留学ジャーナルコラム

奨学生募集!アメリカの大学で日本語講師をしながら学位取得を目指せる奨学生プログラム(NPO団体 ALLEX Foundation提供)

コロナ禍を挟んで、昨今の留学事情は様変わりしています。特にアメリカでは円安や現地の高インフレ、学生ビザの下ではアルバイトの制限もあり、費用面の大きなハードルにより現地に足を運ぶ留学を躊躇している方も、学生時代にあきらめた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アメリカの大学もそれぞれ奨学金を提供したり、留学生のサポートを手厚くしたりと今まで以上に留学生への支援を拡充していますが、それぞれの学校ができることは限られています。

そんな中、NPO団体であるALLEX Foundationは、現地での学費・生活費をカバーする奨学援助をしつつ、社会人や学生がアメリカの大学・大学院で学びながら一生ものの”プラスα”を経験できるプログラムを提供しています。実際に経験された方の体験談も紹介しながら、プログラムについてみていきましょう。

目次

ALLEX Foundationとは?

ALLEX Foundation (Alliance for Language Learning & Educational Exchange)は、アメリカにおける日本語教育の普及を目的に設立されたNPO団体です。
1988年にスタートした北米大学教育交流委員会(Exchange:Japan)の国際教育交流事業の活動を引き継ぐべく、2004年に創設されました。

奨学生プログラム自体は1988年から始まり、現在に至るまでに1,200名以上のALLEX生が230校もの大学で修士号・学士号を取得しています。
ALLEX奨学生は日本語教育研修プログラムを終了した後アメリカの大学で日本語の授業の講師をすることによって、授業料・寮費・食費免除の奨学援助を受けながら、修士号または第二学士号(すでに学士号を持っている人が、異なる分野で学士号を取得すること)の取得を目指します。

日本語講師の養成に加え、近年では中国語、韓国語の講師の派遣も行っています。

厳正な選考審査を通過し、体系的な日本語教授法の研修を受けたALLEX生は大学側からの信頼を得、アメリカ全域で支持されています。

奨学生プログラム

ALLEXのアメリカ大学・大学院留学奨学金プログラムには、2年間のTAプログラム(Teaching Associate Program)と、1年間のTFプログラム(Teaching Fellow Program)があります。どちらも基本的には学生として大学に通いながら、その大学の日本語の授業を担当するというもの。進学先の多くが日本と関わりの少ない地域にあるため、日本語講師としての役割を全うしながらも日本文化を伝える民間大使としての自覚を持ち、地域の人々とも積極的に交流を深めることが期待されています。

<日本語講師としての役割>

  1. ALLEX生によって新設される日本語プログラム
    コースシラバスの作成からテスト、採点、成績評価まで、日本語プログラムの運営すべてを担います。
  2. ALLEX生によって維持・運営される日本語プログラム
    前任のALLEX生から引き継ぐか、任期中の別のALLEX生と協力しながら授業運営を行います。
  3. ALLEX生以外の教員によって運営される日本語プログラム
    授業は通常1人で行いますが、主任教員の指導の下、プログラム運営の補佐にあたります。

過去の参加大学

Boston University

Vanderbilt University

Portland State University

University of Kentucky

University of Mississippi

Indiana University Bloomington

Wellesley College

University of Mississippi

Texas Tech University

他多数

Teaching Associate Program(TAプログラム)

2年間の授業料と家賃・食費免除で、学位を取得する

このプログラムでは2年間その大学の学生として学びながら日本語を教え、修士号、第二学士号の取得を目指します。大学のティーチング・アシスタントシップ*を利用し、大学によっては健康保険料や給与、研究補助費なども提供されることがあります。奨学援助を受けるためには学期ごとに定められた単位数の履修と一定の成績を維持することが求められます。
*ティーチング・アシスタントシップとは
学生でありながら授業を受け持ったり、教授のサポートをしたりすることで、学費や生活費が援助される制度のこと。

学位を取得しキャリアアップや修士課程や博士課程への進学を目指す方、アメリカの大学で講師としての経験を積みたい、日本語講師の実務経験を積みたいという方にお勧めです。

●求められる人材
大学・大学院生と日本語講師という2つの役割を両立させる必要があるため、どちらにもバランスよく積極的に取り組んでいける自主性と柔軟性

大学院修士課程について:

多くの修士課程は2年間で修了できるカリキュラムになっていますが、医療系や法律系などに多い2年で修了できない専攻課程へは進学できません。英語力を示すスコアの提出は必須ではありませんが、多くの参加大学がTOEFL iBT80点以上(IELTS 6.5以上)を入学条件としているので、選択肢を増やすためにも計画的に英語力向上に取り組むことをお勧めします。

学士課程について:

学士課程修了には通常4年かかりますが、過去に在籍した大学で取得した単位を互換し、2年後の第二学士号の取得を目指します。ほとんどの人文系、社会科学系の分野での学びが可能です。特にTESOL、言語学、教育学はALLEXのパートナー大学から提供されることが多い学部となっています。ただし、人文系から科学系など極端な専攻転向を行うと、単位取得に2年以上を要してしまうので、進学できない場合があるので注意が必要です。

Teaching Fellow Program(フェロープログラム)

1年間の授業料と家賃・食費免除で、日本語を教えながら大学で学ぶ

日本語教師を目指す方や将来的に大学院進学を希望している方に最適な1年間のプログラムです。派遣先の大学で日本語を教えながら、1学期に付き1~4コース分の学費が免除もしくは支給されます。学位は取得できませんが、受講したコース分の単位を取得できるため、コース修了後に大学院へ進学する生徒も少なくありません。またその場合、TFプログラム期間中の活動が評価され、大学院在籍中の奨学金を受け取った卒業生もいます。これだけでもプログラム参加する意義は大きいです。

●求められる人材
日本語プログラムの講師としての責務、また専任の今日や他の講師と協力してプログラム運営をすることが多いため、協調性も不可欠

夏期日本語教育研修プログラム(ALLEX Teacher Training Institute)

日本語講師として必要な知識と技術の体系的習得を目的とした、7週間の日本語講師養成プログラムです。コーネル大学やオハイオ州立大学、ワシントン大学セントルイスなどの名門大学からなるThe Consortium for Chinese and Japanese Teacher Trainingのサポートを受けて実施されます。TAプログラム、フェロープログラムどちらの参加者にも、派遣前にこの研修プログラムを修了することが義務付けられています。
(※夏期日本語教育研修プログラムのみ受講することも可能)

授業では、言語学の講義から教育実習まで、理論と実践の両面からより効果的に教授法が身に付くよう指導が行われます。プログラム期間中は、月曜から金曜までの週5日、1日5時間の授業に加えて、実習準備や視聴覚教材の作成などにも取り組みます。

プログラム修了時には、修了証明書とワシントン大学セントルイス校の授業単位が授与されます。

体験者の声

TAプログラム参加者

留学期間2014年~2016年
参加理由海外の大学院に進学したい
出発前に不安だったこと教師の経験がないこと
成果将来自分が何をしたいか明確になった

「日本で大学を卒業後、同級生がほぼ全員日本で就職する中、ずっと希望していたこととはいえ、大学院への進学は一大決心でした。大学院に在学中の2年間、辛いことや大変なこともたくさんありましたが、今では大学院に進学してよかった、そして何といっても”日本語の先生をしながら”大学院に通えることができて本当によかったと心から思います。 私は日本で教師としての経験も全くなく、自分が将来先生をすると思ったことすらなかったので、大学で日本語を教えるのは新しい挑戦でした。しかし、実際に初めてみると本当に楽しくて、やりがいがあり、日本語を教えることが大好きになりました。また、大学で日本語の先生をするというのは、ただ生徒として大学に所属するだけでなく、大学(学部そして教授)の側からの視点や、学部内の事情等もよくわかり、全く違った景色が見え、大変勉強になりました。また、学生としての経験においても、大学院に進学したことで、価値観や考え方、そして何より将来自分が何をしたいのかが変わり、より明確になりました。 ただ、在学中いつも卒業後の進路への不安は付きまといました。在学中に進路が決まったから今こうして「よかった」と思えるというのも本当だと思います。また、大学から直接大学院に進学したことで、様々な場面で財政面に状況が左右されたことも否めません。また、受け入れ先の学校の環境や人間関係によって、どんな経験になるかもまた変わってくると思います。ただ、私にとってはこの2年間は人生の分岐点となる、人としても成長できた、とても有意義な時間になりました。」

FPプログラム参加者

留学期間2017年~2018年
参加理由音楽療法の修士号取得
出発前に不安だったこと仕事を辞めること、金銭的な余裕がなかった
成果音楽に関するバックグラウンドを作れたこと、
素晴らしい教授との出会い

「”アメリカで修士号を取りたい。けど金銭的に余裕がない。” そんな時に出会ったのがこのALLEX奨学金でした。当初の私の目的は、アメリカの大学院で音楽療法という修士号の取得。面接でもその旨を伝えたところ、”専門的な分野になると音楽に関するバックグラウンドがないと合格は難しいかもしれない。”と面接官の方が伝えてくれました。しかし、そこで終わりではなくTeaching associate programではなくTeaching Fellow programに応募して、1年間音楽に関する授業を受講しバックグラウンドを作るのはどうかというアドバイスを頂きました。当時は仕事をしていた為、仕事を辞めてこのプログラムに参加するかは本当に迷いました。ただ、ALLEXから頂ける機会を逃すと大学院に合格する可能性もほぼないと判断し、思い切って仕事を辞めTeaching Fellow生として合格する事が出来ました。プログラムが終わろうとしている今、私の選択は間違ってなかったと胸を張って言えます。派遣大学に行く前の研修では、ALLEX生と共に日本語教授方について学び、実りのある研修期間となりました。奨学金合格者の方々は大学を卒業したばかりの方、私のように仕事を辞め参加してきた方と様々でしたが、ハードな研修を共に乗り越え、派遣後もお互いの近況を報告し合える素敵な仲間がたくさん出来ました。派遣後の生活では、日本語教師として日々授業に励む一方、音楽に関する授業を受講する忙しい日々が続きましたが、音楽学部の教授から素晴らしい推薦状も頂き、希望通り奨学金付きで大学院に合格する事が出来ました。日本で会社員として働いていた頃は、型にはまった生活をする事に慣れ、挑戦することに躊躇していました。しかし、ALLEXから頂いたチャンスで自分の今後のキャリアと向き合い、道を切り開くことが出来ました。 日本語教師と生徒との両立は決して簡単な事ではありません。しかし、強い信念と目的があれば必ず達成できると思います。私自身、日本語教師としても全力で取り組み、生徒たちに言語だけではなく、日本の文化、習慣等も教える事が出来ました。もしこの奨学金に応募をするのを迷っていたら是非一歩踏み出す事をお勧めします。
ALLEXのスタッフの皆様は、応募者のプランについて親身になって相談に乗ってくれます。是非、自分の目標、夢を実現させてください。」

お問い合わせ

募集要項

応募条件:国内外の4年制大学既卒(学士課程修了)か、2026年春に卒業見込みであること

奨学援助の内容:長期休暇期間を除いた約18ヵ月分の授業料および住居費、食費の免除または支給

応募締め切り:2025年10月15日

説明会

オンラインでは毎月開催しています。
オンライン説明会参加申し込みフォーム

対面での説明会も実施しています。
東京説明会:7月20日(日)午前10時より
参加申し込みフォーム
詳細はALLEXホームページで www.allex.org/jp

お問い合わせ

詳細はALLEX Foundationまでお問い合わせください。

ホームページ:www.allex.org
個別のご質問:qi.wang@allex.org

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