雑誌「留学ジャーナル」編集長が、ニュージーランド・カンタベリー大学卒業生の原桃佳さんにお話を伺いました。原さんは日本の公立高校からニュージーランドの大学へ進学し、現在は大学院で学んだ専攻(看護学)を活かして医療現場で働いています。ニュージーランド在住の原さんに、コロナ優等生といわれるニュージーランドの現状も聞いてみました。海外大学へ進学するプロセスを知り、留学実現のための第一歩を踏み出しましょう。
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<当日のトークセッション動画>
<ゲストスピーカー>
University of Canterbury/カンタベリー大学卒業生 原桃佳さん
●カンタベリー大学(University of Canterbury) ニュージーランド南島のクライストチャーチにある国立大学。1873年にカンタベリー カレッジとして創立され現在に至る。世界の大学ランキングではトップ500常連校で、国内では常にトップ3にランクイン。首相をはじめ多くの政治家や学者を輩出している。 |
経歴:
2013年3月 大阪府立住吉高校卒業
2013年4月 CCEL Christchurch入学
2014年2月 カンタベリー大学ファウンデーションコース入学
2014年7月 同大学入学(専攻:心理学、副専攻:社会福祉学)
2018年2月 同大学大学院入学(健康科学修士課程)
※Ara Institute of Canterburyの看護学部とのジョイントプログラム選択
2019年11月 修士課程修了
2019年12月 ニュージーランド公認看護師資格取得
現在、ニュージーランド南島の町Timaruの私立病院で看護師として勤務
原さんのインタビューは「留学ジャーナル11月号」に掲載!
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<ファシリテーター>
雑誌「留学ジャーナル」編集長 加藤 ゆかり
ニュージーランドの高等教育システム
――まず、ニュージーランドの高等教育について簡単にご紹介しておきましょう。
ニュージーランドには、8校の国立総合大学があります。ニュージーランドの大学は基本的に3年間で学位を取得します(日本は4年間)が、日本の高校を卒業してすぐにニュージーランドの大学へ入学できるわけではなく、ファウンデーションコースで約1年間、大学進学のための準備をしたあとに大学へ進学するという流れです。
また、ニュージーランドの高等教育には、工科大学とポリテクニックがあり、専門色の強い勉強ができるコースもあります。社会人が英語と専門的なスキルを身につけるためにポリテクニックのサティフィケートを取るケースも多いです。
ニュージーランドとのつながりが生まれたのは兄の留学がきっかけ
――原さん、大学3年生の時に語学学校(CCEL Christchurch)のウェブサイトに登場されて、流ちょうな英語を披露されていらっしゃいましたね。とても聞きやすい英語を話されていましたが、留学前の英語力はどうでしたか?
原:中学生のころから英語に興味があり、高校も英語に集中したコース(国際文化科)に進学しましたが、英語力はあまり高くなかったです。英文は頭の中で構成できるけれど、いざ話すとなると会話のチャンスを逃していました。英検も受験したことがなく、高校1年生の時に受けたTOEICは400点くらいだったと思います。
――ニュージーランドに住みたいと思ったきっかけは何ですか?また、大学の専攻はいつ頃決めたのでしょうか?
原:サッカーをしていた兄が、所属していたサッカーチームとニュージーランドのサッカーチームとの間で結ばれている交換留学制度を利用して、ニュージーランドで留学をしたことがきっかけです。
高校1年生の夏休みには兄を訪ねて1ヵ月間のホームステイ(短期留学)を経験したり、翌年には、日本に来たニュージーランドの留学生と交流したりと、ニュージーランドとのつながりが深くなりました。
大学の専攻よりも、ニュージーランドに行こうと決めたのが先だったので、海外の大学に進学するならニュージーランドしか考えられませんでした。
大学進学にはファウンデーションコース最終試験の合格が必要
――英語力を向上させる英語コース、進学準備のためのファウンデーションコース、カンタベリー大学への進学を経て、時期によって苦労も違ったのではないかと思いますが、大学入学までの道のりで、一番苦労したことは何ですか?
原:一番苦労したことは、ファウンデーションコースの最終試験です。合格しないと大学に入学できないので、プレッシャーもありました。高校卒業後に通った英語コースでは、自分に自信をつけるためのステップアップとして7ヵ月間、英語を学びました。
ファウンデーションコースは、専門的な英語の勉強が主な内容で、英語でのエッセイの書き方をはじめ、大学へ進学するための準備に集中したコースです。1日8時間以上は勉強していた気がします。とにかく勉強の毎日でした。
――大学での授業はどうでしたか?また、ニュージーランドで勉強できて良かった授業はありますか?
原:ファウンデーションコースでの勉強よりも、大学の授業の方がもっと難しかったです。クラスのほぼ全員が現地のニュージーランド人だったので、友人作りやみんなが話していることを理解するのには苦労しました。
また、授業では知らない単語も多く出てくるため、予習は欠かせませんでした。現地の学生と対等に勉強できる自信を持てたのは大学1年の終わり頃でした。大学で専攻していた心理学は日本でも勉強できますが、副専攻の社会福祉学は、ニュージーランドの社会を知ることができて良かったと思っています。
放課後の過ごし方や留学中の生活は?アルバイトはできる?
――ニュージーランドでサークルやソーシャルクラブ(課外活動)に入りましたか?
原:ニュージーランドの大学にはサークルが無いので、フラットメイトと遊びに行くことが多かったです。私はダンスのソーシャルクラブ(週1~2回)に入っていました。
――今の仕事に就くまでの間、インターンシップなどは除いてファウンデーションコース(1年間)→大学(3年間)→大学院(2年間)の6年間でアルバイトはしましたか?
原:毎週土曜日に開催されるファーマーズマーケットで3年間、働いていました。ファウンデーションコース入学前の英語コースで学んでいた期間(7ヵ月間)でもアルバイトは可能でしたが、英語力が低かったのと、英語の勉強に集中したかったこともあり、アルバイトはしませんでした。
大学在学中に一度、日本食レストランで週3回アルバイトをしたことがありますが、勉強する時間が少なくなり、成績が下がってしまったことがあります。
――現在、新型コロナウイルスの影響でニュージーランドへの入国ができない状態ですが、医療現場にいる立場として、またニュージーランドで実際に生活していて、ニュージーランドの良いところはありますか?
原:日本との人口の違いはあるとは思いますが、ニュージーランドは人口が少ない分、政府がまとめたルールが国民に浸透しやすいのではないかと思います。
コロナ禍のニュージーランドの状況は >>【随時更新|新型コロナウイルス】ニュージーランド留学の最新情報
「英語ができる」=「パワー」
――一時帰国したときに中高生時代の友人に会うと、日本の大学生活との共通点や相違点を感じたこともあったのでは?
原:日本人の友人と話していて、大学生活の違いを感じることは多かったです。日本の大学生は単位が取りやすいという基準で履修する授業を選んでいるようでしたが、ニュージーランドの大学では1年間に8単位しか履修登録ができないので、自分が本当に勉強したい授業を選んでいました。
――日本を外から見ていて、日本の学生にこんなことを勉強してほしいと思うことはありますか?
原:看護の視点から見てみると、日本は精神疾患を持っている人は悪く思われたり、そのような人に対するサポートが行き届いていないという印象があります。ニュージーランドは国として取り組んでいるので、日本でもそういうことを学べれば良いと思います。
――日本にいたらこんな考え方は持たなかったな、と感じることはありますか?
原:日本にいると価値観の違いに気づくこともなく生きていたと思います。日本人からすると、ニュージーランドの人とは文化も価値観も違うので、特にディスカッションの時には、「そういう考え方もあるのか」と気づかされることも多かったです。
――最近は、海外に行くのが面倒だと感じている日本人も増えているようですが、原さんにとって「英語ができる」とは、何でしょうか?
原:「パワー」です。小さい頃から英語を話せるようになりたい、と思っていましたが、まだまだ完璧ではないので、勉強を続けています。また、英語を通じて世界中の人とコミュニケーションが取れるようになった、という達成感があり、スーパーヒーローになった気分になります!
まとめ
カンタベリー大学を卒業された原桃佳さんのトークセッションをご覧いただきました。
ニュージーランドの場合は新学期は2月。2学期制を採用している大学が多いので入学時期は2月と7月が一般的です。
コロナ禍で留学の予定を立てづらい状況ですが、ニュージーランドへの大学留学を検討しているのであれば、今から準備をして2021年の7月もしくは2020年2月にファンデーションコースあるいは大学入学を目指して準備をするのがおすすめです。
とはいえ、どこの大学で、何を学ぶか、海外の大学で自分はやっていけるのかなど、疑問や不安に思うことがあるでしょう。コロナ禍の現状ではなおさらです。
まずは冷静に判断できるように、正確で最新の情報を集めることが大切。創業50周年を迎える留学ジャーナルでは無料での留学相談を受け付けています。まずは相談をしながら自分にあった留学機関を探してみると良いでしょう。
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