フィリピンは近年、時間がなかったり有給休暇の取りにくい社会人が短期集中型で英語を学べる国として人気が高まっています。
また、ワーキングホリデーや長期留学、海外の大学への進学など、将来、欧米諸国への長期滞在を考えているために事前準備として英語力をあげたい大学生や、将来に備えてお金をセーブしたい大学生が、留学先として選ぶケースが増えています。
ではフィリピンとは?と問われても「アジアの国」「ビーチリゾート」「ダイビングスポット」というイメージくらいで、詳しくはわからない人が多いのではないでしょうか。
「費用が安いし日本から近いから夏休みにフィリピン留学した」と友達が言っていたけれど、実際、どうなんだろう?
英語を学ぶのにアジアの国?
英語圏の欧米諸国への留学と何が違うんだろう?など、フィリピン留学をする前に気になるポイントがいろいろある人は、この記事を読んで、フィリピン語学留学について知り、自分がフィリピン留学に向いているのかいないのか、自分にとってのフィリピン留学は「あり」なのかを考えてみましょう。
フィリピンはどんな国?どんな都市に留学できる?
フィリピンは太平洋上に浮かぶ7,000以上の島からなる国です。一昔前のイメージは汚い、治安の悪い東南アジアの貧困国のひとつだったかもしれません。近年は、ダイビングスポットやリゾート地、さらに日本から近場のアジア圏の中で英語を学べる留学先として、人気急上昇中です。
『一般社団法 人海外留学協議会(JAOS)による日本人留学生数調査2019』調査レポートによると、JAOS加盟の留学事業者42社からの2018年の年間留学生数は80,566人で、そのうち10.2%にあたる8,232人がフィリピンに留学しています。
留学先として、アメリカ、オーストラリア、カナダに次ぐ第4位となっていることからも、フィリピン人気が高まっていることがうかがえます。
フィリピンの語学留学を考える際に、まずはフィリピンがどのような国なのか基本情報から確認してみましょう。
正式名称 | フィリピン共和国(英語:Republic of the Philippines) |
言語 | 英語、フィリピノ語(80前後の言語がある) |
人口 | 約1億98万人(2015年フィリピン国勢調査) |
首都 | マニラ |
時差 | 日本よりマイナス1時間(サマータイムの実施なし) |
気候 | 熱帯海洋性気候。雨季と乾季にわかれる。 台風が多い |
気温 | 年間の平均最低気温は約25℃、平均最高気温は約31℃。 1年を通じて蒸し暑い |
面積 | 299,404平方キロメートル(日本の約8割の大きさ) |
通貨 | フィリピン・ペソ(PHP) |
(出典:外務省、World Meteorological Organization)
人気の留学先
日本との時差が一時間しかないということは近くて行きやすいということ。一年中温暖なリゾート地のフィリピンの中で、留学先として人気の都市を2つご紹介します。
●マニラ
ルソン島中西部に位置する、人口約1,288万人のフィリピンの首都です。機能的で美しい街並みは「東洋の真珠」と呼ばれ、今でも多くの歴史的建造物が残されています。また中心部を一歩、離れると手つかずの大自然が広がっており、都会の便利さと自然を一緒に満喫できるのも魅力です。
●セブ
セブ島は美しい海と白い砂浜を持つビーチに恵まれ、マリンスポーツが楽しめる魅力的な島です。島の中心部に位置するセブ市は首都マニラに次ぐ第二の都市。フィリピンの中で最も歴史が古く、多くの記念碑や建物も残されており、見どころもいっぱいです。ビーチ好き、リゾート好きにはたまらない、人気の留学先です。
フィリピン語学留学の費用の目安
フィリピンを留学先に選んだ人が一番の理由に上げるのが「費用が安いこと」。格安のイメージが定着しているフィリピンですが、実際に留学すると、いったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
前述のJAOS調査レポートによると、フィリピンに留学した人の、実に85%が「3ヵ月以内の語学留学」を選択しています。ここで、フィリピンと英語圏の留学先として人気のカナダに語学留学した場合の、1週間から3ヵ月間までの費用を比較してみましょう。
語学留学の費用例(2020年12月現在)
期間 | フィリピン | カナダ |
1週間 | 128,000円 | 163,000円 |
2週間 | 157,000円 | 212,000円 |
3週間 | 186,000円 | 271,000円 |
4週間 | 209,000円 | 313,000円 |
2ヵ月間 | 280,000円 | 497,000円 |
3ヵ月間 | 490,000円 | 700,500円 |
◆上記料金に含まれるもの:入学申請料、滞在手配費、記載分の語学レッスン授業料、滞在費、記載分の食費、到着時の空港出迎え費、海外送金手数料、研修手配費
※フィリピンは寮滞在(複数人での相部屋)、カナダはホームステイ滞在(1人部屋)で算出しています(いずれも1日3食付き)。
留学期間が長くなるにつれ、費用の差は歴然としてきますね。たとえば2ヵ月間(8週間)の留学なら、フィリピンの留学費用はカナダの半分程度で済ませることができます。
上記の費用のほかに航空運賃がかかりますが、航空運賃は出発時期や混雑状況、直行便か経由便かなど利用ルートで大幅に変動するもの。フィリピン往復航空券は数万円台から、カナダ往復航空券は冬場など安い時期なら10万円以下のものもあるので、留学する時期によってはそれほど大きな差は出ないと考えてよいでしょう。
フィリピン語学留学のメリット・デメリット
フィリピン語学留学が英語圏のカナダに比べると安いことは前述の通り立証されました。とはいえ、どんな国にもメリット・デメリットはあります。フィリピンは「安い」だけなのでしょうか。ここからは、フィリピンに語学留学する際のメリット・デメリットを見てみましょう。
◎メリット1:物価が安い
繰り返しになりますが、フィリピン語学留学の一番の魅力は、やはり費用の安さ。前項で比較した通り、留学費用が安いのはもちろんのこと、フィリピンは物価が安いので、留学費用全般が抑えられるのが最大のメリットです。
物価の違い(参照:NUMBEO, Cost of Living[2020年12月11日時点] )
種別/国 | フィリピン(マニラ) | 日本(東京) |
マクドナルドのマックミール | 325.98円 | 700円 |
水(1.5L) | 81.59円 | 121.32円 |
ビール(500ml) | 124.73円 | 325.55円 |
通常、フィリピン語学留学では食事付きの寮に滞在して勉強します。留学中に自炊をしたり、毎回外食をしたりするのは、意外にお金がかかるもの。食費を別に用意しなくて済むのは助かります。
◎メリット2:日本から近い
日本からフィリピンへの飛行時間は、福岡から約4時間、東京からは約5時間と、欧米諸国の半分くらいの所要時間で行くことができます。フライト疲れが軽減できるのはうれしいですね。
また、時差も日本と比べてマイナス1時間(日本の方が1時間進んでいます)なので、到着後や帰国後も時差ボケにも悩まされずに済みます。
近場のフィリピンなら1週間程度の夏期休暇を利用して留学できるので、長期休暇が取りにくい社会人にはうれしいポイントです。
◎メリット3:英語の勉強に集中できる
フィリピンの語学学校の授業は、マンツーマンのレッスンが基本(グループレッスンを開講している学校もあります)。授業のコマ数が多く、朝から晩までみっちりスケジュールが組まれている、いわゆるスパルタ式の勉強法なので、短期集中的に勉強して英語力を上げたい人にピッタリです。
さらに希望者には早朝や夜、土曜などに無料レッスンを提供している学校もあり、TOEICやTOEFL、IELTSなど各種試験のスコアを上げるために、集中的に英語を学べる環境を活かして留学する人もいるほどです。
また、将来的に欧米諸国への長期留学やワーキングホリデーを考えているなら、長期滞在の事前準備としてフィリピン留学で英語を学ぶといいでしょう。ある程度の英語力がある状態で長期留学すれば、留学先で得られる情報量が変わってくるうえに行動範囲が広がります。
日本と同じアジア圏でも、まったく異なる文化を持つフィリピンで異文化体験をしておくことは、海外生活の練習にもなります。
▼デメリット1:グローバルな環境ではない
欧米諸国の語学学校はグループレッスンが基本です。クラスメイトは世界各国から英語を勉強しにくる留学生なので、多国籍の友達を作りやすい環境です。
一方、フィリピンの語学学校は先生とのマンツーマンレッスンが多いので、基本的にクラスメイトがいません。また、寮で相部屋を選べばルームメイトがいますが、他の留学生も日本やアジア圏からの留学生がほとんどで、ルームメイトが日本人になるケースもあります。
▼デメリット2:先生が日本人の英語に慣れている
フィリピンの語学学校で毎日、たくさんの日本人に英語を教えている先生は、良くも悪くも日本人の苦手な発音や文法などに慣れているので、少しくらい間違った英語を使っても通じるし、理解してくれます。
そのため、欧米諸国の英語を母国語とするネイティブスピーカーと話すような英語を身に付けるには、少し訓練が必要かもしれません。
とはいえ、いきなり欧米諸国の人たちと英語で話すのに比べれば、同じアジア人同士の方が、少しは緊張感が薄らぎます。英語に慣れる場、欧米諸国の英語に触れる前の事前準備としてフィリピン語学留学を活用するのも一つの方法です。
▼デメリット3:虫が出る
東南アジアの蒸し暑い環境では、どうしてもアリ、ゴキブリ、蚊などの虫に遭遇する確率が高くなります。生活面において虫が苦手な人にとっては、フィリピン語学留学をするうえでの大きなデメリットとなります。
対処法はただ一つ、現地のスーパーで殺虫剤を入手しましょう。現地の虫には現地の殺虫剤が良く効くます。ただし、自分の肌に直接塗る虫よけスプレーなどは日本から持参する方が安心です。
フィリピンに語学留学した先輩の体験談
長期留学やワーキングホリデーを予定している人にも留学先として選ばれているフィリピン。実際に、社会人になってからカナダへのワーキングホリデーに備えてフィリピンのセブ島に1ヵ月間、語学留学した先輩の体験談をご紹介します。
名前 | 長山 裕加里さん |
留学時期・期間 | 2017年1月~(1ヵ月間) |
プロフィール | 大学時代にオーストラリアに短期留学(3週間)、 社会人でフィリピンに短期留学(1ヵ月間)、 カナダにワーキングホリデー(1年間) |
フィリピン留学を選んだのは安く留学できるから
大学卒業後、一度は社会人として働き始めましたが、「長期間海外で生活をしてみたい」という気持ちが強くなり、退職してカナダへワーキングホリデーをすることにしました。カナダへ行く前に英語をみっちり勉強しようと思い、留学先に選んだのがフィリピンです。
私がフィリピンで1ヵ月間、語学留学することを決めた最大の理由は、英語圏に比べて安価で留学できるという点でした。カナダでのワーキングホリデーを控えていたこともあり、特に英語圏であることや留学生の国籍バランスにこだわりはありませんでした。
ワーホリの事前準備という感覚だったので、英語の学習ができればいいという気持ちでした。安い費用でみっちり勉強できる、そしてフライト時間が短いので渡航しやすいというのが大きなポイントでした。
また、東南アジアは英語圏の欧米諸国とは雰囲気も全然違うし、そういう国の違いも感じられていいかもしれないという思いもありました。
フィリピン留学でワーホリに通じる仲間ができた
実際に、フィリピンに語学留学をした私が、フィリピンをおすすめする理由は3つあります。
1)マンツーマンの授業が受けられる
私が学んだ語学学校では、フィリピンの他の語学学校と同様に、小さな教室で先生とマンツーマンで授業を受けられました。グループレッスンに比べるとずっと集中していないといけないし、発言の機会も多いので、英語力の伸びを実感し、自分の英語力に自信がつきました。
またマンツーマンの良さは、自分がわからないと思ったらその場ですぐに質問ができること、自分の目的や希望に合わせて学習内容を柔軟に変更してもらえることだと思います。私の場合、カナダでのワーキングホリデーに備えて、履歴書の書き方を教えてもらったり、仕事を探す時の面接のロールプレイなどもしてもらいました。
2)物価が安い
フィリピンは物価が安いので、授業料が非常に安いです。私の場合は、当時1ヵ月の留学で17万円くらいだったと思います。なおかつ寮滞在で、食事も3食付いていて助かりました(正直、食事は特別おいしいわけではありませんでしたが)。
▲フィリピン最大級のカトリックのお祭り、シヌログ祭
遊びに行くときはタクシーでの移動でしたが、フィリピンはタクシー代も非常に安いです。留学中に旅行や遠出もしましたが、観光や外食も含めて約2万円以下の費用で1ヵ月間、過ごすことができました。
3)仲間ができる
ワーキングホリデーの事前準備として、フィリピン語学留学を選ぶ日本人が大半です。フィリピン留学中は、英語を学びながら、オーストラリアやニュージーランド、カナダにワーホリ予定の日本人と仲良くなることができました。
寮滞在ということもあり、すぐに距離も縮まります。またいろいろな年齢層やバックグラウンドを持つ人たちと繋がることができたのは良い経験でした。
帰国後の再会はもちろん、ワーキングホリデー中のカナダでフィリピン留学時代の友人と一緒に過ごすこともありました。またそれぞれ違う国でワーホリ中の仲間と、カナダのイエローナイフに現地集合してオーロラを見に行ったりもしました。
▲フィリピン留学時代の仲間と、カナダのイエローナイフで再会!
フィリピン留学を終えた後も、世界各国で再会し、ワーホリ情報や体験を共有できたのはフィリピン留学を体験したからこそだと思います。
まとめ|フィリピン語学留学を実現するには?
留学して英語力を上げたら、帰国後に「英語を使った仕事をしたい」という人は多いでしょう。実際にビジネスで使う相手は欧米諸国の人とは限りません。外資系企業や日本企業の取引先は、欧米諸国だけではないからです。日本を含めアジア圏に進出する企業は多く、アジア圏の人と世界的な共通言語である英語を使って仕事をする機会の方が多いと言えます。
フィリピン留学で英語力を上げたり、アジア人の英語やアジアの異文化に慣れておくことは、将来の就活に活きてくるでしょう。また、アジア圏のフィリピンで英語力を上げながら欧米の英語圏と異なる留学を体験をすることは多様性の実感につながり、将来的な長期留学のウォームアップにもなります。
もしかするとフィリピンを知ったことで「想像していたのと違う」「自分はフィリピンに向いていないのかもしれない」と思った人もいるかもしれません。
それでも英語を勉強したい、海外生活を体験したいという夢はあきらめきれないはず。フィリピン留学に迷った人は、英語圏7ヵ国の留学先から比較検討してみてもよいでしょう。
英語圏7ヵ国の留学先を検討される方はこちらもご覧ください。
>>英語圏の語学留学おすすめ7ヵ国|メリット・デメリット、国選びのコツ
フィリピン留学をしたいと思ったら、まずは一度、無料の留学相談(留学カウンセリング)を受けてみましょう。何から相談したらいいかわからないという人も、留学したい時期、期間、予算、目標などを、プロの留学カウンセラーに伝えてみてください。
留学ジャーナルでは、世界各国の教育機関や政府機関との信頼関係に基づいた幅広い海外ネットワークをもとに、これまで20万人以上の留学生を海外に送り出しています。今は渡航できないフィリピンですが、渡航・入国がいつから再開されるのかなど、常に最新情報を収集しています。留学ジャーナルは、留学実現に一歩近づくようお手伝いします。ぜひご相談ください。
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