
英国サセックスの緑豊かな丘の上に立つ立教英国学院。日本と英国それぞれの教育の長所を融合しながら、世界で通用する品格としなやかな思考力を備えた人間を育て続けています。その学びの場を見つめ続けてきた校長・岡野透先生に、教育への思いを聞きました。
英国の全寮制スクールで学び国際社会で通用する品格を身につける
国際社会で通用する品格を身につけた人材を養成すること

立教英国学院は、イギリスにあるボーディングスクール。緑豊かな丘の上にある全寮制のキャンパスで、小学部5年生から高等部3年生までの生徒たちが教職員と生活を共にしながら学んでいます。「日本と同水準の教育を海外で受けられることが、1972年に開校した当時の大きな特色でした。そして、創立50年を迎えた今、これからの国際社会で通用する品格を身につけた人材を養成することが私たちの使命だと考えています」
そう語るのは、立教英国学院の岡野透校長です。立教英国学院の教育には、3つの柱があります。
1つ目は「キリスト教教育」。立教学院の原点は、1874年にアメリカの宣教師が築地に開いた「立教学校」にあります。
その宣教師たちはもともと英国国教会の流れを汲んでいたため、同校の教育理念の根幹にはキリスト教の精神があります。「一人ひとりが『神に愛されている存在である』という自覚を持つこと。そして、その愛に基づいて隣人を思いやり、他者のために生きる。現代的に言えば、社会貢献できる人間を育てることこそ、私たちの教育の中心にあります」
2つ目は、「日英融合教育」。日本と英国それぞれの教育の長所を融合させ、新しい形の学びをつくることを目指しています。日本の教育は知識の伝達に優れているが、英国の教育はその知識をどう使っていくかを重視します。同校では、日本の教育を尊重しながら、英国式の双方向型の教育も積極的に取り入れています。「母語である日本語をしっかり育てることが、第2言語である英語力も高めることは多くの研究で明らかになっています。日本語と英語、そして日本と英国という2つの文化を往き来しながら学べる世界でも数少ない環境だと自負しています」
3つ目は、「全寮制」という生活環境。寮は単なる生活の場ではなく、キリスト教精神を実践する場でもあります。24時間、友人と生活を共にし、助け合うなかで、生徒たちは思いやりや他者理解を学びます。「特に印象的なのは、食堂での光景です。小学生が皿を落としてしまったとき、高校生たちが何も言われずにすぐ駆け寄って片付けを手伝う。そうした自然なやさしさを身につけることができます」
海外に出て多様な価値観や文化に触れることが重要
日本人の内向き傾向が強まっている今こそ、海外に出て多様な価値観や文化に触れることが重要だと岡野校長は力説しています。日本を外から見つめ直すことで、自国のよさにも気づけるのだといいます。「日本が鎖国を解いて海外に目を向けた幕末の1863年、長州五傑がロンドンに渡り、世界の制度や技術を学びました。そこから明治維新が生まれたように、海外に出て世界を知ることは、時代を変える力になるのです」
サイエンス・ワークショップの実施
岡野校長は、科学の教員として、2001年から日英の高校生を対象に「サイエンス・ワークショップ」を実施してきました。そこで、日本の生徒は講義を一方的に聞くのに対し、英国の生徒は積極的に質問をしてくる光景を目にするといいます。「それはなぜか?」「本当にそうなのか?」。こうした質問のやりとりを現場で体験することで、「クリティカル・シンキング(批判的思考)」に代表される英国の学びの精神を理解できるといいます。「本校の授業でも常にクリティカル・シンキングを意識しています。例えば、芥川龍之介の『藪の中』を英語で読み、作品の根底にある真実を多様な立場から議論する授業などを取り入れています」
「AIを超える教育」を探ること
AI(人工知能)が急速に進化する昨今、学校が果たすべき役割は「AIを超える教育」を探ること。問いを立て、考え、議論する — —これこそAI時代においても人間に残された領域です。だからこそ、同校では前述のような「問いを生み出す力」を育てる教育を重視しています。「先の見えない時代だからこそ、今の日本の子どもたちにはできるだけ多くの体験をしてほしい。家庭の温もりから一歩外に出て、異なる文化や人と出会うことが成長の鍵になるでしょう。英国の中でもサセックスは治安がよく、安心して過ごせる環境です。立教英国学院での経験は、必ず将来の財産になるでしょう」
予測不可能な未来を生き抜く力を育む 立教英国学院の3つの柱
日英融合教育

日本と英国、2つの言語と文化を組み合わせた独自の学びを提供。生徒たちは文化的理解、批判的思考、倫理的なリーダーシップを身につけ、グローバル社会で活躍できる人材として未来に羽ばたくことができます。高度な英語力を習得できることで、高校卒業後は、日本の大学のみならず、世界中の大学への進学の扉が開かれます。
全寮制生活
豊かな自然の中に建つ寮で、小学部5年生から高等部3年生までの生徒たちが共同生活をしながら学んでいます。こどもたちが安心して過ごせるように、大きな家族のような温かさと規則正しい環境を整備しています。ここで一生の友となる仲間と出会い、日常のコミュニケーションのなかで、人間性を高め、自立性を育むことができます。
キリスト教教育

礼拝で始まり礼拝で終わる——。立教英国学院での日々は、キリスト教の教えと深い関わりがあります。生徒一人ひとりは、神から愛されているかけがえのない存在であり、一個の人格として尊重されなければいけません。そんなキリスト教の教えを日々の生活から得ることで、互いを尊重し合いながら人格を形成することができます。
卒業生の声

立教英国学院での経験が、今も自分を大きくし続けている
2025年卒業 University College London在学中
磯部 恭輔さん
現在、University College London(UCL)で学んでいます。進学のきっかけは、立教英国学院の国際交流プログラムの一つであるUCL Japan Youth Challenge。実際にUCLで講義を受ける中で、ここで学べば自分の力が最大限に伸ばせると感じ、進学を決めました。これらの国際交流プログラムは、大学生になった今も、自分に大きな影響を残していると感じます。現地の同世代の学生と話す機会があったり、講義に出席したりする体験は、日本にいたらなかなか体験できないもの。そのおかげで、日本との違いにショックを受けたり、慣れるまでに時間がかかったりせずにすんでいます。また、ドミトリーメンバーとの寝る前の会話も心に残っています。友人たちと夢を赤裸々に語り合えた時間は、今の自分を形づくる大切な経験です。
お問い合わせ
英国:RIKKYO SCHOOL IN ENGLAND
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e-mail : eikoku@rikkyo.co.uk
日本:立教英国学院東京事務所
〒171-0021東京都豊島区西池袋3-34-1
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