UNHCR国連難民高等弁務官事務所 モーリタニア事務所 勤務 小島海さん

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世界のために、できること 国際機関で働こう!

グローバルに社会貢献ができる国際機関で働くには、どのようなステップが必要なのだろう。
いま活躍する日本人職員に、その道のりを聞いた

Vol.21 難民一人ひとりの人生が少しでもよくなるように貢献したい

UNHCR国連難民高等弁務官事務所 モーリタニア事務所 勤務 小島海さん

世界では7000万人以上の難民が困難な生活をしている

小島さんの1日
4:00起床、1日の準備、メールチェック、朝食
7:30子どもを保育園に送り、出勤、メールチェック、報告書作成など
10:00チーム会議、ドナーの動向調査
11:30オフィスでお弁当のランチ
12:30ドナーとの打ち合わせ資料作成
14:00ドナーとの打ち合わせ、議事録作成、チーム内情報共有
18:00保育園に迎え、帰宅し夕食、子どもとお風呂
20:00子どもを寝かしつけ、就寝

 現在、世界には7000万人以上の人々が、紛争や暴力などによって帰る場所を奪われ、困難な生活を余儀なくされている。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に勤務する小島海さんは、日本から遠く離れたイランで、難民支援の仕事に従事してきた。

「JPO派遣制度を利用して、2年間、UNHCRのイラン事務所で難民支援に従事してきました。私の主な仕事は、世界中のドナー(支援者)から支援金を集めるファンドレイジング。戦略作り、政府・団体・企業・個人との交渉、現地視察、情報発信などを行います。学校に行けない、病気になっても医療制度がない、明日どこかに行こうと思っても自由に移動できない、仕事を探そうとしても働けない…など、難民の方々が直面している状況は、日本で生まれ育った私には想像できないほど厳しいものです。そんななかで、世界の人たちに難民や難民を受け入れるホスト国のことを正しく伝え、支援を取り付けていくことを使命とし、難民一人ひとりの少しでもよい人生に貢献していきたいと考えながら仕事を続けています」

 小島さんの活動拠点だったイランは、アフガニスタンやイラクからの難民約100万人を受け入れている。イラン政府の受け入れ政策は、世界的に見ても先進的なもので、難民をキャンプなどに集めて隔離せず、イラン社会の枠組みに組み込みながら支援する方法をとっている。ニュースで語られるイランとは違った一面を小島さんは現地で見てきた。

「UNHCRイラン事務所では、約120名の職員が働いていて、そのうち15名程度が私のような外国籍のスタッフでした。メンバーは、地元のイラン人をメインに、フランス人、オランダ人、ウクライナ人など、国籍も性別もキャリアステージもさまざま。文化や価値観、モチベーションの違いを乗り越えて、意見をまとめながら、難民の人々を保護する、という共通の目的に向かって支援を形づくるところに、仕事の面白さを感じています」

小島さんの着任までのStep

2000年8月(大学1年)津田塾大学学芸学部国際関係学科に入学。夏休みにフィンランドで環境保護国際ワークキャンプに参加。

2001年3月(大学2年)イギリス・オックスフォードに1ヵ月の語学留学、夏休みにギリシャで環境保護国際ワークキャンプに参加。

2002年8月(大学3年)イギリス・ヨーク大学環境・経済・生態学部に1年間派遣留学。

2005年4月(大学院修士1年)国際協力の学びを深めるため、東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻に入学。

2005年7月10月(大学院修士1年)JICA(国際協力機構)のインターン生として、ブータンの地方分権化プロジェクトに参加。

2007年4月JICAに職員として、インド事務所、札幌国際センター、東京本部、コートジボワール事務所に計8年間勤務。

2013年6月大船渡市復興支援員(所属:一般社団法人RCF)として、1年半、東日本大震災後の復興支援に従事。

2017年10月JPO派遣制度を利用して、UNHCRイラン事務所に勤務。

2019年10月正規職員としてUNHCRモーリタニア事務所に勤務。

さまざまな経験を積み重ねて
自然と今の場所にやってきた

 高校時代から英語や世界史が好きだった。当時、国連難民高等弁務官として緒方貞子さんが活躍しているのをメディアなどで知り、漠然と国際協力の仕事に関心を持っていた。

 高校卒業後、進学した津田塾大学では国際関係学を専攻。在学中には、フィンランドやギリシャでの国際ワークキャンプ、イギリス・ヨーク大学での1年間の派遣留学、日本のNGOでのボランティアなどさまざまな立場から国際協力について触れた。卒業後は、尊敬する先生のもとで国際協力への学びをさらに深めたいと東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻へ進学した。

「大学院時代は、JICA(国際協力機構)のインターンシップで、2ヵ月半ほどブータンに滞在しました。当時、日本は、ブータン政府が進めている地方分権化、つまり地域の人々が予算と権限を持ち、自治を行っていく仕組みづくりを支援していました。国際協力にはさまざまな人が関わりますが、このときに、ブータン人を理解し、理解されながら社会に変化を起こしていた日本人専門家のもとで、『すべては現場のために存在する』という一番シンプルで大事なことを学びました」

 国際協力への漠然とした興味を確固たる意志に変えていった小島さんは、大学院修了後、国際協力機構(JICA)の正規職員として働く道を選んだ。JICAでは、インド事務所、札幌国際センター、東京本部、コートジボワール事務所などで、人材育成、海外のインフラ整備や紛争後の復興支援といったさまざまな業務に計8年間従事した。

 国際協力に携わるという夢を叶え、充実した日々を送っていた小島さんは、2013年に転職を決意する。新たな活動の舞台として選んだのは、2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県大船渡市だった。

苦しい現場で納得した
「自分の天職は国際協力」

 転職のきっかけは、高校卒業後ずっと海外を見てくるなかで、日本についてしっかりと学びたいと思ったから。国際協力の現場で変化を起こす人は、必ずその現場に深く根を張っている人たちだった。そんな人たちに海外で出会い憧れるなかで、自分も現場に根を張ってとことん地域に関わるということに挑戦したいと思った。大船渡市では、地域の資源である椿を使った地域振興に関わった。かけがえのない出会いに恵まれた期間だったが、小島さんはここで改めて、自分の天職は国際協力の現場を支える仕事だと納得できた。そこで、33歳のときにJPO試験を受け、UNHCRの職員に応募した。

「イランでの2年間の勤務を終え、2019年の冬からは、正規職員としてUNHCRモーリタニア事務所に勤務しています。業務はイラン時代に培った経験を活かした渉外担当です。これまでの経験をすべて活かして、難民一人ひとりのために目の前の仕事を精一杯やることが私の使命だと思っています」

国際機関で働くまでの道のり

学生時代にイギリス留学や
国際協力活動を経験

大学1年次の夏休みを利用してフィンランドで、2年次にはギリシャで環境保護国際ワークキャンプに参加。さらに、大学3年次には、イギリスのヨーク大学への派遣留学を経験。大学院進学後もJICAのインターン生として、ブータンの地方分権化プロジェクトに参加するなど、世界を舞台にさまざまな経験を積む。

JICA正規職員として
紛争後の復興支援に従事

大学院修了後、JICA(国際協力機構)の職員として、インド事務所、札幌国際センター、東京本部、コートジボワール事務所などに8年間勤務。紛争後の復興支援などの業務を担当する。その後、2013年に転職し、東日本大震災後の復興支援に従事。岩手県大船渡市で、椿を使った地域振興に関わった。

JPO派遣制度を利用して
UNHCR職員に応募

33歳のときにJPO試験を受け、UNHCRイラン事務所の職員に応募。みごと試験に合格し、2年間の勤務期間にファンドレイジングなどの業務を担当する。その仕事ぶりが現場で評価され、2019年冬から、正規職員としてUNHCRモーリタニア事務所に勤務している。

UNHCRって?

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の活動

UNHCRは、The Office of the United Nations High Commissioner for Refugeesの略。和訳すると国連難民高等弁務官事務所。第二次世界大戦後の1950年、帰る場所を失った何百万人ものヨーロッパ人を救うために設立。1960年代には、アフリカ、アジア、南米などで難民支援に尽力。21世紀になってからも、アフリカ、中東、アジアで発生した難民危機への対応を続けている。現在、UNHCRは世界約135ヵ国で活動し、約12,000人の職員が働いている。


テヘランにて、
民間セクターからの
支援拡大を目的とした
ワークショップ
©UNHCR
エスファハンのUNHCRオフィスにて、フィールドスタッフ、
ドナーと ©UNHCR
エスファハン州政府にて、EUドナーによるモニタリング活動の様子 ©UNHCR

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人道支援分野で働く

近年、貧困、気候変動、テロ、大量破壊兵器の拡散、平和構築、感染症、食料安全保障等、一国のみで解決することが困難な、国境を越える地球規模の諸課題が、外交における主要課題として顕在化しており、国際社会がこうした課題に対して一致して取り組む必要性が強調されている。特に、難民・避難民等の人数は増加し続けており、難民問題は長期化及び複雑化している。国連では、人道危機に対応するために、人道支援活動の体制作りに取り組んできており、ICRC(赤十字国際委員会)、IOM(国際移住機関)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、UNMAS(国連地雷対策サービス部)、OCHA(国連人道問題調整事務所)、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)などの機関が連携して、難民支援や、地域の状況に合わせた支援を行っている。

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