助成金を活用したグローバル人材育成~前編
今やグローバル人材の確保・育成は、海外展開を志向する企業に限らずすべての企業に求められた課題になりつつあります。
中小企業白書2014(中小企業庁発表)によると、2010年から2018年にかけての我が国の実質GDP成長率は平均で1.0%と、成長率はさらに低くなることが予測されています。一方で、アジア各国の実質GDP成長率は著しく伸びているといえます。つまり、国内の企業も成長著しいアジア圏への進出を志向しているのは周知の事実ではないでしょうか。
海外進出と一言で言えば簡単ですが、進出するためには①現地スタッフの採用、②グローバル人材を育成し派遣する、という二つの方法があります。前者は、現地事情に精通していなければなかなか難しい状況です。一方で後者は、育成に時間と費用が大きな負担となります。時間的負担は企業努力にて対応するしか手がありません。しかし、費用面については条件が整えば助成金を活用するという手段も存在します。
そこで今回は、厚生労働省所管の「キャリア形成助成金」(以下、助成金)を活用し、費用面の負担を軽減しながらグローバル人材育成を行う点について取り上げたいと思います。
厚生労働省所管のキャリア形成助成金を活用
この助成金は、企業規模の大小を問わず申請することが可能です。但し、大規模企業より中小企業の方がより高い助成を受けることが可能になります。中小企業の範囲は、資本金基準と従業員基準の2つがあります。自社が中小企業かどうかは、それぞれご確認ください。ここでは、中小企業という前提で話を進めます。
キャリア形成助成金には、いくつかのコースがあります。今回取り上げるのは、『政策課題対応型訓練』の中の『グローバル人材育成コース』になります。このコースの訓練内容は、『海外関連業務に従事する人材育成のための訓練』となっています。具体的に申し上げると、海外の大学院、大学、教育訓練施設で高等教育を受けるまたは語学研修を受けるというものです。いわゆる、MBA企業派遣や海外語学研修(ビジネス英語に限る)がそれにあたります。
旅行会社や研修会社をはじめ多くの関係企業が手配を行っています。当社、留学ジャーナルもその一つです!
その費用をこの助成金を活用することで、企業負担を軽減することが可能となるわけです。

今回のコラム担当
人事総務部 池田雄一郎
【Profile】
管理系業務全般・プロセス改善(生産統制)にも精通。在職中に診断士国家資格を取得し、経営視点での組織開発および人事戦略立案について、経営陣のサポートを行う。「個の成長が組織と企業の成長につながる」の信念のもと、革新的組織開発と企業戦略を研究している。また診断士として、企業向け助成金や補助金(経営革新計画策定やサービス・ものづくり高度生産性向上支援など)申請支援および中期経営計画策定支援も行う。
経済産業大臣登録 中小企業診断士
マネジメントコンサルタント (東京都中小企業診断士協会所属)
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