【複数の教科を組み合わせた学習方法】STEAM教育について考察してみた(1)
最近よく耳にするSTEAM教育とはいったいどのようなものなのでしょうか。今回のコラムではその内容を詳しく解説します。これから訪れる未来について考えてみると、STEAM教育が注目される理由が見えてきます。STEAM教育に触れることで、身につく力とは何でしょうか。
STEAM教育ってどうして必要なの?
「STEAM教育という言葉は知っているけど、それ自体が何なのかはわからない!どうしてこんなに注目されているの?」と疑問に思っている方も多いはず。そこで今回は私から基本的な内容についてお話をさせて頂ければと思います。
そもそもSTEAM教育は、2011年にアメリカのオバマ元大統領が演説で話題にしたことで注目を浴びました。その際はScience、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字をとったSTEM教育という言葉を使い、話をしていました。近年ではそこにArtの要素を組み込んだSTEAM教育として話題に上ることが多くなっています。科学や数学、テクノロジー分野などの学習を横断的に学ぶ教育として認識されています。
簡単に言うと、一つの教科だけではなく、複数の教科の知識を組み合わせて、学習を進める教育のことを指します。なぜ、複合的な分野の学習が必要なのかと言うところは、後述するSTEAM教育の目的と重複する部分もありますが、ざっくり言うとこれからの社会を生きる上で、ITテクノロジーが必須となり、それを扱うには一つの教科の知識だけではどうにも出来ないからなのです。
STEAM教育の目的は?
では、このSTEAM教育の目的とは何なのでしょうか?本質的な教育の目的を考えると、人々の自発性・創造性・判断力・問題解決能力を育てるためと言われています。これは当社が提唱している、「地球をフィールドに活躍する人財」として必要な資質とも一致します。つまりこれからの未来を担う人材、いわゆる「みらい人財=Mirai Creatives」に必要な資質だと言えます。

AI×人間の時代に生き残る!
もっと深掘りしましょう。これからの未来はどうなると言われているのか、これを理解すると、前述した「みらい人財」が必要な理由がよくわかります。アメリカの発明家であり、人工知能研究の第一人者であるレイ・カーツワイル氏によると、「2029年にはAIの思考能力が人間の演算能力をはるかに超え、2045年には技術的特異点(Technology Singularity)が訪れる」と提唱しています。これを「2045年問題」や「シンギュラリティ」と呼びます。
2045年には全人類の知性をAIが超え、AIがより賢いAIを生みだす社会が訪れるということです。AIやその他テクノロジーの発達により不老不死が実現可能になったり、クローンが容易に作れるようになったりする可能性も考えられます。そうなると、人類の必要性がなくなり、滅びる可能性もあります。
これはあくまで現状から考察する予想でしかありませんが、既に私たちの周りの環境を取り巻く多くのものがAIによってオートメーション化されていて、カーツワイル氏の提唱した予想もあながち間違いではないと感じることもできます。仮にこのような社会になるとして、私達人類はAIに支配されるのではなく、AIを利用していく立場でなくてはいけませんし、そもそもそのような社会にならないよう、事前にテクノロジーをコントロールできる能力が必要になります。
そのために、自発性・創造性・判断力・問題解決能力と言ったような能力を身につけ、自ら仕組みをつくり、課題に直面したときに解決出来る力が必要になるのです。前述した「みらい人財」がこれから求められると言うのもこのような理由からですし、そもそものSTEAM教育の目的も同様なのです。
長くなってしまいましたが、今回はSTEAM教育の概要やその目的についてご紹介しました。次回はなぜSTEAM教育が注目を浴びているのか?を別の観点から考察したいと思います。
海外のSTEAM教育プログラム例
・アメリカ名門大学STEMキャンプ
・アイルランドを舞台としたSTEMプログラムと英語学習

今回のコラム担当
法人部 学校研修担当 R.H.
【Profile】
学生時代に経験したアメリカへの長期留学に加え、社会人でのニュージーランドでのワーキングホリデーの経験を持つ。前職の法人営業の経験と、海外での就労や活動経験を活かしながら、学校への研修の企画提案を行っている。
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