企業も注目!タフな大学生を育てるアジアでの研修
これから発展が大きく見込まれているアセアン地域において、現地日本企業の頭を悩ませてきたのが「日本語ができる人材の確保」です。
これまでは多くの企業が日本から日本人を送りこみ、駐在させるという手段をとってきましたが、日本とは違う環境、文化の中で現地従業員をしっかりとマネジメントできる人材の確保や、そのコスト高が課題にありました。
しかし、最近は現地での日本語人材の給与が英語人材よりも3~4割高くなっていることもあり、日本語習得熱が非常に高く、優秀な日本語人材が増えています。
企業側も、日本語を使いこなし、現地の歴史、文化も理解している人材を現地で採用できれば、日本人を駐在させるよりコストも抑えられるため、現地採用のメリットを高く評価し、積極的な採用に動く傾向は自然の流れと言えるでしょう。
"日本企業=日本人が優位"というのは既に崩れ去っていて、グローバル化の流れがアセアン地域でも起きているのです。
これからは日本人も現地の日本語人材との競争が待っています。
グローバル人材になるために必要なスキルとは
「グローバル人材=英語ができる人材」と捉える人が多いのですが、それだけでは”語学屋”でしかありません。”語学+αのスキル”、これが非常に大切になってきます。
特にビジネスをするうえで大切な”コミュニケーション力”や”発信力”は、現地の人たちの嗜好や考え方などを理解することが大切で、こういったものはインターネットでどんなに情報を得られる時代になっても、現地で体験しないとわからないものです。
こうした経験を人材開発の一環として社員研修に採用する企業も増えていますが、学生のうちにこうした国を訪れてみると、現地の若者の貪欲なまでの向上心に驚かされるでしょう。その経験は、その後の学習や社会への関わり方にも大きな影響を与え、彼らのグローバル人材への第一歩になっていきます。
”市場価値の高い人材”を目指し、アジアで奮闘する和僑たち
今、日本の若者が単身アジアへ渡り奮闘している話をよく聞きます。
現地採用で企業に勤める者、自分で飲食店を経営する者、起業し社長になる者、経緯は様々ですが、日本を飛び出し、それこそ生きるために休みもなく、必死に自分の居場所を確保するために頑張っています。
仕事で海外に住むというと、駐在のイメージが強いですが、昨今の企業の経費削減や優秀な現地人材の増加、また日本人の現地採用への応募者増もあり、駐在の割合は減少しています。
昨年6月にカンボジアの首都プノンペンにオープンした大型ショッピングセンターのイオンモールにも400名ほどの従業員がいる中、日本からの駐在社員はわずか3名だといいます。
日本に住んでいるとグローバル化やグローバル人材という言葉を聞いても、どこか隣の家の事のように感じてしまいますが、一歩日本を出ると、もう待ったなしのグローバル化が進んでいるのです。
私が出会った和僑たちは若者ばかりです。
一部上場企業を数年勤めた後、現地にある日系企業に転職。
まわりの人たちは「もったいない」「なんで?」と言ったそうですが、本人はいたって冷静にこう答えてくれました。
『僕はすごい保守的なんです。』
『自分のこれからのキャリア経験を考えた時、日本の大企業で経験を積むより、
小さな会社だけど担当部門については自分が経営判断をするという経験がここにはある。』
今、この経験をしておかないとグローバル化のスピードの中に自分は埋もれてしまう。
市場価値の低い、もっと言ってしまうと企業から必要とされない人材になってしまうと考えているようでした。
今でこそ、彼は会社のNO2の存在で、現地の若者を雇用し、グローバル企業の第一線で活躍していますが、日本を出た時の英語力は日常会話もままならないほどだったそうです。
語学力は大事です。特にアジア人の共通言語である英語は必須です。
でも日本人が世界で戦う武器は実は他にもあると考えます。
”日本クオリティ”です。世界から見ると日本は驚きの国だと言います。
電車のダイヤの正確性、新商品の開発サイクルの早さ、接客レベルの高さなど、日本では当たり前の事でも海外では驚かれることがたくさんあります。これは日本人が元来もっているものも大きく影響しているのかと思いますが、実はこれが海外では大きな武器になるのです。
アジアで奮闘する和僑たちは”日本クオリティ”という武器と自身の行動力、発信力をフル稼働させて戦っています。特にこの若い和僑たちに共通しているのは行動力です。最初は語学力もビジネススキルも自信があるとは言えなかったかもしれません。
でも自分で「ダメだ」「苦手だ」と言って、出来ない理由を考えるより、できると信じてチャレンジする。
この行動力がベースにあります。誰にでもチャンスは無限に広がっています。あとはやるか、やらないか。
「最近の大学生は内向きだ」というニュースもありました。でも私はそうは思いません。
学生のうちから様々なことに目を向け、取り組んでいる学生をたくさん知っています。
でも、その学生たちも決して特別なわけではなく、ただその最初の一歩を踏み出す積極性があっただけ。
もっと言えば、その一歩を踏み出す”きっかけ”に出会えただけの違いなんだと思います。
今回のコラム担当
法人部 F
【Profile】
アセアン地域での半年間の個人旅行を機に、帰国後、大手旅行会社勤務を経て(株)留学ジャーナルで渡航手配担当の職につく。その後、2009年よりアジア方面での研修/ボランティアプログラム開発担当として従事している。
「グローバル人材に必要なスキルとは何か?」まずは体験して知ることから始まるという考えのもと、大学生、社会人の体験型の研修ツアー開発、販売促進に努めている。
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