日本と海外では、さまざまな面で違いがある。物価や買い物時の支払い方法、チップなど「お金」にまつわることもその一つ。現在、アメリカで暮らしている漫画家兼留学生が、日本との違いを中心に、役立つ情報を教えてくれた。
TEXT : Ryugaku Journal
※本稿は『留学ジャーナル2022年2月号』の記事を抜粋・再編集したものです。
※取材は2021年10~11月に実施しました。
教えてくれたのは
アメリカ在住の漫画家兼留学生
阿部 航太さん
漫画家として2年間の商業連載を終え、30代の半ばに差しかかったのを機に夢であった留学を決意。2019年8月から10ヵ月間、アメリカのオレゴン州ポートランドにある語学学校で学び、その後、現地のアートスクールに進学。現在、イラストレーションを学んでいる。留学ジャーナルWebサイトにて『異世界留学生ジャワムラ』を月イチで連載中。
日本との違いについてインタビュー
物価について
――アメリカの物価は日本に比べて高いと言われていますが、実際に生活してみていかがですか?
やはり、全体的にアメリカの方が高いと感じますね。特に外食費!ファストフードは日本とほぼ同価格ですが、それ以外の飲食店で食事すると、かなり高くつきます。
例えば日本だとランチに千円かければ、それなりの食事ができると思いますが、こちらだと質素な内容になります。大好物のラーメンも2千円近くする(チップ含む)ので、気軽に食べられません。日本にいた時は、食事は基本外食でしたが、渡米してからは自炊することが増えました。
――日本より安く手に入るものはないのでしょうか?
ありますよ!缶入りの炭酸飲料やフルーツジュースです。350㎖の飲料缶を36缶まとめて買うと1缶30円未満に!ミネラルウォーターより安いんです。大量購入する人も多いので、アメリカが肥満大国と言われる理由が分かりました。
ただし、同じ商品でも店によってかなり値段が違います。一般的に個人経営店より、スーパーマーケットチェーンの方が安く手に入りますよ。
ちなみに日本の100円ショップのような店もありますが、あまりメジャーではなく…。お得に生活雑貨や日用品を買いたい時は、リサイクルショップを利用する人がほとんどのようです。僕の住んでいるポートランド(★豆知識1)は特にリサイクルが盛んな街なので、こちらの方が品ぞろえが豊富なんですよ。
★豆知識1 ポートランドはアメリカ西海岸北部のオレゴン州にある都市。エコフレンドリーな住民のライフスタイル、徒歩や自転車で容易に移動できる自然に優しい都市設計などから、近年、SDGs先進都市として注目を集めている。 |
支払い方法について
――アメリカはカード社会と言われていますが、クレジットカードの利用率はどれくらいですか?
僕の場合、支払いの95%はクレジットカードです。残り5%は現金で、ICカードやスマホQR決済に対応している店は、ポートランドではほとんど見かけません。
アメリカは確かにカード社会ですが、現金が必要なシーンも必ずあります。まずコインランドリー。僕が利用するマシンは、クォーター(★豆知識2)しか受け付けてくれません(笑)。
また店によっては、僕の所持するクレジットカードのブランドに対応してないことも。これは主に個人商店でよくあります。あとはチップ(★豆知識3)です。直接渡す機会もあるので。
――確かに、アメリカにはチップという日本人にはなじみの薄い習慣がありますよね。金額のさじ加減など、やはり大変ですか?
ちゃんとしなければと、当初はかなり緊張しました。スマホアプリで、チップの金額をきっちり算出したりして(笑)。でも現地の人は結構アバウトにやってるのが分かってから、徐々に肩の力が抜けました。要は慣れです!
――支払いにまつわるトラブルはありましたか?
トラブルではありませんが、海外送金で痛い目に遭いました。渡米前に1日当たりの限度額を増額するのを忘れていたんです。
困ったのは、アートスクールの授業料を払い込む時。1日の送金上限額15万円は、授業料に及ばないわけで。増額の手続き自体は難しくないのですが、本人が金融機関の窓口で直接行う必要があります。
まさかそのためだけに帰国するわけにはいかず、仕方なく数回にわたる送金で授業料を納めました。送金するごとに手数料がかかるので、手数料の合計が6万円ほどになってしまい…。これは痛い出費でした。出発前は何かと忙しいと思いますが、特に長期で滞在する場合は増額手続きを忘れずにして、と読者の皆さんに伝えたいです。
★豆知識2 25セント硬貨のこと。アメリカで主に流通する硬貨は1セント、5セント、10セント、25セントの4種類で、それぞれに愛称が付けられている。ネイティブはこちらで呼ぶケースがほとんど。 ★豆知識3 規定料金とは別に、サービスに対する心付けとして相手に渡すお金のこと。チップ制度が深く浸透しているアメリカでは、一部システム化しているが、同じ英語圏でも要・不要の場面や相場は国により異なる。 |
【漫画】チップの払い方
どんな時に必要なのか、いくら払えばいいのか、どうやって渡せばいいのか…etc。チップに不慣れな日本人には、疑問や不安がいっぱいある。阿部さんが「僕も渡米前と直後は戸惑いがあったので、少しでも役に立てれば」との思いを込めて、アメリカのチップマナーについて漫画で解説してくれた。
アメリカ・オレゴン州の留学先3校
漫画家の阿部さんが暮らすアメリカ・オレゴン州は海や火山、澄んだ湖、見渡す限り続く砂漠など自然が豊富な地域。大都会の喧騒から離れたい人やアウトドアアクティビティ好きに特におすすめだ。今回はポートランドを含めた3都市から、英語コースのある3校をピックアップしたのでぜひ見比べてみて。
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【語学留学の授業料を抑えたい人に】Portland English Language Academy
ポートランド中心部のショッピングセンターにある語学学校。プログラムは大きく分けて2種類、週20時間の集中英語コース(インテンシブコース)と週17時間の準集中英語コース(セミインテンシブコース)がある。
集中英語コースの場合は、英語力に応じて週10時間のアカデミック英語やIELTS試験対策の授業も無料で受けられる。学校の入学日は4週間ごとに設定され、最短4週間から留学可能。
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【100ヵ国以上から学生が集うキャンパスで学ぶ】Oregon State University(運営:INTO)
2万人を超える学生が学んでいる州立大学で、420エーカーにも及ぶ緑豊かで広大なメインキャンパスには、100以上の建物が並んでいる。
学内ではINTOという教育機関が大学進学を目指す人向けに、アカデミック英語やパスウェイプログラム、大学授業の聴講プログラムなど、さまざまなニーズに応えるプログラムを提供している。会話パートナー制度があるので、他の留学生はもちろん現地学生との交流も深めることができる。
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【英語コースは4週間だけの受講も可能】University of Oregon
1876年創立のオレゴン大学は、留学生の受け入れに積極的でサポートもしっかりしている。1学期に1,500以上のクラスを開講しているマンモス校であるにもかかわらず、学生と教授の割合は16:1と、少人数制のアットホームで行き届いた教育がなされている。
大学付属英語コースのレベルは6段階で、経験豊富な教師陣のもとで総合的に英語力を伸ばすことができる。既定のレベルに達すれば、オレゴン大学への入学が認められる条件付き入学制度や会話パートナー制度もある。
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雑誌『留学ジャーナル 2022年2月号』はお金特集
『留学ジャーナル 2022年2月号』では留学費用について基礎・基本から解説!2022年の各種料金の変動予測や授業料+滞在費の目安、全10ヵ国・19都市の物価や学費例など盛りだくさんの内容です。雑誌の立ち読みはコチラへ。