いざ生活してみると、良い意味で発見の連続。ポートランドの魅力や真価は、実際に暮らしてこそ知ることができるのだと思います。
 例えば、アメリカの食生活にはあまり健康的でないイメージを持っている人も多いと思いますが、ここではオーガニック食品が手軽に手に入りますし、種類も豊富です。また、緑豊かな街並みも気に入っている点。街中の至る所に緑があり、住民はそこで読書や日光浴をして、思い思いに過ごしています。感化されて、私も漫画のネタに煮詰まったときなどは芝生の上で作業をするように。これって、日本だといろんな意味でできないことですよね(笑)。
 ちょっと嫌なのは、雨の日が多いことでしょうか。地元の人は小雨はもちろん、結構な激しい雨でも傘を差さないので、溶け込もうとまねしたら風邪をひいてしまったことがあります(笑)。ただ降水量が多いおかげで、隣のカリフォルニア州と比べると水道料金が格安なので、これも悪い面ばかりではないです。住み始めてまだ一年ですが、私はポートランドをとても気に入っています。

「35歳漫画家が海外留学する話」
ポートランド・サステナブル・ライフ

SDGsの精神が根付いているポートランドの街で、阿部さんが送るエコフレンドリーな1日とは……。

More!
阿部さん's VOICE

漫画で紹介し切れなかったSDGsにまつわるエピソードをご紹介!

Local First/地元第一主義
私がポートランドの魅力の一つだと思うのが、郷土愛の精神です。その表れとして、地元で生産されたものを地元で消費する「地産地消」の取り組みが盛んなのだと思います。飲食店ではほとんどの人が地ビールを愛飲していますし、食品スーパーに陳列される卵やチーズなどの乳製品は、地元産のものが圧倒的なシェアを占めています。

Pronoun/代名詞
ポートランドは西海岸の中でもリベラルな都市。LGBTへの意識がとても高いです。私がその一端に触れたのは、アートスクール初日のこと。授業時間を丸々使い、自己紹介を兼ねてクラス全員がそれぞれ「私を指す代名詞はこれです」と自分に一番しっくりくる代名詞(He/She/They)を表明しました。これは、アメリカでもかなり先進的なことだと思います。

留学ジャーナル2021年2月号では「SDGsの学びかた」をテーマに東大発知的メディア「QuizKnock」との特別コラボを展開!誌面にはメンバーである須貝駿貴さんとノブさんが登場しています!雑誌の立ち読みはコチラへ。