社会で求められる素養とは? -高校・大学・企業で取り組むべき課題-
今の社会で求められる素養について議論をすれば、いろいろな意見があると思います。では地球をフィールドに活躍できる人には、どのような素養が必要でしょうか。本質的な部分に立ち戻り、考察してみます。
社会で活躍していくために必要な素養とは
現在、そして未来の社会で活躍していくために必要な素養はどのようなものか、考えてみました。
皆さんの中には、「コンピテンシー」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。このコンピテンシーとは、教育現場においては非認知能力ともいわれ、学力やテスト結果では測れない、「その人が持つ個人特性」と考えられています。1990年代のアメリカにおいて人材活用の場で取り入れられ、その後日本でも注目されてきました。このコンピテンシーこそ、これからの社会で活躍していくために必要な要素のひとつです。
スピード感のある行動力と、素直に吸収することが重要
社会で活躍している人を見ると、このコンピテンシーもそうですが、「行動する志向」と「素直な気持ち」がカギになると感じます。
すぐに取り組んでみるという気持ちは行動につながります。あれこれ考え続け、最初の1歩を踏み出せない方が多いと思いますが、今も未来も、スピードが求められてくることでしょう。
ひと昔前は、ソフトウェア開発の分野などにおいてウォーター・フォールモデルというメソッドが主流でした。これは水が下に落ちていくように、順番に完成までシステム開発を進めていく手法です。しかし現在は「アジャイル開発」というスタイルがメジャーです。アジャイル(agile)は英語で機敏な、という意味。こちらはプロトタイプを作りながらソフトウェアをブラッシュアップしていく方法です。
無計画に何も考えず行動することが良いというわけではありません。しかし、現代のように変化の早い社会では、じっくり考えているうちに出遅れてしまう可能性もあります。それでは元も子もありません。
ただし、「アジャイル開発」のように行動しながら変化させていくためには、成功も失敗も併せ現状から学んでいくことが必要になります。学ぶためには「素直に謙虚に吸収する」ことが重要です。変化の激しい社会において、過去や初期の考えに固執していると、成功は難しいと思います。
かのダーウィンも「強いものが生き残るのではなく、環境に合わせて変化したものが生き残る」と提唱しました。その通り、変化できなければ絶滅してしまいます。素直に学ぶことは、その変化を柔軟に取り込む最適な方法だと考えています。
つまり意識と志は高く保ち、腰を低くして吸収するということです。今も未来も、社会で活躍するためには行動する、つまり「能動的に動く」ということと、「素直に学ぶ」の2つの素養が求められているのだと思います。

未来を見据えて、自分のコンピテンシーを把握する
コンピテンシーや2つの素養は学びようがないのではという意見も聞かれます。確かに本を読んで覚えれば良いというものではありません。しかし、コンピテンシーを伸ばす方法はあります。まずは現状において自分の行動特性がどのようなものであるかを把握しましょう。
特に高校生、大学生などは、学生のうちに自分のコンピテンシーがどういった状況なのかを数値的に把握し、意識的に伸ばしたい部分に取り組むと良いでしょう。コンピテンシーを測ることができるツールもすでに開発されています。10年後、20年後の未来で活躍するためには、そのように具体的かつ明確に成長していくことが大切です。
高校・大学において、また企業においても、社会で生きていく根底の力を養うためには、コンピテンシーをしっかりと把握し、行動力と素直さの2つを獲得する必要があると思います。
留学ジャーナルでは「みらい人財をデザインする」をコンセプトに、海外研修やグローバル人材の育成に取り組んでいます。お気軽にお問い合わせください。

今回のコラム担当
法人部 事業戦略担当 Y.I.
【Profile】
経済産業大臣登録 中小企業診断士 /協議会認定 キャリア教育コーディネーター/ 人材育成コンサルティングを中心に地域の企業と学校・大学、さらには世界とつなぐ教育事業の模索を続ける。みらい社会で活躍する人への貢献のために奔走。高校での出張授業や、小学校のキャリア教育支援、並びに企業の人材育成研修の講師も務める。
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