グローバル化が身近となっている近年、日本を飛び出し、海外大学に進学するという進路を思い描きつつも、成績や英語力、費用などをネックに感じ手が届かない…、どうしたら良いかわからない…と迷っている方も多いのではないでしょうか。
海外の大学は専攻が多彩のうえ、世界各国からの留学生と共に学ぶことで英語力はもちろん、コミュニケーション能力や自主性、グローバルな視野を身につけられるなど、さまざまなメリットがあります。
留学する国によって入学時期や教育システム、費用などが大きく異なりますので、ここでは、大学留学を考え始めたばかりの方にもおすすめな国の他、国別の入学制度、授業料、スケジュールの立て方、奨学金などについて詳しくご紹介します。
大学留学におすすめな国TOP5
おすすめな国1:アメリカ
約3,000校の4年制大学と約1,600校の2年制大学を擁するアメリカ。教育・研究する学問領域が単一の単科大学から、広範囲にわたる総合大学まで、実にさまざまな学びの場があります。フレキシブルな教育制度も特徴で、同時に二つの分野を専攻できるダブル・メジャー制度があったり、在学中の専攻変更が可能だったりするのが特徴。
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おすすめな国2:カナダ
約100校の4年制大学と約170校のカレッジがあり、そのほとんどが公立。カレッジと4年制大学の両方の機能を兼ね備えたユニバーシティカレッジという教育機関も存在します。専攻によっては高校で特定の科目を履修していることが出願条件となるので、直接大学に入学するルートよりカレッジから編入する方法が留学生には一般的です。
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おすすめな国3:イギリス
約160校の大学のほとんどは国公立で、その中にはオックスフォード大学やケンブリッジ大学といった古い歴史と伝統を誇る大学もあります。大学は専門分野を深く学ぶための高度な教育機関として位置付けられ、一般教養課程はなく1年次から少人数制による専門性の高い授業が始まり、多くの学部は3年間で学位を取得します。
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おすすめな国4:オーストラリア
37校の国公立大学、4校の私立大学、2校の海外大学の分校のほか、TAFEという高等教育機関があるのが特徴。政府は留学生へ質の高い教育と安全で快適に学ぶ機会を提供するため、ESOSという教育サービス法を定めています。大学の教育システムは、イギリスとニュージーランド同様に一般教養課程のない3年制を基本としています。
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おすすめな国5:ニュージーランド
国立総合大学が8校、また職業訓練と専門教育を併せた国立工科大学があります。政府は教育の質を保つためこれ以上大学数を増やさない方針を掲げており、高い水準を維持するためさまざまな監査・管理を行っています。大学の教育システムは、イギリスとオーストラリア同様に一般教養課程のない3年制を基本とします。
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大学留学の進学ルート
アメリカ・カナダ大学への進学ルート
教育システムの大枠が日本と似ているので、英語力などの条件さえクリアすれば高校卒業後に大学に直接入学できる他、2年制大学(またはカレッジ)から4年制大学に編入学するルートも定着しています。
専門課程がスタートするのは3年次から。入学時に専攻を決める必要がない大学がほとんどなので、一般教養課程時に究めたい学問を見極められます。
イギリス・オーストラリア・ニュージーランド大学への進学ルート
学士課程は基本的に3年間で一般教養課程はなく、すぐに専門課程が始まります。
そのため日本の高校卒業後にこれらの国に進学する場合、ファウンデーションコースと呼ばれる約1年間の大学進学準備コースか、カレッジ(またはそれに準じる教育機関)のディプロマコースを経るのが一般的。同コースでは一般教養や希望専攻の基礎知識、アカデミックスキルなどを学べます。
海外大学への入学制度を知ろう
入学試験ではなく、書類審査で選考される
一発勝負の学力試験が主流の日本と大きく異なり、英語圏の大学の入学制度は出願時に願書と共に提出する書類の審査によって入学者を選抜しています。必要書類は大学により異なり、高校の成績表や英語力試験のスコアの他、エッセーや推薦状、学力試験のスコアなどの提出を必須とする大学もあります。
審査を行っているのはアドミッションズオフィス(Admissions Office)と呼ばれる入学審査に特化した事務局で、合否判定において重視される要素は大学ごとに異なります。
アメリカは課外活動の実績も重視
特に総合人物評価を採るアメリカには、学業成績や英語力など数値で測れる能力だけでなく、スポーツやボランティアなどの課外活動の実績やエッセーの内容なども重視する4年制大学もあります。一人の出願者をさまざまな観点から評価し合否を判断するので、例えば英語力が多少低くても、その他の要素で光るものがあれば合格する可能性もあります。
アメリカの2年制大学やカナダのカレッジ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドのファウンデーションコースの入学審査では、基本的に高校の成績と英語力試験のスコアで合否判定されます。
名門大学を狙うなら高校入学時から準備を
大学ランキング上位に名を連ねるトップレベルの大学に入学するには、優秀な成績と英語力はもちろんのこと、エッセーや課外活動実績など全ての要素にわたり高い水準を求められます。
これらは一朝一夕で成せるものではないので、高校卒業後すぐの進学を目指すのであれば、高校入学時から出願に向けて準備するのがいいでしょう。また、教員からの推薦状も2通ほど必要となるケースがあるため、日頃から積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておきましょう。
出願に必要な条件と主な書類をチェック
学業成績
出願時には高校の成績表を提出する必要があります。難関大学になればなるほど良い成績が求められるので、積極的に授業に参加して、好成績をキープしておきましょう。アメリカはGPAという評価値に変換したスコアで、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドは日本の5段階評価の成績の平均値で審査されます。
GPA・成績の目安 | |
アメリカ | 2年制大学:GPA2.0以上 4年制大学:GPA2.5以上 |
カナダ | カレッジ:平均3.0以上 4年制大学:平均4.0以上 |
イギリス オーストラリア ニュージーランド | ファウンデーションコース:平均3.0以上 大学:平均4.0以上 |
英語力
講義は英語で行われるので、英語を母国語としない学生は英語力を証明する試験のスコア提出が求められます。代表的なものはTOEFLとIELTSですが、最近は英検やDuolingo English Testの級数やスコアを英語力証明として認める大学もあるので、希望する大学が採用する試験を確認しておきましょう。
大学が複数の試験を認めているのであれば、試験形式や出題傾向などを把握した上で、自分と相性の良い試験を選ぶのがおすすめ。
出願する大学によって必要となるもの
エッセー
志望大学への熱意に加えて、自身の人柄や価値観、将来実現させたいこと、大学が自分を受け入れるメリットなどを英文でまとめます。大学が独自にユニークなエッセーテーマを設定しているケースもあります。
推薦状
出願者の能力や人柄について客観的に伝えるもので、主にアメリカやイギリスの4年制大学に出願する際に提出が求められます。高校の担任や英語科教員、進路指導員などに依頼し、英文で作成してもらうのが一般的です。
課外活動歴
成績表の数値だけでは測れない志願者の学習意欲、将来性を示すものとして、名門大学では特に重視されます。教室外の活動にどんな意図を持って取り組んだのか、またその活動成果についてまとめておきましょう。
SAT・ACTスコア
アメリカの一部の4年制大学で、出願時に求められる統一学力試験のスコア。特に難関大学で合否の判断材料とされてきましたが、ここ数年、スコア提出を必須から任意へと切り替える大学が増えてきています。
大学留学にかかる費用の目安をつかむ
1学年(9ヵ月)の授業料の目安
まずは下の表を参考に費用の目安を把握しておきましょう。国や進学先の大学によって差が出ますが、英語圏の大学では、授業料で年間数百万円かかるケースがほとんど。
アメリカ | 4年制大学 | 190万~840万円 |
2年制大学 | 120万~230万円 | |
カナダ | 4年制大学 | 200万~620万円 |
カレッジ | 160万~200万円 | |
イギリス | 大学 | 360万~570万円 |
オーストラリア | 大学 | 290万~430万円 |
ニュージーランド | 大学 | 260万~310万円 |
上の表は、US$1=¥137、CA$1=¥107、UK£1=¥169、AU$1=¥96、NZ$1=¥87で算出したもの
授業料は国や専攻によって大きく異なる
アメリカの大学の授業料は大学間で差が大きく、年間200万円ほどの州立大学がある一方で、アイビーリーグに入る有名私立大学などでは年間700万円以上かかります。他の4ヵ国の大学はほとんどが国公立なため、アメリカほど大学間による差はありません。また、専攻科目によっても授業料に格差が生じ、一般的に文系より理系科目の方が高い傾向にあります。
留学中の生活費用は200万円前後
留学には大学寮への滞在費や生活費などもかかりますが、これは居住する地域の物価や生活スタイルにより大きく変化します。ニューヨーク、ロンドンなど一部の大都市以外では、目安として年間200万円前後を見ておくとよいでしょう。
条件に合う奨学金を探そう
大学留学を考えている人の中には、「資金が足りない!」という人もいることでしょう。そこで検討したいのが、奨学金制度の利用。制度により返済の要否や支給される金額はまちまちですが、一千万円ほどを受給できる可能性もあります。
奨学金の提供元は大きく分けて3つ。
(1)日本を含めた各国政府や自治体などの公的機関
(2)企業や個人が設立した財団
(3)海外の大学
(1)~(3)の給付型の奨学金について、下記で説明していきます。
大学留学を対象とした国内奨学金
(1)(2)の国内給付型奨学金は、留学開始時期の2年以上前に募集を締め切るものもあるので志望大学を絞り込む際、並行して奨学金制度もリサーチするのがいいでしょう。
また通常、奨学生は審査で選ばれます。面接での人物評価の他、学業成績、英語力なども審査対象となるので、学習意欲の高い成績上位者が有利になります。特に支給内容が手厚いものの競争率はかなり高いので、相応の学力や実績が必要。日頃から熱心に勉学に励んでおきましょう。
<奨学金情報サイト>
■海外留学支援サイト
⇒独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)運営の留学情報サイトが発信する奨学金情報
■ガクシ―
⇒奨学金がランキング形式で紹介されている。都道府県、申し込み時期などの条件で検索も可能
海外大学の留学生向け奨学金
(3)の海外大学の多くは留学生に向けた奨学金制度を設けていて、自分の成績と大学のレベルとを照らし合わせて戦略的に申請すると、比較的獲得しやすいと言われています。
海外大学の奨学金は、主に出願者全員が書類審査時に自動的に選考対象になるタイプと希望者のみ書類審査時に審査されるタイプがあります。志望大学にどのタイプの奨学金があるか把握しておきましょう。
支給の有無や金額は、通常合格通知と同時に通達されるので、かかる費用を踏まえた上で進路選択が可能。
奨学金情報は大学Webサイト内の「International Student(留学生へのページ)」や「Financial Aid and Scholar ship(資金援助と奨学金)」に掲載されています。
大学出願時に審査するもの以外にも「在校生のみに応募権利があるもの」「文化交流大使として活動できる生徒が対象となるもの」など、さまざまな種類の奨学金を用意している大学もあります。費用がネックであれば、こうした制度の充実度を条件の一つに加えて出願校を決めるのも良いでしょう。
>>奨学金で大学留学を実現!制度の基礎から給付型奨学金リストまで
大学留学に向けたスケジュールと志望校の選び方
高校1年を起点とした大学入学までのロードマップです。あくまでもモデルスケジュールなので、実際は個々人の事情に合わせて進めて問題ありませんが、留学先のリサーチや英語試験対策に時間をかけられたり、長期休暇に現地の大学見学に行けたりするなど、できるだけ早い段階から準備を始めることで得られるメリットは多くあります。
海外大学進学へのロードマップ
高校1年
- 海外の大学について調べる
- 必要な英語力、学力、費用などを確認する
- 可能であれば短期留学をする
高校2年
<前半>
- 進学を希望する国・地域を検討する
- 可能であれば海外の大学キャンパスツアーに参加する
- 英語テスト(TOEFL、IELTSなど)を受験。以後、定期的に受験する
<後半>
- 専攻分野を検討する
- 志望大学を検討する
- 志望校の出願締切日を確認する
高校3年
- 8~9月:願書など志望大学への出願に必要な書類を準備する
- 10~12月:出願する
- 翌2~4月:合否発表
- 翌3~5月:進学先を決定し、入学手続きをする
大学進学
- 必要に応じて語学研修
- 7~9月:秋学期入学
- 1~3月:春学期入学
※国により入学時期は異なる
※海外の大学には年に複数回入学時期を設定している大学も多くある
専攻分野は自分の興味や適性を探って絞り込もう
海外大学での学びはハード。モチベーションを高く保つためにも、留学先で学ぶテーマについてきちんと考えておきたいものです。しかし、まだ自分が何をしたいのかよく分からないという人も多いでしょう。そんなときは「面白いと思う授業は?」「熱中できることは?」「将来就きたい職業は?」などの問いに向き合ってみると新しい発見があるかもしれません。
また、各種教育機関が人気の専攻などを紹介したりするので、そういったものを参考にしたり、具体的なテーマがなければ入学時に専攻を決める必要がないアメリカ、カナダなどの大学を選ぶと良いでしょう。
<将来性のある専攻ベスト10>
1 | コンピューターサイエンス | 2 | コミュニケーション |
3 | 政治学 | 4 | ビジネス |
5 | 経済学 | 6 | 英語・英文学 |
7 | 心理学 | 8 | 看護学 |
9 | 化学工学 | 10 | 生物学 |
>>海外の大学で人気の専攻リストと詳細はこちら
翻訳ツールなどを使って志望大学の情報収集
大学で学びたい事をある程度絞り込めてきたら、次はそれを実際にどこで学ぶかを考えてみましょう。気になる国にどのような学校があるのかまとめて知りたいときに役立つのが、大学情報サイト。データーベース化されており、エリア、専門科目などさまざまな条件から検索できるうえ、比較検討がしやすいです。
志望校の候補となる大学が出てきたら、次はその大学の公式Webサイトを見てみましょう。出願条件や入学希望者へ向けた最新情報、キャンパスの設備など実際の学校生活にまつわる情報に触れられます。
国 | 大学情報サイト | 特徴 |
アメリカ | CollegeBoard | 専攻や所在地、学位レベルなどさまざまな条件で絞込検索ができる |
カナダ | Universities Canada | カナダの大学の大半をカバー。各国の授業料や学生数、奨学金情報などを掲載 |
イギリス | Discover Uni | イギリス国内の全大学を網羅。学生のアンケートに基づいて各大学が細かく評価されている |
オーストラリア | Study Australia | 留学希望者に向けて、オーストラリアの教育制度や教育機関を紹介する政府機関のサイト |
ニュージーランド | Study with New Zealand | 政府機関によるサイトで、教育機関全般の情報が掲載 |
<大学の公式ウェブサイトで特にチェックするべきページ>
・Admissions
進学希望者向けの情報がまとめられており、出願情報や時期、提出書類、授業料など、入学に関する必須情報が確認できる。
・International Student
留学生のための特設ページ。Admissions内にあることが多い。英語試験の基準点や応募可能な奨学金情報などが載っている。
・Academics
各学部。専攻のカリキュラムなど詳しい情報が確認できる。大学が強みとする研究分野や研究実績が紹介されている場合もある。
「海外大学に進学する!」と決めたら、すぐに行動を始めましょう。前述のように、海外大学の合否は書類審査で決まります。英語試験対策は必要なものの、一部の名門大学を除き大学ごとの対策は不要なので、日本の大学と併願する人も少なくありません。
大学留学の費用や準備については留学のプロにご相談を
雑誌『留学ジャーナル 2022年11月号』大学留学特集
雑誌『留学ジャーナル 2022年11月号』は英語圏5ヵ国の教育制度から卒業後の就職活動についてまで、多彩な情報がまとまっています。「海外の大学に通ってみたい気持ちはあるものの、入学方法が分からない」「進学後の姿をうまく思い描けない」といった悩みをお持ちの方は、大学留学の入門書としてぜひお買い求めください。
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雑誌の立ち読みはコチラ。
雑誌『留学ジャーナル』は、1983年の創刊以来、留学情報誌として強い信頼と人気を得ている専門誌。
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