【探究型学習×SDGs】 オンライン国際教育プログラム~桜美林中学校・高等学校
この夏、桜美林中学校・高等学校様が高校生を対象に、国際教育プログラム「Global Study Tour for SDGs」(5日間)を行いました。 これはコロナ禍の海外留学に行けない期間に取り組んだ、オンラインによる初の探究型学習の取り組みともなりました。 その内容はどのようなものでしょうか。また成果は?
担当された国際教育部長・有馬純一先生が寄せてくださった内容をご紹介します。
◆桜美林中学校・高等学校様によるご紹介
https://www.obirin.ed.jp/topics/2021/djpqlu0000002toe.html
「Global Study Tour for SDGs」研修を行った理由と内容
<理由>
2020年初から新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、19年度の春期休暇、20年度の夏期休暇・春期休暇の国際理解教育プログラムがすべて中止となりました。
高校1年次の春休みや高2年次の夏休みに何らかのプログラムに参加をしようと考えていた現高校3年生にとっては、とりわけプログラム中止の影響があり、学校推薦型選抜や総合型選抜で大学進学を考えている生徒、進路指導部の先生方から、生徒自身が作成するポートフォリオに何も記述することがないという相談も受けました。 国際関係学への進学を真剣に考えている生徒の学びの機会の必要性からプログラムの企画・立案をお願いしました。
<内容>
Day1はカンボジア王国・フィリピン共和国それぞれの国についての基礎知識を学び、Day2・Day3はカンボジアで貧困層の女性たちに教育の機会の提供と、ものづくりのための技術支援を行っているNPO法人の日本人スタッフやインターンの大学生との交流、また現地の雑貨工房で働いている女性たちとの交流を行いました。
Day4・Day5は、フィリピンのセブ島で暮らしながら貧困問題に取り組んでいる日本人ボランティアの協力のもと、イナヤワンのダンプサイト(ゴミ山)で暮らしている家族、市街地にある墓地を住居として生活している大学生たちに直接質問をする時間を設けてもらいました。
研修の成果・生徒の感想
<成果>
「現実感」がオンラインの画面からどれだけ生徒たちに伝わるのかという一抹の危惧を抱いていましたが、ファシリテートしてくださる方が現地から中継しながら生徒たちに話しかけてくれるなど充分LIVE感もあり、興味深いプログラムでした。 また教員側が考える以上に生徒自身もそれぞれが思考し意見を述べており、頼もしさも感じました。
<生徒の感想>
●カンボジア、フィリピンの2カ国とzoomを繋いだだけでも1日の時間の過ごし方が大きく異なっていたので、国によって「普通」というものは、それぞれまったく異なるものであり、世界において一致することは一生ないものなのだろうなと思いました。 人間は皆1日に同じ時間が与えられているけれど、国・環境・文化が違うと、こんなにも時間の使い方が違うのだなと、オンタイムでズームを繋いだことによって、より体で感じることが出来ました。
また、現地で生活を営んでいる沙耶加さん、大坂さん(※現地コーディネーター)のように、日本からそこまで距離があるわけでもないアジア圏内にはこのような日本人の方々がさらに多数いるのだろうなと思いました。このような方々には、自国ではない国で生活をする「勇気」と、現地の人と積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲が兼ね備わっているのだと考えます。 何ごとにも勇気を持って失敗を恐れず、積極的に物事に取り組もうとする姿勢が大事だなと思ったし、それが周りの人に伝わるよう努力することも必要不可欠だなと思いました。
●日本ではあまり見ることのないゴミ山や、墓地に住んでいる人たちとの交流を通して、世界には自分の知らない問題がたくさんあることを改めて実感しました。ゴミ山をそのままにするのは地球の環境的に良くないことだし、フィリピンの政府が対処していないのにも多くの理由があると思うし、凄く難しい事だなと思いました。 ただゴミを処理するのは頑張ればできる事だと思うけれど、そこに住む人や、ゴミを集めて生活する人たちのことを考えるとただゴミ山を無くすだけではいけなくて、たくさんのことを考慮しなければいけないので、とても大変だと思いました。
●このプログラムを通して、カンボジアやフィリピンなどの発展途上国の実情を知ることができました。 今まで私は、カンボジアやフィリピンというと観光地やビーチなどと言った都市部の印象が強かったですが、それらの国の本当の今を知りました。それはカンボジアやフィリピンだけに共通することではないと思うので、発展国である日本などの国が積極的に支援していくべきだと感じました。 しかし、日本にはお金が沢山あるのが実情ですが、お金があるが故に足りていない知識があることを実感しました。
オンラインによるグローバル教育研修の意義
<意義>
今プログラムの実施前は、オンラインでの研修はあくまでも現地に行けないための代替案としてとらえていましたが、提出された感想に目を通すと想像以上に生徒たちには学びがあり、コロナ禍でなくともさまざまな国や地域についてリーズナブルで簡便に学ぶ機会提供の場として「国内でのオンラインプログラム」には可能性があるように感じました。
<留学ジャーナルを利用して>
本校は以前より、株式会社 留学ジャーナル法人部にお世話になっています。今回も学校側のわがままな要望に対してプログラム企画・立案の段階から一つ一つ真摯にご対応いただき大変感謝申し上げます。 従来行っていた学内で説明会を開くこともコロナ禍ではままならず、動画配信したいというリクエストにも快く応じていただきました。 互いに手探り状況の中、「生徒たちに良い機会を提供する」という共通の目的をもって一緒に考えてくださる、ビジネス・パートナー以上の頼もしい存在です。
今回のコラム担当
R.H.
【Profile】
毎年研修でご一緒させていただいている桜美林の皆様へ何かできないかと、有馬先生と一緒に考え、当企画の形となりました。 初めは海外研修の代案でしたが、実施してみると様々な学びのあるプログラムになりました。 参加後の感想も非常にしっかりとしていて、これをきっかけに社会問題に目を向け、将来に繋げてくれる生徒様が一人でも増えることを願うばかりです。 アフターコロナ時代が来ても、オンラインプログラムは使い方次第で有効な教育手段となり得ます。ぜひ国際教育を学校教育や進路指導へ繋げるお手伝いをさせていただければ幸いです。
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