PBLの2つの違いは? 「ねらい」が重要。正解のない答えを導くチカラ

PBLというと、「知っている」と思われるかもしれません。PBLは主に2種類あり、最終的な目標は同じでも、手順と方法が異なります。

中学・高校での授業、大学での講義、社会人の研修のどれにおいてもカリキュラムにおいて「ねらい」が重要であり、それがぶれると効果が薄くなりかねません。

CONTENTS
●そもそもPBLとは何なのか。「P」は「Project」?それとも「Problem」?
●「Project Based Learning」か、「Problem Based Learning」か。
●2つのPBLに共通すること、それは「ねらい」の設定

そもそもPBLとは何なのか。「P」は「Project」?それとも「Problem」?

PBLといえば、よく耳にするのは、「PBLプログラム」とか「学びにPBLを…」のような表現です。そもそもPBLとは何でしょうか。我々は仕事柄、高校生のPBLプログラムや新卒社会人向けPBLプログラムに多く接しています。当社が考えるPBLは、大きく分けて2つの意味を持ちます。

1つは「Project Based Learning」。もう1つは、「Problem Based Learning」です。この2つは似ているようで全く異なります。前者は目的・目標があり、それを解決するための手法。後者はあらかじめ問題が把握されており、それを解決するための手法。つまりテーマだけの設定をするのか、あらかじめ問題が提示されているのかという違いがあり、どちらも問題を自ら設定(または把握)して解決に導くということです。具体例で見ていきましょう。

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「Project Based Learning」か、「Problem Based Learning」か。

中高校生などのキャリア教育分野において行われるのは前者であり、例えば「身近な困りごとを、世界という視点で解決策を提案せよ」というものです。この場合、提示されたことは身近な困りごとであり、何が問題なのか、それはどうやったら解決できるのかというもので、いわば正解のない問題にチャレンジすることです。

当然生徒には主体性の向上や常識にとらわれない解決方法が期待されています。先日実施した時に出た驚くべき提案は、プリントされた写真への付加価値として、触って実感でき、においが漂い、なめると味がする写真を作るというものでした。これは海外における視覚障害の方に日本食を伝えるために写真だけでは伝わらないという困りごとから考え出されたものです。実現可能性を無視した、斬新な提案でした。

一方、新社会人の研修においては、自社の商品が高齢者向けであるため、市場を拡大するために20代の消費者に売れる提案をするというものでした。こちらの研修はある程度既定路線が用意されており、その解決方法を多方面から検証するためにプログラム化されたものです。加えて、新卒社員のチームワークを上げるために、チームビルディングなども交えて実施されました。

2つのPBLに共通すること、それは「ねらい」の設定

2つはどちらもPBLプログラムとして実施されたものですが、その過程も内容も異なりました。当然、自由度の高いのは前者の「Project Based Learning」ですが、講師側としてはコントロールすることが難しく、難易度も上がります。どちらのプログラムも何を目的に授業を行うかという落としどころ、いわゆる「ねらい」が必要です。

高校生や現在の新卒社会人は、2050年頃の日本においては現役のビジネスパーソンであり、社会を動かす原動力になる方々です。そういった方々向けの授業や研修をするときには、必ず「日本人としての考え方を大切にしつつ、地球をフィールドに活躍できる人材になる必要がありませんか?」とを伝えています。

前述したどちらのPBLにしろ、制約条件の中で正解のない問題に解答することが必須です。対象とするものによっては地球そのものを行動範囲にして活動することが必要となります。日本語だけではコミュニケーションが取れない可能性や、企業の採用活動において集団面接で自分の隣にいる人が日本人でない、場合によっては日本人は自分だけ、ということもあり得ます。

PBLという研修は、1つの手法でしかありません。どちらのPBLもその手順とやり方が違うだけで、問題の解決に向かう点では同じです。よって多くの方がPBLという時には、ProjectかProblemなのかを、意識しないことも多いようです。

当社が研修するときには、そのPBLで何をしたいのか、どんな目標があるのかを把握し、その学校や企業のねらいを十分打ち合わせて合意がとれたうえでのカリキュラム設計をするように心がけます。「ねらい」のない研修は、効果が薄くなりがちです。常に研修の意義を考えて行動することが、研修側にも求められています。

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今回のコラム担当

法人部 Y.B.

【Profile】

キャリアを含めた広い目で、学校、企業に向けた研修やプログラム提案を心がけている。

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