急速にオンライン化が進む中、最近では国内でもオンラインでのインターンが増えてきています。
今回は、ベトナム企業でオンラインのインターンを体験した大学生の体験レポートをご紹介します。業務内容やメリット、海外と日本のインターンの違いやオンラインでも成果はあるのかなど、詳しくお聞きしました!
※2020年12月インターン体験時の情報です。
体験者プロフィール
名前 | 町口 琴音さん |
当時の在籍大学 | 大阪大学外国語学部4年 |
現在 | IT企業のマーケティングコンサルタントとしてお勤め |
自分の英語が通用するか不安もあったけど、人とは違った経験をしてみたい!
以前、夏休みに開催されたベトナムのオンライン研修に参加し、現地のプログラムコーディネーターとプライベートでも仲良くなったことがきっかけで、このインターンに声をかけてもらいました。
経済成長が著しく、将来有望な市場であるベトナムでのオンライン就労経験は、得るものが大きいと思いましたが、不安もありました。
前回参加したオンライン研修で、現地学生たちの英語力の高さにひたすら圧倒されたため、自分の英語がビジネスフィールドで通用するのか、企業の求める成果を出すことができるのか、とても気がかりでした。
しかし、学生生活も最後の年となり、全面的に応援してくれる親の期待にも応えたくて、食らいついてやろうという気持ちで、勇気を出して参加しました。私は人と違った経験をすることが好きなので、それが挑戦することへのモチベーションにもなりました。
オンラインインターン先と業務内容
インターン選考は、現地手配会社に書類を提出し、自分に合う企業を紹介してもらい、面接、という流れで行われました。
選考手順
1.履歴書と志望動機を提出
2.ベトナム現地手配会社「Abroader」が自分のスキルや希望に合う企業を選定
3.面接
企業側が一方的にこちらを評価するというより、インターン生と候補企業がお互いにマッチングするかに重きを置いていたように思います。
Abroaderから紹介された企業のホームページを検索し、取り扱っている商品や企業理念など調べ、自分のやりたいことができる企業なのか、自分の考え方とブランドコンセプトに相違がないかを検討しました。そして、その企業で働くモチベーションが固まってから選考に進みたいという旨を伝え、面接を受けることになりました。
面接では、企業側が基本情報をプレゼンし、任せたい仕事内容についてを大まかに説明されました。その後、仕事内容が私の希望に合っているかを確認する、という流れでした。
採用されたインターン先
インターン先の会社名/ホームページ | Tòhe(http://www.tohe.vn/en/) |
インターンの仕事 | マーケットリサーチ |
インターン期間 | 2020年12月~2月の3ヵ月間 |
インターン中の勤務スケジュール | 平日の週3日。1日3~4時間ほど |
「Tòhe」は、ハンディキャップを持った子どもたちの社会参加を支援するベトナムの社会的ベンチャー企業です。
障がいを持った子ども向けにアートワークショップを開き、そこで子どもたちが描いたお絵描きにインスパイアされたデザインの雑貨や洋服をプロデュース。 商品売り上げの5%は子どもたちに還元される仕組みになっています。
大人が忘れてしまった”playfulness”を日常に取り入れてもらおうというコンセプトから、サイトはカラフルでポップなデザインになっています。
インターン中の勤務スケジュール
ミーティングは毎週水曜固定(お互いの都合が悪くなった場合を除く)で、大体1時間ほどでした。会議中の雑談は、スピーキング練習には絶好の機会でしたが、私はダラダラとするのが嫌だったので、報告や議論すべきことが終わり次第、こちらから終了するようにしていました。
1日の労働時間は決まっていなくて、週1回のミーティングで次週までにやってくることを話し合いで決め、そのアウトプットが出せるまでやる、という感じでした。すき間時間を利用して、いつでもどこでも自分の都合に合わせて取り組めるというのは、リモートの良いところだと思います。
自分でスケジュールや業務内容を決めるため、自己管理能力も磨かれます。
土日に企業先から連絡がくることもありましたが、私は週末は休日と割り切っていたので、月曜になってから返信して仕事を再開していました。
そのほか、Abroaderとの文化交流・状況報告が大体2週間に1回、30分~1時間ほどありました。
<Abroaderとのオンライン交流のようす↑>
SNSマーケティング調査や企画案・商談も!
わたしの仕事は、Tòheの日本市場進出をサポートすることでした。まずは日本の3大SNS(Instagram, Twitter, Facebook)のユーザー特性を調査し、ターゲット層がよく使うSNSを特定、その購買活動を調査し、有力なECモール・サイトにたどり着いたので、Tòheの商品をオンラインで扱ってもらうプラットフォームとして報告しました。
SNSを利用したマーケティングキャンペーン案もいくつか提出しました。また、Tòheのブランドコンセプトに合う他の国内ECサイト情報も共有し、検討材料に入れてもらいました。日本の有力企業とコラボしてキャンペーンを行う案もあったので、実際に5社ほど自分で問い合わせをして商談をもちかけたりもしました。
仕事のしかたに異文化の差を痛感。「異文化尊重」の本質
オンラインでの業務や時差の面では問題が生じることはありませんでしたが、ベトナム人との組織文化の違いを受け入れるのが一番難しかったです。
ミーティングが時間通りに進まなかったり、すっぽかされることも何度かあり、時間に厳格でビジネス優先の日本との違いを感じました。私自身、かなり時間に厳しい人間なので、そこを妥協することは困難でした。
また、ベトナムでは家族と過ごす非常に重要な行事「旧正月」の長期休暇が途中に入り、その間は仕事が進められず歯がゆい思いをしました。
しかし、今回は自分がインターン生として仕事させてもらう立場だったので、その価値観の違いを受け入れ尊重する努力を続けました。
外国人と働くということは、優先するものも、時間の流れ方も違っていたり、自分が生まれ育って身につけた常識が通用しない人々と、お互い理解し妥協しながらベストな働き方を探っていくことなのだと、身をもって学ぶことができたのは、大きな収穫でした。
「異文化を尊重する」ということをよく耳にしますが、これは体験した人しかわからない感覚だと思います。
忙しい日々の中でも、日本では経験できない仕事を任せてもらうことができた!
インターン期間は、ちょうど卒業論文の制作が佳境な時期と重なり、他のタスクも抱えていたため大変でした。インターンに割く時間が必要最低限となってしまったことが反省点です。
海外のベンチャー企業かつ、オンラインなので、やればやるほどできることは多いのですが、私の場合はあまりそこを有効活用できませんでした。
忙しさにもよりますが、ミーティング以外の時間は週に6~8時間くらいしか捻出できていなかったかと思います。
しかし、効率的に仕事をまわす技量を身につける良い勉強になりました。
企業の海外進出をサポートを海外の学生に経験させるというのは、企業側としてはかなり思い切ったものだと思いますし、慎重な日本では任せてもらえないことだと思います。
しかも私は、このプロジェクトに取り組む唯一のインターン生だったので、求められるアウトプットを達成するのは非常に困難でした。”自由度と責任は比例する”というのを肌で感じながら、緊張はしながらも、そのプレッシャーを楽しむことができました。海外×ベンチャー企業の特性が生きた経験だったと思います。
国内と海外のインターンを経験して感じた違い
大学3年生の時に、20社ほど短期インターンに参加しました。最近の日本のインターンは、数日間インターン同士でグループに分かれて、ケーススタディなどのプロジェクトを進め、発表するというアクティビティ形式なものが多いです。
しかし、本来インターンとは、長期間実際に企業で社員に交じって仕事を経験することだと思っています。今回のインターンでは、本来のインターンに近い経験を初めてできたので有意義でした。
オンラインだったので、社員さんが付きっきりで教えてくれるということはなく、週1回のミーテイング会議以外は無料メッセージアプリ「WhatsApp」でテキストで話す程度でした。
リアルに比べればコミュニケーションは少ないですが、実際に会社の利益に結び付くリアルな就労経験をできたことは貴重でしたし、新鮮でした。私の上司は、ベトナム人らしいフレンドリーな方だったので、年の近いお姉さんという感じで肩の力を抜いて話しをすることができました。
初めの一歩次第!オンラインだからといって踏み込まないのは損
英語を使用しながらオンラインで働く、というのに身構えてしまう方も多いかと思いますし、私も最初はそうでした。
しかし、オンラインならではの良さとして、自分のペースで仕事をすることができるし、Abroaderの場合は仲介してくれる現地手配会社のコーディネーターのレスポンスが速いので、不安や疑問はその場ですぐ解消することができます。
私は、事前に2週間のオンライン研修を受けていて、オンラインで海外と繋がるとはどういうものなのか、ベトナム人の一般的な英語レベルやなまり、価値観や国民性についても学ぶことができていたので、まずはそういった短期のアクティビティに参加してみて検討するのが良いと思います。
オンラインだと、自分でどれだけコミットするのかを、ある程度決めれてしまうので自己管理能力が重要ですが、それも経験しながら身につけていくし、学生のうちにそれができるのは貴重だと思います。コロナが収束しても、リモートワークはニュースタンダードとして定着していくと思われるので、今のうちに慣れておく良い機会でもあります。
手を挙げてしまえば、後は意外とさくさく進むので、ぜひ、初めの一歩を踏み出してみてください。
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