
イギリスのワーキングホリデー(YMS)制度概要
イギリスには、ワーキングホリデーという名前の制度はありません。しかし、「Youth Mobility Scheme(YMS)」と呼ばれるビザがあり、取得すると仕事や勉強、観光などの自由度の高いイギリス滞在を実現できます。ワーホリと同様の制度であることから、YMSがイギリスのワーキングホリデーとして説明されることが多いです。
イギリスのワーキングホリデー(YMS)制度には、年齢制限があります。日本国籍の場合は、18歳以上30歳以下の方が申請・取得できます。
渡航と滞在には96万~126万円程度の費用がかかります。費用については次の記事で詳しく説明しています。ぜひ参考にして、ワーキングホリデーの費用計画を立ててください。
>>イギリスのワーキングホリデー(YMS)の費用は?ビザ取得や生活費を解説
イギリスのワーキングホリデー(YMS)の働き方
YMSビザは2年間有効で、就労制限はほぼありません。最大2年間滞在できるため、アルバイトだけでなく正社員や契約社員としての雇用も検討できます。ただし、ビザの残年数が雇用に影響を及ぼすことも想定されるため、正社員として働くことを希望する場合は、イギリス渡航後早めに就職活動を始めるようにしましょう。
また、次の条件を満たす場合は、会社設立も可能です。
- 従業員は雇用できない
- 設備の価値がUK£5,000を超えてはいけない
イギリスのワーキングホリデー(YMS)で禁止されている働き方
イギリスのワーホリ(YMS)では、就労制限がほとんどないため、自由な働き方を実現できます。ただし、以下の働き方は禁止されています。
- プロのスポーツ関係者として働くこと
- イギリスの公的資金を得て働くこと
- 起業して従業員を雇用すること
- 会社を設立し、UK£5,000を超える設備を導入すること
いずれかに該当する場合は、駐日英国大使館に相談し、適切なビザを取得するようにしましょう。
イギリスの賃金・税制度

イギリスのワーキングホリデー(YMS)でどれくらい収入を得られるか見当をつけるためにも、まずは賃金や所得税にまつわる制度を確認しておきましょう。特に注目したいのが最低賃金です。アルバイトとして働く場合は、最低賃金に近い金額を受け取る可能性があるため、おおよその金額を理解しておくと資金計画を立てやすくなります。
勤務先や雇用形態によって報酬の受け取り方が異なる点にも注意が必要です。週払いのケースもありますが、月払いもあるため、すぐに収入を得られない時のことも考え、少なくとも常に1ヵ月分の生活費は確保しておきましょう。
また、働きたいと思ったときに仕事がすぐに見つからない可能性もあります。仕事が見つからない場合に備えて、ゆとりを持った予算を組むようにしてください。
イギリスの最低時給
2024年4月1日時点の最低時給は、21歳以上はUK£11.44、18~20歳はUK£8.60です。ただし、最低賃金は頻繁に変わるため、こまめにイギリス政府のホームページで確認しておきましょう。
参考:GOV.UK|National Minimum Wage and National Living Wage rates
イギリスの所得税
イギリスでは、年間の収入がUK£12,570を超えると20%以上の所得税が課せられます。最低賃金なら年間約1,100時間働くと所得税の課税対象となり、納税の義務が生じるので、注意が必要です。
ただし、所得税が給与から源泉徴収されている場合は、納税手続きをする必要はありません。また、年間の収入がUK£12,570以下のときは非課税のため、源泉徴収されている場合は税金を還付してもらえます。還付手続き(Tax Refund)については、英国歳入管理局(HM Revenue and Customs 、HMRC)に問い合わせてみてください。
イギリスワーキングホリデー(YMS)でおすすめの仕事

イギリスのワーキングホリデー(YMS)ビザ取得者の仕事としては、次のものが挙げられます。
- レストランやカフェ
- 小売店
- オフィスワーク
- ベビーシッター、ハウスキーパー
それぞれの仕事の特徴や注意点を紹介します。
レストランやカフェ
都市部ではレストランやカフェなど飲食店での仕事が多く、未経験で働けることもあります。接客スタッフとして働く場合、お客さまとの会話を通して生きた英語を身につけられる点も魅力です。
英語が苦手な人は、皿洗いや調理スタッフなど裏方の仕事がおすすめです。調理経験があれば、即戦力として重宝されるでしょう。また、日本食レストランなら、英語が苦手でも接客スタッフとして働けることがあります。英語の習熟度に合わせて適切な仕事を選んでください。
小売店
衣料品や食料品などの小売店の求人も多数あります。ただし、接客と販売を担当する場合は、一定以上の英語力が必要です。衣料品や家具、家電などのショップは、お客さまと会話しながらの販売となるため、英語をスムーズに話せなかったり、聞き取れなかったりする状態では難しいかもしれません。
話すのが苦手な方は、スーパーマーケットやドラッグストアなどでの裏方の仕事を検討してみてはいかがでしょうか。倉庫担当や商品陳列などの仕事なら、お客さまと直接話す機会が少なく、英語力に自信がなくても働けることがあります。
オフィスワーク
一般企業に勤務して、事務作業や電話応対などをする仕事もあります。ただし、ビジネス英語が必要になるだけでなく、高度な読み書きの能力が求められます。外資系企業や海外での勤務経験がある方や、英語のビジネス文書に日常的に触れている方におすすめの仕事といえるでしょう。
ベビーシッター、ハウスキーパー
英語力が高い場合は、ベビーシッターやハウスキーパーなどの仕事に就けることもあります。ベビーシッターやハウスキーパーの中には、住み込みで働ける仕事もあり、住居費や食費を節約できるため、効率よく働きたい方にもおすすめです。ただし、コミュニケーションをとる機会が多いため、日本人家庭以外で働く場合は高度な英語力が必要です。
イギリスワーキングホリデー(YMS)の仕事の探し方

ワーキングホリデー(YMS)で仕事を探すには、主に次の4つの方法があります。
- 語学学校のワーキングホリデーサポートプログラムを利用する
- 友人に紹介してもらう
- インターネットで探す
- 飛び込みで履歴書を渡す
それぞれの方法について説明します。
語学学校のワーキングホリデーサポートプログラムを利用する
語学学校の一部では、YMSビザ滞在者向けに仕事探しのサポートをするプログラムを実施していることがあります。仕事探しが気になる方は、ワーキングホリデーサポートプログラムがある語学学校に注目してみてはいかがでしょうか。
例えば、ロンドン、ブライトン、ケンブリッジ、イーストボーンなどイギリス各地に校舎を持つ語学学校「St Giles International」では、YMSビザを持つ学生向けに、履歴書や職務経歴書の作成方法や面接についてなどがわかる特別セッションを月に2回程度開催しています。
英語力を身につけてから働くことで、仕事の選択肢も広がります。サポートプログラムの有無にかかわらず、英語力に自信が持てない方は語学学校で学んでから働くことがおすすめです。
<YMSビザ保持者向けのサポートがある語学学校>
ロンドン セントラル校、ロンドン ハイゲイト校、ブライトン校) →YMSビザを持つ学生向けに、ワークショップや履歴書の書き方などがわかる特別セッションを月に2回程度実施。 | ・St Giles(
ブライトン校、ロンドン校、ボーンマス校、リバプール校) →YMSビザ保持者限定で、イギリスのラグジュアリーホテル業界で有給のインターンシップができるプログラムを提供。このプログラムに申し込むと、履歴書・職務経歴書の作成、ワークショップ、インターンシップ前の雇用主訪問、面接の準備・模擬面接などのサポートなどが受けられます。 | ・Bayswater(
友人に紹介してもらう
語学学校などに通って友人を作るのも、仕事探しの一つの方法です。ワーキングホリデー中の友人に仕事を紹介してもらえる可能性があります。仕事探しの際は紹介者がいると採用されやすくなる傾向にあるため、ぜひ相談してみてください。また、シェアハウスで暮らす場合は、シェアメイトにも紹介してもらえるかもしれません。
インターネットで探す
イギリスでも日本と同様、アルバイトや正社員などの求人案件はインターネットで探すことが一般的です。現地の求人サイトをチェックして、条件に合う案件があるか探してみてください。
求人サイトは案件数が多く、選択肢が多い点が特徴です。しかし、現地の人も仕事探しに利用するため、一定以上の英語力を持っていることが前提となっている案件も少なくありません。英語力に不安があるときは、日本人のコミュニティーサイトもチェックしてみてください。
飛び込みで履歴書を渡す
気に入ったお店や働いてみたい職場が決まっている場合は、飛び込みで責任者に履歴書を渡してみるのも一つの手。スタッフ募集中なら、採用される可能性があります。 何度もお店に通い、オーナーと顔見知りになってから履歴書を渡すのもおすすめの方法です。熱意が伝わるだけでなく、仕事内容もある程度把握できるため、採用後もスムーズに働けます。
イギリスのワーキングホリデー(YMS)で働く手順

ワーキングホリデー(YMS)制度を活用してイギリスで働くためには、まずはYMSビザを取得し、イギリスに渡航することが必要です。渡航後は次の手順で働き始めましょう。
- カバーレターと履歴書を作成する
- 求人案件を見つける
- 採用面接を受ける
- 試用期間を経て本採用される
上記について、順に解説します。
1.カバーレターと履歴書を作成する
イギリスで求人に応募するときは、カバーレター(cover letter)と履歴書(CV:Curriculum Vitae)の両方を提出することが一般的です。カバーレターとは簡単な自己紹介や志望動機、自己PRなどを記載する書類で、採用担当者の興味を引き、履歴書を読むように促す役割があります。
カバーレターの内容が興味深いものでなければ、履歴書を見てもらうことすらできず、採用も遠のいてしまいます。仕事を確実に得るためにも、印象深いカバーレターを作成しましょう。基本的には自分の長所や、自分がその仕事に適していると思う理由、どのような優れた能力を持っているかをカバーレターに記載します。
なお、カバーレターと履歴書は日本にいるうちに作成しておくのもおすすめです。イギリスで働いたことがある人に添削してもらえば、さらに完成度の高いものになるでしょう。
2.求人案件を見つける
大手スーパーやドラッグストアなどでは、カバーレターと履歴書をデータで送付するように指定されることもありますが、カフェやレストランなどの飲食店やオフィスワークの会社では採用担当者への手渡しが一般的です。求人案件が見つかったらすぐにカバーレターと履歴書を渡せるように、何部か印刷しておきましょう。
気になるお店などでスタッフ募集中の張り紙を見つけたときは、店舗スタッフに一声かけてカバーレターと履歴書を渡すと良いです。また、インターネットで気になる案件を見つけたときは、応募方法を確認し、早めにカバーレターと履歴書を提出すると良いでしょう。
3.採用面接を受ける
応募先から面接の案内を受け取ったら、面接試験に進みます。面接でもカバーレターと同様、基本的には自分が得意とすることや自分を採用する利点などをアピールしてください。
謙遜のつもりで「できる範囲で頑張ります」や「得意なほうだと思います」のように発言すると、採用担当者は「能力が低いのかな?」と受け取ってしまいかねません。採用面接において謙遜は美徳とはならないため、遠慮せずに自分をアピールしましょう。
4.試用期間を経て本採用される
面接試験に合格すると、試用期間を経て本採用されることが一般的です。なお、法律で義務付けられているわけではありませんが、イギリスでは多くの企業が本採用の前に3~6ヵ月の試用期間を設けています。
また、試用期間中も最低賃金以上の報酬を受け取れますが、本来、従業員が受けられる福利厚生のすべてにおいて権利があるとは限りません。試用期間中に適用される報酬や待遇は、雇用契約を結ぶ前に詳しく確認しておきましょう。
イギリスのワーキングホリデー(YMS)で仕事を見つけるコツ

イギリスにワーキングホリデー(YMS)制度を活用して渡航するなら、さまざまな仕事に挑戦し、視野を広げてみたいものです。とはいえ採用されなければ仕事にチャレンジできません。採用されやすい人材になるにはいくつかコツがあります。
- 英語力を伸ばす
- カバーレターでアピールする
- こまめに求人方法をチェックする
- 求人案件が多い都市部に暮らす
それぞれのコツについて解説します。
英語力を伸ばす
英語力が高ければ高いほど、仕事の選択肢が広がります。「英語力=仕事の能力」ではありませんが、英語力が高ければ採用担当者に自分の能力を伝えやすくなるため、能力が高いと判断してもらいやすくなります。
英語を読み書きする能力には自信があっても、話す・聞き取る能力に自信を持てないときは、語学学校に通ってから働くことをおすすめします。また、アメリカ英語は話せても、イギリス英語は話せないといった場合も、語学学校でイギリス英語にある程度慣れておくほうがよいでしょう。
YMSビザ渡航者向けに、就業サポートを実施している語学学校もあります。就業できるか不安な方や高時給の仕事を見つけたい方は、サポート体制にも注目して語学学校を選んでみてください。
カバーレターでアピールする
カバーレターは履歴書を読んでもらうための大切な書類です。カバーレターのアピールが弱いと、履歴書を読んでもらえないのはもちろんのこと、面接試験までたどり着けません。
求人先にカバーレターと履歴書を提出しているのに面接の案内が来ないケースが続くようなら、一度、カバーレターを見直してみてください。現地で働いている人にアドバイスをもらえば、より採用されやすいカバーレターに仕上げられます。
こまめに求人情報をチェックする
条件が良い求人案件や人気の職場の案件は、すぐに働き手が決まってしまいます。こまめに求人サイトや店頭の張り紙をチェックし、情報を見逃さないようにしましょう。また、良い情報があればすぐに応じられるように、常にカバーレターと履歴書を何部か印刷して準備しておくのも大切です。街を散策するときに持ち歩くようにすれば、求人情報を見かけたらすぐに提出でき、働く機会を逃しにくくなります。
求人案件が多い都市部に暮らす
飲食店や販売店、事務所が多く集まる都市部なら、求人案件も豊富にあります。地方と比べると生活費はかさみますが、仕事の見つけやすさに注目するなら都市部がおすすめです。また、都市部は観光客や外国人も多いため、少々英語力が低くても採用されやすい傾向にあります。
イギリスのワーキングホリデー(YMS)で自分に合った仕事を探そう!
日本と同様、イギリスでも求人案件はインターネット上で公開されています。イギリスに渡航する前に仕事内容や労働条件をこまめにチェックしておくと、働き方をイメージでき、また、資金計画も立てやすくなるでしょう。
留学ジャーナルカウンセリングセンターでは、最長2年間のイギリスでのワーホリ(YMS)生活を有意義に過ごすためのプランニングや、現地で語学学校に通う場合の出願および滞在先の手配などについてのサポートを実施しています。お気軽にお問い合わせください。
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イギリスのワーホリ(YMS)についてさらに詳しく知りたい方は、次のページも参考にしてください。
イギリスでワーキングホリデー(YMS)
※記載情報は2024年6月18日時点。
