
2025年12月、武蔵大学はロンドン大学と連携して行っているパラレル・ディグリー・プログラム(PDP)の10周年記念シンポジウムを開催しました。会場では、ロンドン大学など関係者からの挨拶、LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)のジェームス・アブディ博士による講演に続き、PDPの責任者である国際教養学部の東郷賢学部長による成果報告も行われました。そこで語られた「PDPの10年間の歩み」を紹介します。
日本国内でロンドン大学のプログラムを提供できる教育機関は武蔵大学のみ
2015年「パラレル・ ディグリー・プログラム(PDP)」スタート
「ゼミの武蔵」で知られる武蔵大学が、ロンドン大学と連携して行う「パラレル・ディグリー・プログラム(PDP)」をスタートしたのは、2015年のこと。もともと経済学部のプログラムとしてスタートし、2022年から国際教養学部に引き継がれたこのプログラムは、2025年で10周年を迎えました。

武蔵大学に通いながらロンドン大学の学位取得を目指す
PDPは、武蔵大学に通いながらロンドン大学の学位取得を目指すことができる国際プログラム。PDPの授業は、ロンドン大学とロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の策定したカリキュラムに沿って、武蔵大学の教員が学内で実施しています。現在、日本国内でロンドン大学のプログラムを提供する教育機関として公認されているのは、武蔵大学のみとなります。

ロンドン大学は、18のカレッジと9つの研究機関で構成される総合大学で、なかでもLSEは、経済学系の大学としては世界トップクラスの名門校として知られています。それだけに、武蔵大学とロンドン大学、2つの学士号取得を目指すことができるPDPの価値は大きく、当然ながら、PDPの卒業生に外資を含む大手企業も注目しています。

2025年12月18日(木)に行われた「PDP 10周年記念シンポジウム」では、LSE准教授のジェームス・アブディー博士が登壇し、「AIと高等教育の未来:教育法、実践、そして可能性」というテーマで講演を行ました。その後、ロンドン大学関係者などからのビデオメッセージに続き、立ち上げからPDPに携わってきた国際教養学部長の東郷賢教授による「武蔵大学PDPの10年間の成果報告」が行われました。ここでは英語で行われた講演内容を日本語でお届けします。
PDP‘s 10 years journey 武蔵大学PDPの10年間の成果報告 国際教養学部長 東郷賢教授 「勉強しない」「英語が苦手」という 日本の大学生の2大問題を解決する!

PDPで取得可能な学士号
PDPは、Parallel Degree Programmeの略称で、武蔵大学の学生がロンドン大学の学士号を取得できるプログラムです。現在は、ロンドン大学から経済経営学士号(BSc Economics and Management)、経済学士号(BSc Economics)、データサイエンス&ビジネスアナリティクス学士号(BSc Data Science and Business Analytics)の3つのうちいずれかの学士号を取得することが可能です。ロンドン大学は、英国でも最大規模かつ多様性に富んだ大学の一つで、ロンドンに約21万人の学生が在籍しているほか、世界190か国で約4万人の学生がコースを履修しています。
PDP学位習得までの流れ
PDPを受講する学生は4月に入学し、9月からロンドン大学の授業を英語で学びます。4月から5月にかけては、9月からの授業の重要ポイントを日本語で学び、6月から7月には集中英語トレーニングプログラムを履修します。ロンドン大学の基礎教育プログラムにあたるIFP(International Foundation Programme)を受講するには、IELTSの全体スコア5.5以上(各セクション5.0以上)が必要です。その後、3年間の専門教育プログラムであるBSc(Bachelor of Science)に移行します。ロンドン大学の卒業試験は5月に行われるため、PDPの学生は通常の日本の大学生より卒業が半年または1年延びることになります。

PISA(OECD生徒の学習到達度調査)の平均スコア
私は、日本の大学を卒業後、イエール大学の大学院で経済学を学んだ経験があります。その背景もあり、日本の高校生が国際基準では優秀であるにもかかわらず、大学入学後に勉強をあまりしなくなる傾向をずっと問題視してきました。2022年のPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の平均スコアにおいて、日本はシンガポールに次いで世界第2位となっています。

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大学での授業外学習時間
しかし、大学での授業外学習時間を見ると、アメリカの学生の約60%が週11時間以上勉強するのに対し、日本では多くの学生が0時間、約60%が1〜5時間しか勉強していません。これが日本の長期的な経済停滞の一因でさえあると私は考えています。

東アジア・東南アジアにおけるTOEFL iBTの平均スコア
また、東アジア・東南アジアにおける2023年TOEFL iBTの平均スコアで、日本は73点と低い水準で、シンガポール(98点)、韓国・台湾(86点)、さらにはインドネシア・タイよりも劣っています。PDPは、「学習不足」と「英語力の低さ」という日本の大学生の2大課題を同時に解決する優れたカリキュラムだといえます。

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ロンドン大学学位取得者実績
PDPは2015年から経済学部でスタートし、2022年に国際教養学部に移行しました。経済学部時代は約20名の応募者から選抜していましたが、国際教養学部移行後は55名の学生全員がPDPを受講できるようになり、参加者は倍増しました。これまでに60名の学生がロンドン大学の学位を取得しており、2026年度は約25名が学位を取得する見込みで、2年以内に100名を超えるロンドン大学学位取得者を輩出する計画です。

外資系を中心とする一流企業が注目するPDPの卒業生たち
PDPの卒業生は外資系を中心とする一流企業からも注目
PDPの卒業生は外資系を中心とする一流企業から注目を集めています。アクセンチュア、インフォシス、トレンドマイクロ、DXCテクノロジージャパン、KPMGコンサルティングなどへの就職実績からもよくわかるでしょう。また、東京大学公共政策大学院、名古屋大学大学院、サウサンプトン大学院、コンスタンツ大学院、エディンバラ大学院、LSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)の大学院に進学した学生もいます。

PDPに入学する学生の大半は、中堅の公立高校出身者
PDPに入学する学生は、決して高い偏差値帯の高校出身者ばかりではありません。むしろ、中堅の公立高校出身者が大半です。コツコツと真面目に課題に取り組み、日々の努力を積み上げるタイプの学生が、最終的にロンドン大学の学士号を手に、大きな舞台に羽ばたいて行く傾向が強いと現場で感じています。

質の高い教員陣
PDPがこうした成果を挙げられた理由のひとつは、海外大学の博士号(Ph.D.)取得者を中心とする世界中から集められた教員陣にあります。教員の多くは海外で育ち、「大学生は勉強しない」という日本の一般的な認識を知らないため、学生に多くの宿題を課し、アメリカの大学生と同様の学習量を要求しています。学生たちもそれに必死に対応することで、ロンドン大学の卒業生と同等の学力を身につけることができます。
今後の展開
一方で、課題もあります。それは、PDPの知名度が日本の企業に浸透していないことです。外資系企業からの高い評価が、日本企業にも波及していくことを期待しています。

今後の展開として、これまでPDP履修生が所属していた経済経営学専攻(EM専攻)を2027年までに2つの専攻に拡大する予定です。現在のEM専攻は、「経済・経営・国際関係(EMIR)専攻」となり、新たに「ビジネスデータサイエンス(BDS)専攻」が設置されます。また、9月入学も導入予定で、日本で育った生徒だけでなく、帰国生徒や留学生、日本のインターナショナルスクール卒業生も受け入れ、より国際的な環境を提供する計画です。
私たちは、日本の大学の最前線に立つ存在であり続けることを目指しています。武蔵大学PDPの次の10年に、ご期待ください。
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