よくある疑問について、留学のプロがお答えします!これで不安の種はぐんと減るはず。
アドバイザー 早本吉宏
はやもと・よしひろ/留学ジャーナル執行役員、進学チーフカウンセラー。アメリカへの語学留学と大学留学、中国への語学留学の経験を持つ。入社以来、20年以上にわたり海外留学・進学を目指す人をサポート。その数は3000人に上る。
TEXT : Ryugaku Journal
Illustration : Mari Oogo
※本稿は『留学ジャーナル2021年5月号』の記事を抜粋・再編集したものです。
Q.留学するのに理想的なタイミングはありますか?
Answer
「自分のことは自分で」ができるようになったら
「中学生や高校生での留学って、ちょっと早すぎない?」という声も聞きますが、中高生という伸びしろが大きい時期の留学経験は、一回り二回りもの成長を遂げることができるチャンスです。ですが、親元から遠く離れて過ごす留学では、生活のあれやこれやを自分で管理しなければならない場面が多々あります。
ホームステイ先や寮では、留学生は”お客さま”ではありません。朝の起床、自室の掃除、食事の際の食器の片付けなどは、基本的に留学生自身が行うこと。ですので、年齢に関わらず「身の回りのことを、自分である程度できるようになった」ときが、その子にとっての最適なタイミングではないでしょうか。日頃から、なるべく自分のことは自分でする習慣を付けておくと、留学先での生活に違和感なくなじめると思います。
Q.英語は小さい頃から習っていないと、身に付かないのでしょうか。
Answer
「楽しい」という感覚の醸成が大事
「幼少期から習った方がいい」というのは、いろいろな意味で間違いではないでしょうが、「幼少期から習わないと、英語が得意にならない」ということではないのも事実です。習い始めが中学からでも、英語を得意とする人は少なくないのでは。
むしろ大切なのは、さまざまなチャンスを与えて「楽しい」「英語が好き」「外国のことをもっと知りたい」という気持ちを育んであげることだと思います。洋楽を一緒に聴いたり、海外を舞台にしたドラマを一緒に楽しんだり、時には海外旅行をしたり。そうして、本人が英語や外国文化に興味を示してから、本格的に習ったり、留学させたりする方が、熱心に取り組むので、効率よく英語を習得できるはずです。
Q.子どもに留学してほしいのですが、本人が留学に乗り気ではありません。
Answer
まずは、本人の気持ちを優先して
その気がないときに、留学をさせても成果は期待できません。無理に勧めるのではなく、本人が興味を持つまで辛抱強く待つことが大切だと思います。「どうしようか、迷っている」という状態であれば、留学経験者の話を聞ける留学イベントなどに参加させるのも一つの手。生の声を聞くことで不安が解消され、気持ちが定まる可能性があります。
しかし、そうはいっても、留学はいつでもできるわけではありません。時機を逃したくない、という気持ちもよく分かります。下記に紹介するのは、消極的だった留学への姿勢を前向きなものへと促した「一手」です。参考にしてみてください。
子の背中を押した「一手」
・国内留学
英語が苦手で、言語環境が異なる外国で過ごすことに不安を抱いているケースであれば、まずは、国内の英語キャンプに参加してみるのがおすすめです。ここでやり遂げれば、「英語で生活できた」という大きな自信になります。
・趣味趣向
留学そのものに興味がない場合、本人の趣味や好みに関連する留学体験を探してみては。過去には、グループツアーの日程に大好きなテーマパーク訪問があることがきっかけとなり、留学に興味を持った子もいましたよ。
・仲の良い友人
特にシャイなお子さんだと、なじみの無い人たちと一緒に学び、生活を共にするのに戸惑いを感じることも。そういった場合、仲の良い友人を誘ってみるといいかもしれません。
Q.留学についての意見が、夫婦で一致しません…。
Answer
お子さんも交えて意思の統一を
「渡航国」「期間」「滞在方法」など、留学するには、決めるべき事項がたくさんあります。留学させるという点については一致していても、それぞれに対して、夫妻で意見が分かれてしまうのは珍しくありません。それが原因で夫婦げんかに発展、なんてことも耳にします。
そんなときは、お子さんも交えて、話し合ってみては。留学先では、どう行動するかの判断を、自身でしなければならない場面が多々あります。「自分で自分のことを決める」訓練をする良い機会として、お子さんの意見も尊重しながら、家族のビジョンを一致させてはいかがでしょうか。
Q.パッとしない成績…。留学で一発逆転できますか?
Answer
自信回復につながり、「帰国生入試」も狙える
日本の教育制度や受験勉強との相性が悪く、海外の学校の方が水が合う、というお子さんも中にはいます。環境をガラリと変えることで、自分の良さや得意とすることに気付き、自信を取り戻して帰国するというケースも、過去にはありました。
また、高校留学の場合、帰国生枠で日本の大学に出願するという選択肢もあります。大学ごとに条件は設けられているものの、海外に2年以上滞在した場合に帰国生として認められるのが一般的です。
志望する大学がすで決まっているのであれば、留学する前にその大学が課す条件を細かく確認し、現地でそれを満たせるようにしましょう。そうすれば、難関大学であっても、進学できる可能性が高くなります。帰国生での出願条件を満たさないケースでは、留学中に作った実績を生かしAO入試に挑戦する人もいます。
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